Eighter -Extra Voyage-
3rder 〜世にも不憫な遺産 B〜



#3
 ギギギィイイイッ
 EBFLFU(エブフレフ)の重厚な扉が開くと……
一同「ごぱああっ!!?!」
 なぜか眼前にネコミミで投げキッスしているエクスト大前田(凄く吐き気を催す感じ)な肖像画が飾ってある
大前田靖男「この肖像画……絶対に人に見せたくない……んだが、外すと罠が発動するというか、館が崩壊する仕
組みになっているらしい……」
梓與鷹(よたか)「……み、見なかったことにしよう……」
雨水(おぼろ)「同感……」
大前田崇子「で、早速ここからトラップ・オン・ザ・ロードなんですけど……」
白拍子かんな「……次は……右側の通路……です」
 かんなの超運によるナビゲートで右側の道を進むと……
與鷹(よたか)「なんだこりゃ!?」
 天井と床が反転したとしか思えない通路になっていた……
崇子「ちなみに、この区画がこの屋敷で一番マトモな奇人ポイントです」
百鬼あろえ「……本当に、頭痛くなってきた……」
與鷹(よたか)「……ところで……これは何!?」
 途中のショーケースには……何やら得体の知れないものが飾ってある
あろえ「……てやんでぇバーロー人像……!?」
一同「なん……だ、こりゃ!?」
靖男「あっちに、見ろよヴィーナス像とかいうえろえろ〜〜んな恥女の像があったりしますが……」
あろえ「ヴィーナスに怒られるわよ!」
 ……まぁそれはそれでさておいて……一行はさらにかんなの運の導きによって突き進む……
あろえ「……ここは何!?」
 次の通路は壁から天井から一面に女性物の下着が所せましとちりばめられている。
 壁に電気のスイッチがあるのだが、点灯時には『いやぁ〜ん(はぁと)』、消灯時には『うふ〜ん(はぁと)』
と効果音が流れ、更に電球は全てピンク色というアフォさ加減
與鷹(よたか)「……足早に進むぞ……」
一同「賛成……」
 そして、続く次の通路では……
 カッチコッチカッチコッチカッチコッチ……
(おぼろ)「あ〜〜、もう、うるさい!!」
 律儀に1分ずつずれている時計が大量に並んでいる通路。
崇子「……ここ、運悪く8:00丁度とかに通りかかると1分おきに鐘が鳴り響いてそりゃもう五月蠅いんですよ」
與鷹(よたか)「そ、そいつはぁ……」
 一同、かんなの運に感謝しつつ、次の通路へ……

#4
 ……その後も、崇子の写真(何故かお風呂などの裸のものメイン)がビッシリとちりばめられた通路や、靖男の
今まで失恋した女性の顔写真をコラージュした写真がビッシリとちりばめられた通路を通り抜ける
崇子「あの通路、今すぐ破壊したい!!」
靖男「俺もあの通路……すげぇ破壊したい!!」
一同「……」
 一同も、本当に苦労しているんだなぁ……などと思いつつ先に進み、一行は大きなドアの前に……
あろえ「まぁ、ここもここでフザけているとしか思えないけどね……」
 それは……再びエクスト大前田の気色の悪い女装写真がデカデカとプリントされている扉……
靖男「俺の中にもこんなオヤジの血が流れているかと思うと……吐き気がする……」
崇子「私だって同じよ……よくも母はこんな人と結婚したわね……」
※母も母で結構な変人、恥女だったのではないでしょうか?
 まぁ、そんなことはおいといて……かんな、立ち止まったまま動かない
與鷹(よたか)「……どうした?かんな?」
かんな「エクスト大前田の遺産は、この中に……あるんですよ……」
一同「なっ!?本当か!!?」
 ガチャッ
 ギギギイイイイ〜〜〜
 逸る気持ちを抑え一行が扉を開け、中に入ると……
與鷹(よたか)「な……んだこりゃ!!?」
 そこは……今まで数々の奇行がなされてきた屋敷とはすさまじく場違いな……物凄く普通のダイニングであった
……大きなテーブルが鎮座し、お皿とナイフ、フォークが並べられている……
あろえ「ここまで来て普通なんて……何か拍子抜けしちゃうな……」
靖男「ってか肝心の遺産は!?」
 そんなことはともかく、遺産はどこなの!?と靖男
かんな「この下です」
 とテーブルクロスを指差すかんな
與鷹(よたか)「よし、行くぞ!」
 ぶわさっ
 と、言うわけで、隠し芸で行うかの如くテーブルクロスひきを行うと……その下にあったものは……
崇子「……何よ……ただの硝子テーブルじゃないの!!」
 大きな硝子テーブルがお目見え……だが、そのほかには何も無い
靖男「おい、どういうことだよ!!遺産はどこだよ!!」
かんな「……ですから、これですよ……」
 こんこんと硝子テーブルを叩くかんな
一同「はい!?」
 こんな硝子テーブルが遺産!?……そりゃ、確かにこんなでかい硝子テーブルはさぞかし高値であろうが……と
思うのだが……
與鷹(よたか)「……ま……まさか!?」
 がっ
 與鷹(よたか)、テーブルの上にあった銀のナイフを手に、思いっきりテーブルに叩きつける
 ガキィ〜〜〜ンッ
一同「はいいぃ!?」
 テーブルに罅が入るかと思いきや、ものの見事にナイフが折れる
崇子「ちょ、待って……まさか……これ……」
かんな「はい、そのまさかです。……だから、余り期待しない方がいいと言いました」
 ……そう、硝子テーブルかと思われたそれは……ダイヤテーブルだったのだ……
一同「……」
 こうして、エクスト大前田の遺産は暴かれた……あまりにもダイヤが不憫なので、勿論、崩してダイヤとして売
りさばくことに……依頼料も当然そこから出され……こうして、このしょうもない依頼は幕を閉じることになった
……


END

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