Eighter -Extra Voyage-
1ster 〜世にも奇妙なゾク B〜



#3
万稔有華「やあっ!」
 ドカンッ
冥時(みょうじ)萌「ぬっ!?」
 三代に迫る兇刃……を弾く有華
長者(ながもの)三代「有華……」
萌「鉄パイプ……だと!?」
 ザッ
 すぐさま距離を置く萌
有華「ふっふ〜〜ん、ただの鉄パイプじゃないのよ!お兄ちゃんに頼んで鍛えてもらった玉鋼製の特別作品なんだ
から!」
※ただの鉄パイプを玉鋼で……有華の兄って何者だ!?
 シャキンッ
 三代も三代でバタフライナイフを両手に構える
三代「ふふん、私のナイフだって総長の兄に作ってもらったダマスカス鋼製の特注品よぉ!」
※いや、ダマスカス鋼って……本当に有華の兄って何者なの!?
※ちなみに余談だけど、ダマスカス鋼は伝説の素材じゃなく、ちゃんと実在するんですよ。精製方法が途絶えてい
 るだけで……(あれ!?じゃ、どうやって有華の兄はダマスカス鋼を!?)
萌「フン……武器に頼るようじゃ二流だぞ……」
三代「だったら……」
有華「やってみなさいっ!てやああぁ!!」
萌「はああっ!」
 ガギンッギギギンッギンッ
三代「やあああ!!」
萌(くっ……コイツら……)
 若干てこずる萌……だが、それでも、まだ九星団の障害と成り得ないのでは?と疑問が萌の頭をよぎる
萌「だがっ!」
 ギャキンッ
 キュラキュラキュラキュラッ
三代、有華「はっ!?」
 片手二刀の一閃……それは2人の持つエモノを弾き飛ばす
萌「確かに、なかなかの強さだが……それは一般社会においてでの強さ……俺達の世界では……そういうのは最弱
の部類に入るんだよッ!」
 ジキッ
 刀を構え直す萌
萌「斬空破(ざんくうは)ッ」
 ザバッ
三代、有華「ぐうっ!?」
 ……かくて、葦洗魚(あしあらい)隊はここに壊滅す!?
萌「フン……終わってみると……つまらない仕事だったな……」
 パチリッ
 そして、萌は何事も無かったかのようにその場を後にする

#4
 数日後
 天四斗(あまよと)、楠木家
 ピンポ〜〜ン
*「はいは〜〜い……」
 楠木家……それは武芸百般なんでもこなす武術の家……そして、この一人娘、南はかんなの高校時代のクラスメ
イトでもある。そんな彼女の元に、1人の女性が……
*「お願いします。力を貸してください」
楠木南「ええっと……」
 そんな彼女は里腹蜜香……先ほどの葦洗魚(あしあらい)隊で除名されてしまったがために生き残った人物である。
南「ああ、蜜香……久しぶり〜〜〜」
※……実は蜜香もかんなの高校時代のクラスメイトだったりする……なんだ!?こいつ……どんな交友が!?……
 いや、今はそんなこと、どうでもいいか……
南「……で、何!?いきなり……」
里腹蜜香「じ。実は……」
 と、いうわけで、葦洗魚(あしあらい)隊が先日、1人の女に壊滅に追い込まれたということを語る蜜香……
南「……ふ〜〜ん。その女の特徴って分からないの?」
蜜香「あ、えっと……片手で2本の刀を使っていて……」
南「……」
 ピクっと眉が動く
蜜香「……暗くてわからなかったけど、和服だったような……」
南「……第一人称が俺だったりしなかった?」
蜜香「あ、はい、そうです」
 え!?知っているんですか!?と蜜香はちょっと期待してみる。
南「……悪いんだけど……帰ってくれないかな……」
蜜香「ええ!?」
 だが、帰ってきたのはまさかの拒絶
南「……あのねぇ……蜜香……確かに私は高校時代、クラスメイト相手にヘンな技ぶっ放して遊んでいたけども…
…」
※で、南も南で何やってんだ!?……物凄く学園生活編も気になるところだが、それはまた別の機会で……
南「あれは、表の世界でしか通用しないものなの……」
蜜香「……は!?」
南「いいこと、ハッキリ言っておくけど、葦洗魚(あしあらい)隊を壊滅に追い込んだのは冥時(みょうじ)萌っていう女侍よ……多分間違い
ないわ……彼女は……裏の世界で屈指の殺し屋……私なんかじゃ手も足も出ないわ」
蜜香「そ……そんな……」
 ガックリとする蜜香……
蜜香「南……あなた、葦洗魚(あしあらい)隊の名誉顧問だったじゃないの……」
南「うっ……それを言われると……」
 ……葦洗魚(あしあらい)隊をSOS団に例えると鶴○さんてきポジションなんですね……あ、待てよ……南は結構武闘派……っ
てことは『ハ○ヒ』よりも『ハル○ちゃん』の方の○屋さんのポジションが近いのか!?
蜜香「それなのに……見捨てる気なの!?」
南「いや、見捨てるわけじゃ……」
蜜香「はっ!?そういうこと……もう、葦洗魚(あしあらい)隊の条件を満たせなくなっちゃったのね……そういうことなのね…
…」
南「違うわよ!!まだ私は純潔よぉ!」
蜜香「だったら、引き受けなさいよ……さもないと……私があなたの貞操を奪うわ!」
 アヤしい手つきで南に迫る蜜香
南「わわわ……分かったわよ……何とかするから……」
 流石にまだ純潔のままでいたい南は依頼を受ける羽目に
蜜香「じゃ、よろしくね〜〜〜」
 そして、アッサリと蜜香は帰っていく
南「……はぁ……」
 なんだか凄く気が重い南
*「話は聞いたぞ!」
南「うはう!?お父さん!?」
 と、その時、背後に父、(ごう)と母、(あやめ)の姿が……
楠木(ごう)冥時(みょうじ)の娘との死合はまだ早いかと思ったが……しかたがあるまいな……」
楠木(あやめ)「先祖の名に恥じぬよう、頑張ってくるのですよ……」
南「……」
 かくて、南は修羅に入る……!?


続

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