Eighter -Chaos Desorder-
21ster 〜明殺みょうさつに捧ぐ夜想曲ノクターン B〜



#3
明殺みょうさつ者……『明殺みょうさつ』とは暗殺の対義語で堂々と予告上を送りつけ堂々と相手の前に現れて、堂々と相手を
叩き殺すことを言う。 by 明殺みょうさつ者・河上沢斗たくと……
バムッ
北風吹次ふいじ照輝しょうきぃ〜〜!!」
怒りに任せて太陽家に殴りこみをかける吹次ふいじ
太陽照輝しょうき「おう、どうした……?」
それに対し、のほほ〜〜んとと応答する照輝しょうき
吹次ふいじ「貴様……何の了見で俺を明殺みょうさつしようなどと……」
照輝しょうきに怒りの形相で叫ぶ吹次ふいじ
照輝しょうき「はぃ!?」
そして、ここで驚愕の真実が判明し唖然とする照輝しょうき
沢斗たくと「あ、どうも、こんにちわ」
吹次ふいじ「あ、どうも……」
でもって、明殺みょうさつ者は明殺みょうさつ者でのほほんと標的ターゲットに挨拶を行う……と、同時に刀に手をかける
照輝しょうき吹次ふいじ!今すぐ逃げろ!」
チキッ
ズウアアッ
沢斗たくと、挨拶が終わるや否や抜刀し斬りかかる。
吹次ふいじ「のぉおおうああ!!?」
ザザザッ
すんでのところで回避……だが、ちょっと斬りつけられる。照輝しょうきの言葉がなければ完全に殺されていたところ
だった……
吹次ふいじ「くっ……てめぇが……明殺みょうさつ者か!?あまりに普通だったんで気がつかなかったぜ……」
身構えながら吹次ふいじが言う
沢斗たくと「うん、みんなそう言って……いや、くれないなぁ……そのころには明殺みょうさつ完了してるし……」
と、沢斗たくと明殺みょうさつに失敗したことを気にすることも無くあっけらかんと話を進める
吹次ふいじ「やい!てめぇ……よくも……俺を!」
ズンッ
ぐぐいっ
と、そんな中、照輝しょうきの胸ぐらをつかんで吹次ふいじは叫ぶ
照輝しょうき「ちょ、ちょっと待て……俺にも……何がなんだか……と、とりあえず……落ちついて……」
吹次ふいじ「ほざけ!貴様のところに明殺みょうさつ者がいるってことが何よりの証拠!!くっ……貴様と俺とは親友……
 いや、もういっそのこと超えてはならない一線を超えてもいい仲だと思っていたのに……よくも……」
照輝しょうき「ちょ、まて、俺にそっちの気は無いし……お前……」
さらなる新事実に照輝しょうきさぁっと冷や汗が……
沢斗たくと「で、さっきはなぜ止めたのかな?返答しだいではあんたも明殺みょうさつするよ?」
刀を構えてごく普通に会話に割り込んでくる沢斗たくと。前門の沢斗たくと、後門の吹次ふいじだ!
※あえて後門が吹次ふいじなのは……まぁ、アレです。深い意味は無い……んですよ、きっと
照輝しょうき「ちょ……それは……」
白拍子かんな「はい。そこまでです」
そこへ、運の女神颯爽登場。
沢斗たくと「んむ!?」

#4
かんなが登場したことでいったん場の空気が鎮まる……
かんな「今回の明殺みょうさつ依頼は……そもそもの発端は……覚えていないのでしょうか?」
吹次ふいじ「発端だと!?」
そして、かんなは超運を駆使して真実を告げる
かんな「……まぁ、当時、相当酔っていたそうなので……覚えていないのは当然かもしれませんが……」
照輝しょうき「酔っていた……!?」
吹次ふいじ「まさか……あのときの居酒屋での口論!!?」
……吹次ふいじ……あることを思い出す
照輝しょうき「……はっ!?俺、酔った勢いで……明殺みょうさつ依頼を出していた!!?」
吹次ふいじ「なっ……てめぇ……」
照輝しょうき「そうか!!だから、道理で……通帳みたら覚えの無い振込みが1つあったわけだ……」
※その時間、確認しろよぉ!とか突っ込んではいけませんよ、そこのアナタ。
と、いうわけで、これで解決……には当然ならず……
沢斗たくと「……ん?……何?キャンセルするの?」
照輝しょうき「当然だ!!」
沢斗たくと「……本来、キャンセル料は半分なんだけど……こんなはた迷惑な事情があるんだったら……3倍
 で……」
と、沢斗たくともしれっと言い放つ
照輝しょうき「ぐお!!?……明殺みょうさつ取り消しやめたいけど……吹次ふいじを失いたくも無い……くっ……俺は……
 どうすればああ!!?」
※ちなみに、照輝しょうきは50万で依頼を出したそうです。キャンセル料を払ったとなるとトータル200万の出費か……
 これはイタイねぇ。
吹次ふいじ照輝しょうき、俺にいい考えがある!」
照輝しょうき「何!?本当か!?……」
吹次ふいじ「当然よ!俺は……お前と同衾どうきんする権利を持つ漢だぞ!」
照輝しょうき(そんな権利、与えた覚えはねぇ……いっそこのまま明殺みょうさつされちゃった方が俺の貞操が護られるんじゃ
 ないか!?)
頭を抱える照輝しょうき……だが、ホモでもゲイでも腐男子でも……友は友……一応大切にしておかないと……
吹次ふいじ「依頼料の3倍だな!?」
沢斗たくと「……うん、そうだよ。……でも、何をするのか分からないけど……依頼料と同額の金額を真っ赤に
 染めて……シャア専用の3倍だ!……なんてのは無しね……」
いけシャアシャアと沢斗たくとは宣言。
吹次ふいじ「……」
吹次ふいじ……硬直
照輝しょうき「おい……秘策ってまさかソレかい!」
吹次ふいじ「くっ……すまん、万策尽き果てた……」
一同「早ッ!!」
・
・・
・・・
で、結局2人で金を出し合って150万払うことに……
沢斗たくと「うん、確かに150万、貰ったよ……」
照輝しょうき吹次ふいじ「ぐぐっ……散財だ……」
沢斗たくと「じゃあ、これで……」
そして、お金を貰った沢斗たくとはそのまま立ち去ろうとして……ぴたりと止まり、後ろを振り向く
沢斗たくと「おっと、忘れるところだった……明殺みょうさつの依頼をして欲しい場合は……ここまでね」
3人に名刺を渡して沢斗たくとは颯爽と去っていく……
一同「……」
こうして、この馬鹿げた事件は幕を閉じたのだが……河上沢斗たくと……彼の明殺みょうさつ者としての伝説はここからが
本番である!


END

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