Eighter -Chaos Desorder-
20ther 〜本物を超えた贋物 B〜



#3
歪視の被膜ディストーション……それは真実を歪め……偽物を本物のように見せることが出来るオーパーツ……
雨水おぼろ「……まさか、偽札がただの紙切れだったなんてねぇ……」
梓與鷹よたか「まぁ、普通、誰もそうは思わんわな……」
某敢それがし・いさむ「犯人の目星はついているのでござるか?」
白拍子かんな「はい。この偽札に残っていた指紋から割り出しました」
そこは抜かりがない運の女神……
漢の名前は灰崎一夫。事業に失敗し、詐欺に逢い、無一文となり、各地を転々とする生活を送っていたのだが
ある時、歪視の被膜ディストーションを手に入れたことで一変。
與鷹よたか「最初は世間に復讐のため……だったのだが……次第に欲が出て……って奴か……」
おぼろ「ま、ありがちな話ねぇ……」
と、いうわけで、アトランティスによって漢の居場所も既に特定済みなので、Eighterは早速漢のいる場所へ
と向かうのであった……
・
・・
・・・
天四斗あまよと、某所
灰崎一夫「フッフッフッフッフ……あ〜〜っはっはっはっはっは……笑いが止まらないとはこのことだぜ
 ……ハハハハハ……」
宝石に囲まれながら、優雅に自堕落した生活を行っている一夫
一夫「フフフ……歪視の被膜ディストーション……最高じゃないか……」
と、歪視の被膜ディストーションを掲げ、勝利の余韻に浸っていると……
ビィ〜〜〜ッビィ〜〜〜ッ
一夫「何っ!?」
突如、警報と共に、赤いランプが点灯する
一夫「侵入者か!?」
バッ
すぐさま監視システムのモニターを覗き込む一夫
一夫「フン、また……愚かなものがここにやってきたようだな……だが、この空間は俺の作り上げた迷宮!
 永遠に彷徨い、散るがいい!!」
ワハハハ……と大きな声で笑う一夫……
だが、彼はまだ知らない……ここにやってきたのが運の女神であると言うことを……
・
・・
・・・
一方Eighterは……
與鷹よたか「……なんだこりゃ!?」
おどろおどろしい洞窟の入り口に立っていた
かんな「これも歪視の被膜ディストーションの仕業です」
パッ
ルミナスリングから空間に光のディスプレイが出現し、地図が浮かぶ
一同「うおっ!?」
かんな「この地図のとおりに進めば大丈夫です」
いさむ「……ぬぅ……面妖だが……便利でござるな……」
おぼろ「じゃ、いきましょ」
と、言うわけで、かんなら一行は順調に進む

#4
ビィ〜〜〜ッビィ〜〜〜ッ
いつまでたっても鳴りやまぬ警報にビックリする一夫
一夫「なな……何だ!?こいつら……なぜトラップにかからない!?どう……なってやがる!?くそっ
 ……もうそこまで……」
優雅に自堕落な生活を過ごしていた一夫……だが、侵入者は万難を排しすぐ……
バムッ
與鷹よたか「そこまでだな……」
とうとう、一夫のいる部屋まで到達してしまう
一夫「ぐおっ!!?馬鹿な……」
與鷹よたか「年貢の納め時だな……?灰崎一夫」
一夫「くっ……こんなところで捕まってたまるか!!」
ガッ
ズラッ
壁にかけてあった豪刀を抜刀し脅しをかける一夫
一夫「死にたくなければとっとと去れ」
いさむ「むっ!?」
チキッ
いさむ明星幻爪みょうじょうげんそうに手をかける
かんな「そんな棒切れで……何をしようと言うんですか?」
と、そこにかんながぽつりと……
與鷹よたか「ふむ……」
それを聞いた與鷹よたかいさむの前に躍り出る
與鷹よたか「相手になってやる……」
一夫「なめおってぇえ!!」
ドドッ
與鷹よたかの挑発に一足飛びにかかり、そのまま兇刃を與鷹よたかへ……
ガシィッ
いさむ「何と!!」
だが、その刃は受け止められる
おぼろ「はっ!?あれも、日本刀に見えて実はただの棒きれ!?」
先ほどのかんなの台詞を思い出すおぼろ。そう、あの豪刀も豪刀も歪視の被膜ディストーションによってカムフラージュされた棒切れ
だったのだ……
一夫「くっ!」
一夫は咄嗟に棒きれを手放し、後退、そして、近くのテーブルの上に置いてあったコンバットナイフを手に取る
一夫「なめやがってぇ!!」
ドドドッ
與鷹よたか「だが、甘い!!」
ナイフを投擲する一夫……しかし、歪視の被膜ディストーションによる偽装と見破った與鷹よたかは動じず拳を突き出すのだが
かんな「いさむさん!」
いさむ「承知ッ!」
ギンッスパッギギギインッ
與鷹よたか「なっ!?」
ダミーの他に本物が数点紛れ込んでいた……かんながいさむを動かさなければ危うかった……と、與鷹よたかは冷や汗
を掻きながら後退
一夫「フフフフ……」
いさむ「むっ……」
ジキッ
明星幻爪みょうじょうげんそうを構え直すいさむ
與鷹よたか(コイツは厄介だな……贋物の中に本物を紛れ込ます……全て斬り払われると分かったのなら……
 おそらく、次は斬ってないけないものを交えて投げてくる……はず……)
いさむ「承知しているでござる……某敢それがし・いさむ……参る!」
一夫「馬鹿が!死ねぇあ!!」
ドドッ
そして再びナイフ投擲
一夫(フフフ……今度は硫酸の入った瓶も投げている……)
いさむ「きえぃあ!」
ダダッ
ギギンッ
一夫「な……何ぃ!!?」
対していさむは、目を瞑り、心眼にて贋物を回避しつつ、本物を斬り払い、一気に懐に飛び込む
一夫「キサ……」
ガスッ
勝利を信じ高を括っていた一夫は……こうしていさむの前に敗北したのであった……
一夫「ぐふっ!!?」
ガクリッ
與鷹よたか「……ふぅ、これで終わりか……」
と、いうわけで、これにて一件落着。本物を超えた贋物事件はこうして幕を閉じたのであった……
※ちなみに、オーパーツ、歪視の被膜ディストーションはルシャの元に届けられ、管理される運びになりました


END

前の話へ 戻る 次の話へ