Eighter -Chaos Desorder-
16ther 〜異世界漂流浪漫譚 C〜



#5
雨水おぼろ「……」
*「……」
おぼろもまた、八大帝国のとある国へと飛ばされており……
ザバッ
おぼろ「わふっ!?」
バッ
突如水をひっかけられ、たまらず起き上がるおぼろ
おぼろ「ちょっ!?な……何よ!?」
兵士「起きたか……領主様……」
おぼろは……青き鎧を身に纏う騎士団に取り囲まれていた……
おぼろ「へ!?な……何!?何よ!?アンタ達……」
兵士「……我ら……八大帝国が一つ、水のアクアティコの治安を維持する……鎧鯨呑大渦騎士団メイルシュトローマー……」
おぼろ「……アクアティコ……?」
兵士「領主様……御帰還おめでとうございます……用がないのならとっとと旅に出てくださいまし」
おぼろ(何!?この感じの悪さ……)
水の帝国アクアティコ……そこは八大帝国の中で一番冷血な国として有名……そんなことも露知らずおぼろは
アクアティコに飛ばされ……そして水をぶっかけられ……散々である
おぼろ「ちょ、ちょっと待って……」
兵士「ああ?何?領主様……」
おぼろ「今すぐここから帰りたいんだけど……」
兵士「あ、そう……じゃ、とっとと帰ってくださいまし、新領主様……」
おぼろ「帰り方が分からないのよ!」
兵士「はあ……!?」
そして、騎士団はボソボソと話し合い……
兵士「領主の城にでも行けば分かるんじゃないんですか?新領主様……」
兵士「とっとと城に帰ればいいんじゃないですか?新領主様……」
しっし……と城へ冷血に案内する(あしらう)騎士団
おぼろ「……あ〜〜、そうですかい……分かりましたよ……行けばいいんでしょ!行けば……」
・
・・
・・・
と、言うわけで、おぼろはしぶしぶアクアティコの城へとやってくる
兵士「あ!?何だ?アンタ……ここは領主様の城だぞ……」
兵士「待て……そのルミナスリング……あいつは新たな領主様……かもしれん……」
兵士「なるほど……」
おぼろ「……ルミナスリング……って契約の指輪のこと!?」
兵士「とっとと地下へ行って来い!新領主様」
ドゲシッ
おぼろ「ちょっ……何すんのよぉ〜〜〜」
ゴロゴロゴロゴロッ
ドポンッ
バシャアアッ
おぼろ「ひゃああっ!?」
そして、城の兵士に地下へ蹴落とされ……おぼろ、水へダイブ。城の地下だけあってその水は冷たい……
それにしても、……おぼろ……今日は水難続きですね……何かあったのか!?

#6
おぼろ「ちょ……何よ!?この地下……浸水してるじゃないの!?……どうなってるのよ?!」
おぼろがたまらず文句を言うと、地上部分から声が聞こえてくる
兵士「ああ!?……だったら泳げばいいじゃねぇか……新領主様……」
兵士「おうともよ……どこかで聞いた歌にもあるじゃないか……『泳げ根性焼き君』ってな……」
おぼろ「ンな歌があってたまりますかい!!」
*(……アクアティコを継ぎし者よ……)
抗議しようと地下を出ようとした矢先……声が頭の中に響く
おぼろ「な……何?!」
バシャバシャッ
誰かいるのか……と暴れつつ辺りを見渡すが……誰もおらず……
*(我が名は……アヴァ・ランチ……アクアティコの先代の領主なり……)
そして、声は続く……
おぼろ「それが、どうかしたっての!?」
アヴァ・ランチ(……アクアティコを継ぎし者よ……我が元へ……来るのだ……)
おぼろ「我が元……って……」
コオオッ
と、その時、水中から光が……何かと思い潜ってみると、水中に祭壇……そして、槍が1本
おぼろ(あれは!?)
アヴァ(アクアティコの領主の証……八咫鉾やしむ……)
そして、アヴァは語る……八咫鉾やしむを入手すれば、この国の領主として正式に認められ……更に、お前のいた
世界へも帰れるだろう……と……
おぼろ「……何はともかく、あの槍を入手しないと始まらないのね……」
ザッ
そして、おぼろ威止魅丸いどみまるを手にする
※え!?槍、持っていたの!?……と、今更突っ込まないように……
おぼろ「はああっ!黎杭打刳撃パイルドライバー!!」
ザパアンッ
右手で抉るような刺突を繰り出し、水を掻き分け、一気に八咫鉾やしむの元へ……
おぼろ(んんむ!!)
ガッ
左手で八咫鉾やしむを掴み、そのまま浮上
ザバッ
おぼろ「ぶはっ!?」
アヴァ(汝……アクアティコの正当なる後継者なり……)
スゥウウウウ……
おぼろ「……は……へ!?」
更に、八咫鉾やしむを入手した途端、浸水していた地下はまるで嘘のように水が引く……
おぼろ「……」
また……今まで水の中にむき出しで沈んでいたはずの槍は……錆一つ無く、さっきまで水に潜っていてずぶ
濡れのはずなのに、水に潜ったのが嘘であったかのように濡れていない……
※流石に最初に水をぶっかけられたあの状況は変わってません。
おぼろ(これが、アクアティコの……なんらかの能力なのかしら!?)
そして、おぼろはそのまま地上へと帰還すると……
兵士「そ……それはぁ!!?」
騎士団の一同は八咫鉾やしむを見て目の色を変え……
一同「ご機嫌麗しゅう、新領主様……」
一斉にゴマをすり始める
おぼろ「……何なの!?この国……」
兵士「……で、新領主様……」
ゴマをすり始めたかと思うとそれが嘘であるかのごとく一瞬で態度を更に豹変、元の冷徹に戻る一行……
おぼろ「……とりあえず、ここから出るにはどうしたらいいのかしら?」
兵士「ああ!?何だ……ここから出たいのか……だったら……」
……果たして、おぼろは無事にアクアティコを脱出することができるのか!?……そして他のメンバーの安否は
……!?


続

前の話へ 戻る 次の話へ