Eighter -Chaos Desorder-
16ther 〜異世界漂流浪漫譚 B〜



#3
ゆさゆさ……ゆさゆさ……ゆさゆさゆさゆさ……
百鬼あろえ「ん……う!?」
兵士「気が付かれましたか、次期領主様!!」
あろえ「うわっ!?」
あろえが目を覚ますと……赤き鎧をまとった兵士に取り囲まれていた
あろえ「ななな……何よ!?アンタたち!?」
ババっと咄嗟に狐王こおうを構えるあろえ
兵士「これは失礼いたしました、次期領主様……」
兵士「我ら、八大帝国が炎、インセンディオの治安を護る騎士団……」
一同「その名もッ!猛る炎の騎士団プロミネンスナイツ!!」
どど〜〜〜んっと戦隊モノならバックに爆煙が巻き起こるかのような暑苦しい演出
あろえ「……は……はぁ……」
兵士「先代領主様……フレア・X・プロード様が薨去こうきょなされてはや1000年……最早我が国に領主様は現れない
 かと思われた矢先の出来事……我ら、インセンディオの民は感動しております!!」
あろえ「……いや……あの……えっと……」
突然の出来事に困惑するあろえ……
あろえ「……どういう……ことなの!?」
兵士「な、何と!分からない……と申しますか!?次期領主様!?」
あろえ「いや、その次期領主様ってのも……」
兵士「……あなたのその指のルミナスリング……それが八大帝国領主の証!」
あろえ「……ああ、これ!?」
そういえば、リーダーがそんなことを言っていたような……と思いだすあろえ。
あろえ「……これが……何か!?」
兵士「おい、誰か、次期領主様に事細やかに説明して差し上げろ!!」
兵士「ははっ!!喜んで!!」
騎士団のリーダーらしき人物が叫ぶと、新米らしい兵士が敬礼してあろえの前に歩み出る
兵士「では、私がお話しましょう……」
……そして、熱く語る兵士
あろえ「あ……あはは……」
聞いた話によると、ルミナスリングは八大帝国領主の証にして、領主になるための受験票のようなもの……
代々領主の資格のあるものしか指にはめることができないという。そして、指にはめることのできたあろえには
その資格がある……
そして……

#4
あろえ「……領主の城の地下にあるもうひとつの証を入手すれば完全に領主として認められるというわけ!?」
兵士「はっ!その通りでございます!!」
あろえ(……別に要らないんだけど……)
が、しかし、暑っ苦しい漢に囲まれたあろえに拒否権は無い……
あろえ「……と、とりあえず、行ってくるわ……そのお城とやらはどこに!?」
兵士「はっ!私が案内します。どうぞ、こちらへ!!」
・
・・
・・・
そして、あろえはインセンディオ領主の城の地下へと案内される
兵士「この下に……ございます!」
さ、どうぞどうぞ、と言わんばかりに手を差し出し見送る兵士
あろえ「……あなたは来ないの!?」
兵士「とんでもございません!!この地下は……代々領主様とその候補のみしか入ることを許されない聖なる
 空間……騎士団が……ましてや、入って日が浅い私が入るなどと……万死に値する行為であります!」
熱く語る兵士
あろえ「……あ、そう……」
炎の帝国、インセンディオ……それは……暑っ苦しい熱血漢しかいない帝国……無論、熱血漢の中には
 女も含まれます。
そして……あろえは1人地下を進むと……
兵士(……インセンディオを継ぎし者よ……)
あろえ「ななな……何!?」
突如頭の中に声が響き、びっくりして左右を見回すあろえ
兵士(……我が名はフレア・X・プロード……)
あろえ「……って先代の?」
フレア・X・プロード(……我が元へ……来るのだ……)
あろえ「言われなくても行きますから、ご安心ください……」
そして、あろえが地下を進むと……その目の前に開けた空間……そして、小太刀の突き刺さった祭壇が出現
する
あろえ「……ひょっとして……あの小太刀が!?」
フレア(そうだ……インセンディオの領主の証……虹雷牙こうらいが)
あろえ「……」
『炎』の帝国、インセンディオの領主の証が『雷』ってどういうことよ!と心の中で突っ込むあろえ
……ともかく、あろえは虹雷牙こうらいがの前に立ち、それを引っこ抜く
フレア(汝……新たなるインセンディオの領主なり……)
あろえ「な、何か簡単ね……」
簡単に領主として認められて呆気にとられるあろえ……ともかく、その場を後にすると……
一同「お、おおお……そ、それはまさしく!!」
兵士「やはり、貴方は正真正銘……インセンディオの後継者!!」
兵士「我々はこの日をどれだけ待ち望んだことか!!」
あろえ「あの……ちょっと……」
地下から戻ると、やはり暑っ苦しい歓迎を受けることに……
一同「新領主様……万歳〜〜〜!!」
あろえ「ちょ、本当に勘弁して……」
更に胴あげまでされる始末
一同「万歳〜〜〜」
あろえ「ちょ、お、降ろして〜〜〜〜」
・
・・
・・・
あろえ「はぁ……はぁ……」
熱気にやられてへろへろになってしまうあろえ
あろえ「……と、ところで、私、ここから帰りたい……んだけど……」
一同「んなっ!?」
あろえ(あ〜〜、やっぱり、私……ここから帰れないの!?)
果たして、あろえは無事、熱血帝国を後にし、現実世界へ戻ることができるのか……そして、他のみんなは!?


続

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