Eighter -Chaos Desorder-
13ther 〜九星は闇にしずみて B〜



#3
ガガガガガガガッ
激しくつば競り合いを行う萌といさむ
冥時みょうじ萌、某敢それがし・いさむ「ハッ!」
ババッ
そして、鍔迫り合いから双方距離を置き……かと思うと
萌「絶天突牙ぜってんとつがいさむ「きぇい!」
ドゴギャギャギャギャンッ
いさむは微塵切りを行う龍駆天砕りゅうくてんさい、萌は4本の刀で切り刻みを行う絶天突牙ぜってんとつが……互いに似たような技が繰り出され、
勝負はこう着する
萌「ぬぅ……」
いさむ「……くっ」
ザッ
距離を置き、また対峙する両雄
萌「ならば……遁甲破元陣とんこうはげんじん」
ズギャオオオッ
暫く沈黙が続いた後、最初にそれを破ったのは萌。
亜空間が裂け、いさむ目掛けて無数の刃が迫る
いさむ「お……おおおおおッ!!」
ドドドドドドドドドドッ
みたび明鏡止水流・奥義、颶風雷鳴陣ぐふうらいめいじん!
真空波を大量に飛ばし、迫る刃を切り払う。
また、それだけでは終わらず、更に、萌目掛けて走るいさむ
萌「ハッ!絶氷烈繭ぜっひょうれっけん!」
バキバキバキバキッ
氷の壁を競り出させて真空波を凍りつかせる。
梓與鷹よたか(……さっきの空間転移といい、今の亜空間を斬り裂く技……冥時みょうじとか言うヤツ……)
與鷹よたか、驚愕の表情で死合を見守る
※と、いいますか、それらを難なく回避したり返したりするいさむの方が驚嘆ものだと思うのですが……
萌(くっ……奴め……心眼の使い手だとでも言うのか!?)
心眼による見切りが出来てこそ、今までの技を難なく回避できる……
萌はそう納得し、そして、いさむが並々ならぬ使い手ではないという事実を受け入れる
萌「だがっ!勝つのは俺だ!……雷公殺鳴陣らいこうさいめいじん」
ピギャイイイインッ
雷雲を呼び、いさむ目掛けて雷を落とす
いさむ「でぇええい!!」
バキバキバキバキッ
チュズム〜〜ンッ
みたび明鏡止水流・奥義、氷E灼煉陣ひょうびょうしゃくれんじん……氷を槍のように出現させて避雷針代わりにする
萌「おおおお!!」
いさむ「あああああ!!」
ガガギイイッ
奥義を放てばそれで終わり……なわけはなく、両雄は間髪いれずに飛び込み、そのまま組み合う
ギリギリギリギリ……
そのまま暫く組み合ったまま動かぬ両雄
萌、いさむ「ぬ……ぬううう……」
鎬を削りつつ睨みあう……

#4
萌「ハッ!」
いさむ「ぬんっ!」
バッダダンダンッ
暫く組み合った後、両雄はまたまた距離を置いて対峙する
萌「そろそろ終わりだ!」
チャキッ
元屠歳殺げんとさいさつ流、四屠しとの陣を構え直し萌は叫ぶ
いさむ「望むところでござるよ……」
ジキッ
対するいさむー砕がんさいを構え直す
グゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
萌の邪気が禍々しく高まり……
ズズズズズズズズズッ
いさむの殺気が清々しく高まる……
一同「うっ……」
辺りに尋常ならざる静寂が訪れ……
萌「シャッ太乙煉無陣たいいつれんぶじん!」
ズゴアンッ
先に動いたのは萌……邪悪な剣圧でいさむに斬りかかる。
いさむ某敢それがし・いさむ、参るッ!チェストォオオオ!!!」
キュゴオオッ
みたび明鏡止水流・奥義、潜蛟十六夜陣せんきょういざよいじん!月光が萌を照らし、陽光を刃に纏わせ斬りかかる
ズガギイインッ
一同「あああ!?」
・
・・
・・・
一瞬の交錯……そして、……勝つのは一人……
ビシッ
バキャアアアアッ
萌「……く、くそっ……」
いさむの一閃は萌の妖刀4本を全て真一文字に切り裂いていた……
さしもの萌も刀無くては死合えない……
いさむ「……お主の邪悪な力……いずれ自身を飲み込み、身を滅ぼすでござるよ……」
背中を向けたままいさむは語る
萌「余計なお世話だ!」
いさむ「……萌殿……秘伝書を返すでござるよ……」
萌の方を振り向き、語る
萌「……お前も地田も……こんな物如きによくもまぁ……」
懐から秘伝書を取り出し、いさむに投げ渡す萌
パシッ
いさむ「師匠……みたび明鏡止水流の秘伝書……遂に取り戻したでござる!」
感無量……と、いった面持ちで秘伝書を受け取るいさむ
パチリッ
そして、ー砕がんさいを納刀するいさむ
萌「……何だ!?俺を殺さないのか!?」
いさむ「拙者の剣は徒に生命を殺める剣ではござらん」
萌「ハッ!奇麗事だな……」
百鬼あろえ「ところで、秘伝書……何が書かれているの?」
と、そんな中、あろえは素朴な疑問を投げかける
いさむ「……拙者は見たことがござらぬ……故に知らぬ」
萌「ハハハハ……これはお笑い種だ……それがどんなものかも知らずに……お前は……地田もそうなの
 か!?……フ……つくづく馬鹿だ!」
ヅカヅカッ
バッ
あろえ「ちょっ!」
再び秘伝書を奪い、そして、広げて見せる……そこには……
『見事だ!もはや何も教えることは無い!』
一同「……」
秘伝書にはそう書かれていた……そして、最後まで広げても他に何か書かれている様子は無かった……
あろえ「……達筆ね……」
いさむ「……師匠……拙者……師匠の教える剣の道を……極めた……ということでござるか……
 これからも精進いたす……でござる」
萌「……フン……」
くだらなさそうにそれを見る萌……と、そのとき……
萌「お前は……」
かんなを見て、萌が呟く
萌「……いや、なんでもない……」
白拍子かんな「???」
與鷹よたか「……次……行こうか……」
いさむ「うむ」
ザッザッザッザッザッ……
一行は次のフロア……盟主のいる場所へと向かう……
かんな(……もしかして……)
萌はかんなを見て、何を思ったのか……また、かんなはそれを感じ、何を思ったのか……


続

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