Eighter -Chaos Desorder-
8ther 〜古刹に眠れし神刀 A〜
#0
これは、とある神刀の物語……そして、その神刀は……かんなの運命を変えた逸品。
……いや、もしかしたら……はじめからかんなの人生の中に……この神刀との出合いが組み込まれていた
のかもしれない……
#1
天四斗(、経津(大社
経津(大社……刀剣の神として名高い経津主(にゆかりのある寺院……今日はそんな場所に一行はやってきた
……
梓與鷹(「……ええと……とりあえず、こっちの分は終わりかな……」
と、紙に記された日本刀とその保存状態をチェックする與鷹(
某敢(「毎年済まぬな……與鷹(殿」
與鷹(「なに……半分は趣味だ……」
……そう、今回は依頼ではなく、この寺院が敢(の知り合いの慶応(なる御坊が管理しており……毎年、一度は
ここを訪れ、日本刀の数と保存状態をチェックしているのである
白拍子かんな「リーダー、こっちは終わりました」
與鷹(「おう、俺もそろそろ終わるぞ……」
敢(「拙者の方もでござる」
慶応(「うむ……今日はいつにもまして早い……」
それもそうである。……と、言うか、運の女神、かんながいるんだから、チェックなんてパっと終わってしまう
のである……
かんな「それにして、これだけの銘刀……保存状態もいいですよね」
慶応(「ほう!?分かるか……我が経津(大社はな……昭和の刀狩りを乗り切った数少ない寺院である」
敢(「なんと!」
※昭和の刀狩……昭和21年の銃刀法施行による美術用以外の日本刀の所持の禁止。これにより100万本の刀剣が
没収された。
敢(「しかして、慶応(殿」
慶応(「む!?何だ?改まって……」
敢(「毎年疑問におもっていたのでござるが……真ん中の蔵の中の日本刀はこのように確認を行うのは分かる
でござる……」
慶応(「……だが、蔵は真ん中のもの……銘刃宮(と言うのだが、それ以外に2つある……それなのに、
そっちは確認しなくていいのか?と、いいたのだろう?」
敢(「うむ」
慶応(「……ふむ、では、右手の蔵を見るがいい」
と、言われ一行は右手の方の蔵を見る。見た限り、物凄く厳かな雰囲気を醸し出している
慶応(「……あの蔵はな……奉刃宮(と呼ばれ、主に神刀と呼ばれている刀を安置してある場所だ……」
與鷹(「へぇ……神刀ねぇ……」
慶応(「次に左手の蔵を見るがいい……」
と、言われ一行は左手の蔵を見る。そっちの方は全ての窓が閉ざされ、封印の札が貼られているうえ、入口も
鎖で幾重にも縛られている
與鷹(「……こいつは……」
慶応(「こちらは封刃宮(……主にそれ単体で人を襲い、殺めるような危険な妖刀を封印してある蔵である」
敢(「何と!」
慶応(「危険な妖刀とは言え……あのように封印するしかないというのは少し心が痛いがな……」
と、しみじみ語る慶応(……そして、暫し黙考し……
慶応(「うむ、そうだな……敢(には毎年このように確認作業を手伝ってもらっておる……本来は一般公開など
しないのだが……特別に奉刃宮(に案内しよう」
#2
かくて、一行は慶応(の計らいで奉刃宮(へと足を踏み入れる
敢(「これはまた……厳粛な……」
力ある神刀がズラリと並び……外から見ても厳粛だった雰囲気が一層厳かに感じられる
與鷹(「……まさか……この空間は……」
壁などを見渡す與鷹(……
與鷹((……間違いない……異世界の……技術が応用されている……そうか!この技術の応用が……
昭和の刀狩りから日本刀を守ったのか!?)
実は気がつかなかったが、真ん中の蔵にも同じような技術が施されていて、それで昭和の刀狩りから護られた
……のではないか……とも考えてみる與鷹(であった……
敢(「む、あの刀は!?」
と、敢(、1本、台座に祭られている日本刀を発見し、慶応(に聞いてみる
慶応(「おう、あの刀はな、この社(一番の神刀……らしい」
敢(「ふむ、随分と歯切れが悪いでござるが……」
慶応(「……あれはな……今まで数々の人が抜こうと挑んだが抜けず……どんな刀なのか未だその全貌が
分からんのだ……」
與鷹(「……ってことは、もしかして、木刀なんじゃないのか?」
慶応(「いや……目釘を抜き、柄をはずすとちゃんと茎(が露出する……『天』と銘打たれておるのだが……
天国(の作……なのか、それも、定かではない」
ちなみに、そんな神刀の名前は『炎の記憶』……慶応(の話によると銀狼丸とも呼ばれているらしい。
與鷹(「銀狼丸ねぇ……」
そういえば、天国(の作で有名な刀は小烏丸……だったな……とか思いだす。
敢(「なるほど……左様でござるか……」
慶応(「敢(よ……まさか抜いてみたいなどと思っているのか!?……無理だ無理だ……本当に木刀である
かのように誰も抜くこと叶わんかった代物だぞ……」
敢(「いや、拙者は……そのような……」
などと敢(と慶応(が語っていると……
ぼや〜〜っと炎の記憶に霞がかかる
かんな「ん?」
與鷹(「どうした?かんな?」
かんな「あ、いえ……」
かんなは持ち前の運で悟った……あの霞は自分にしか見えていない……とそして……あの刀は自分を呼んで
いると……
ふらふらっ……
與鷹(「お、おい……かんな!?」
慶応(、敢(「ぬ!?」
刀が呼んだのか……それとも……別の何かが!?
……いや、もしかしたら……この刀はかんなの為に存在したのか……
続
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