Eighter -Chaos Desorder-
7ther 〜水晶の夜に吼える C〜



#5
地田もとより「……」
バサッ
来ていた上着とその下に来ていた着込みを脱ぎ捨てるもとより
*「背水の陣のつもりか!?」
確かに、着込みを着ていると斬撃などにある程度対処が可能だが、基本金属製のそれを身につけると言うことは
運動性を下げるという意味でもある……
もとより「……これほどのことをせねば……お前に刃を届かせることはできん!」
*「フン……やってみろ……」
もとより「地田もとより……参るッ!」
ゴッ
そして、着込みを脱ぎ捨てたことで敏捷性を上げたもとよりは瞬間に彼女の懐に飛び込み……
もとより「はあっ!煉風幻影陣れんぷうげんえいじん!」
ズギャギャギャギャッ
そのまま一気に彼女を上下左右から斬りつける
ギギキキンッ
もとより「な……ああ!?」
だが、全ての斬撃は受け止められる
*「ハアッ!」
ザダンッ
もとより「ぐっ!?」
そのまま踏み込まれるもとより……すぐさま回避して、距離を置くのだが……
パチンッ
納刀しだす彼女
*「良かったな……師匠と同じ傷であの世にいけるぜ」
もとより「な……」
バシュアアアッ
もとより「があああ!!?」
回避するよりも早く……斬り刻まれていたもとより
もとより「し……師匠ぅう!!!」
がくっ……
そして……もとより斃れる……かと思いきや、ー砕がんさいを杖代わりに立ち往生……
*「……」
ピロロロロッピロロロッ
それを眺める彼女……と、そこに、突如電話……誰からか……と思って確認してみると……九星団の
首領……
*「俺だ……」
*「……地田は散ったのね……」
*「……」
そういえば……コイツ……なぜ分かる!?……と若干警戒する彼女
*「ああ、別に恐がらなくていいわ……それよりも……彼が持っている刀……あるでしょ?」
*「……ああ、それが何か?」
もとよりの血にまみれたー砕がんさいを見ながら彼女は言う
*「お願いなんだけど……それをある場所に届けてほしいの」
*「……フン、まぁ、別に構わんが……?」
と、言うわけで……彼女は九星団首領たっての願いもあり、血に塗れたー砕がんさいを指定された場所へ運ぶ

#6
天四斗あまよと、某所
某敢それがし・いさむ「……こ……これはぁ!?」
いさむが刀の手入れの為に、うらぶれた庵を訪れると……そこには血に塗れたー砕がんさいが放置されていた。
どうやら入れ違いか何かでここにー砕がんさいが運ばれた模様である。
いさむもとより殿に……何が!?」
鋼砕こうさいの手入れの為にそこを訪れたいさむだが、急遽中断し、ー砕がんさいの手入れを行うことに……
まずは血で汚れた刃を洗い清め……刀身に錆が出来てないかを確認する
いさむ「……どうやら……錆はないようでござる……」
いかに日本刀はたたら製鉄によって鍛えられている玉鋼が原材料とは言え、錆びないわけではない……
基本、水は日本刀にとって禁物なのだ……
※あれ?でも、ー砕がんさいって青生生魂アボイタカラで出来ているから錆びないんじゃ!?……ま、そんな些細な突っ込みは
 この際考えないで……
そのあと、丹念に手入れを行い……そして、刀身をじっと見つめながら沈黙……
いさむもとより殿……」
ぐっと茎を握り締めるいさむ……と、そのとき……ぼんやりともとよりの幻影が……
もとよりいさむ……)
いさむ「こ、これは……夢か……幻でござるか!?」
突然の事態に困惑するいさむ……そして、もとよりは語る……
もとより(……い……いさむ……済まぬ……我では……仇を討つこと……叶わんかった……)
いさむもとより殿……」
もとより(……いさむ……我の……最後の願い……聞き届けてくれ……お前は……鋼砕こうさいで挑むつもりだろうが
 ……ヤツは……奴は……それでは敵わん……だから……だから……頼む……この……格上の
 ……ー砕がんさいを持ってして……ヤツに挑んでくれ……)
いさむ「……承知したでござる……もとより殿……」
もとより(頼んだ……ぞ……いさむ……お前の腕なら……あいつを……)
スッ
ご都合主義と言われればそこまでだが……仇の名を告げることなく、もとよりの幻影は掻き消える
いさむもとより殿ぉお〜〜〜!!」
うらぶれた庵に……いさむの慟哭が谺する
その後、いさむ鋼砕こうさいの手入れも入念に行い、そして、鋼砕こうさいをとある場所に奉納する。
そして、いさむはEighter本部へと帰るのであった……
・
・・
・・・
天四斗あまよと、Eighter本部
白拍子かんな「……いさむさん……」
かんな、持ち前の運で全てを悟り……そして、アトランティスを駆使して仇を探してあげましょうか?と
持ちかける
いさむ「かんな殿……だが、気遣いは無用でござるよ……これは……拙者が……自分の力を持ってして探し
 ……そしてケリをつけねばならぬ問題でござる……」
かんな「……そうですか……」
そして、いさむは、ー砕がんさいが抜き身のまま放置されていたこともあり、鞘を新たに受注することに……
※あれ!?ってことは、いさむは……抜き身の刀を持ち歩きEighter本部まで帰ってきたってことになるのか!?
 ……銃刀法違反は!?……う〜〜ん、これも、かんなの運の加護なのか!?
いさむもとより殿……」
……果たして……いさむならば……師匠の仇を討つことができるのであろうか!?
そして……その仇って一体……何者!?


END

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