Eighter -Chaos Desorder-
7ther 〜水晶の夜に吼える B〜



#3
*「ふん……」
ズラリと取り囲まれながらも別に焦りはしない萌
*「フフフ……貴様らがいつか、儂の寝首を掻きに来ると知っていた……だから、対策は既に万全よ!」
と豪語する漢……彼、名前を國冨友住くにとみ・ともすみと言う
地田もとより「……ここはひとまず退却だ!」
情報が漏れているのならば……そして、これだけの人数を相手にするなどと……骨が折れる……ここは
ひとまず逃げるべきだ……ともとよりだが……
*「逃げたければ勝手に逃げろ……」
彼女は退かない……
もとより「しかし……」
*「……大体な……アレを見ろ!」
と、彼女が指さす方向には……屍の山が……これまで数々の者が依頼のためにここにきて、返り討ちにあった
という証拠か……
*「奴はただの臆病者に過ぎん」
國冨友住くにとみ・ともすみ「ほざけ……ものども!やっちまえぇ!!」
一同「うおおお!!!」
ダダッ
そして、黒服達は彼女に襲いかかる
*「……貴様らなど……二刀で十分……」
ズバシュアアアッ
左右の腰に2本ずつ……合計4本刀を下げている彼女……そのうち二刀を抜刀すると同時に並いる黒服を
斬り捨てる
友住ともすみ「馬鹿なぁ!!?」
黒服が一瞬で殺されたことに驚きを隠せない漢
もとより(くっ……やはり、この女……強い……)
友住ともすみ「くそっ!使えない奴らめ……こうなったらもっと金を出して別の部隊を雇うべきだった……」
ブツブツと友住ともすみが喋っている間に間合いを詰める萌
友住ともすみ「はっ!?」
もとより「……あぁ!」
と、このとき、もとよりは気がついた……先ほどの屍の山……それをよく見るとN○Kのスタッフジャンパーを着て
いるものやら、佐○急便のツナギを着ているもの……郵便局員など、どうみても殺しに来たという感じじゃ
ない人物ばかりであるということを……
もとより(そ……そういうこと……か!)
そして、『臆病者』という意味がわかった……この漢は自分たちが来ることを理解していたわけじゃない……
いつか、自分を殺しに来るものが現れるとビクビクして、自分の元へやってきた人間を片っ端から殺していた
に過ぎない……と……
もとより「……それにしても……このように無情に人を殺すなどと……」
*「死ね!」
ザシュッ
友住ともすみ「ごっ!?」
とか言っている間にも、萌は漢を切り捨て、依頼はこれにて完了する

#4
*「帰るぞ……」
もとより「あ……ああ……」
以外に呆気なく終わったので正直放心状態だったもとより……彼女に言われるまま、自分も帰るか……と……
だが、その時、ふと、何の気も無く友住ともすみの方を見ると
もとより「なっ!?アレ……はあぁ!?」
殺されている友住ともすみ……それは別に問題ない……だが、問題なのは殺され方……
もとより(あの斬られ方は……師匠と……!?)
グッ
もとより、咄嗟にー砕がんさいに手をかけ、殺気を放つ
*「ん?」
もとより「はっ!?」
彼女の視線に、はっとする……仮に師匠を殺した技があれであったとしても……同じ流派を使う別の人間が
犯人であって彼女が犯人ではないかもしれぬ……と
*「……師匠を殺した犯人を探している……んだったか?」
もとより「……あの殺され方は……師匠の殺され方と同じ……もしやと思うが……念のために聞いておく……
 お前……師匠を殺した奴に心当たりはないか?」
*「……その師匠ってのは?」
もとより「13代目……剣聖丈太郎……」
*「ああ……よく、知っている……」
もとより「なっ!?本当か!?」
*「何せ、俺が殺したからなぁ……」
しれっと言い放つ彼女……その真意に気がつくまで少し時間がかかってしまうもとより
・
・・
・・・
もとより「なっ!?……今……何と……言った!?」
*「……俺が、13代目剣聖丈太郎を殺し、秘伝書を奪った……と言ったのだが?」
もとより「き……さまぁあ!!!」
ザッ
怒りに任せ、抜刀し、そのまま飛び込んで斬りかかる
スカッ
もとより「!!?」
*「……フン……丁度いい……遊んでやるからかかってきな……」
ごそごそっと懐に手を突っ込み、巻物を取り出す
*「俺に勝てたらこの秘伝書を返してやる」
もとより「取り戻すッ!!」
奪われた秘伝書を見せられ、怒りに火がついたもとよりは、再び間合いを詰め、横に薙ぎ払いにかかる
ザウッ
*「……下らん……みたび明鏡止水流……この程度か……」
もとより「なっ!?」
だが、先ほどと同じく難なく回避して背後を取る彼女
もとより「くっ……」
先ほど、黒服ズを一瞬で蹴散らしたのを見て強いと思っていたが……よもやこれほどとは……ともとより……
そう、彼女は先ほどと違い……今はまだ抜刀すらしていない
もとより「……でぇえい!飛龍五月雨陣ひりゅうさみだれじん!」
ギャギャギャッ
刹那の瞬間に3回抜き打ちを行う……
*「だから、下らん……」
しかし、それは虚しく空振りに終わる……
もとより(奥義が……こうも容易く……!?)
スラッ
そして、彼女は腰に下げる4本のうち2本を抜く
*「……こうも弱いと、正直調子が狂う……もう、待つのはやめだ……とっとと終わらせる……」
ゴッ
そして、裂帛の殺気が辺りを震え上がらせる
もとより「ぐっ!?」
もとより(……いさむ……すまぬ……我は……師匠の仇を討てぬ……)
このまま……ケリがつくのか!?それとも……


続

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