#3
梓與鷹（よたか）「カオサイト……」
漆黒の壁に手を当てて與鷹（よたか）が呟く……
某敢（それがし・いさむ）「與鷹（よたか）殿……その『かおさいと』とやらはいかなるものでござるか？」
與鷹（よたか）「……この現実世界には存在しない物質……どうやら謎の女性の目的は、この壁の向こうにある代物
　……らしいな……」
敢（いさむ）「承知した……」
ザッ
そのまま敢（いさむ）は居合の構えで壁に向かう
與鷹（よたか）「待て！敢（いさむ）！」
敢（いさむ）「キェイ！」
ガギュイイイイイッ
先ほどと同じように一閃……するも、今度は斬り裂くこと叶わぬ
敢（いさむ）「む……」
與鷹（よたか）「……こいつは……ダイヤモンドの10倍の硬度を誇る物質だ……」
敢（いさむ）「何と！金剛石の10倍でござるか！？」
だからこそ、斬ること叶わぬ……
與鷹（よたか）「……見たところ、入口らしきものは見当たらないようだが……」
辺りを見回しながら與鷹（よたか）が言う
敢（いさむ）「……では、如何な方法を持ってしてこの壁の向こうへ行くでござるか？」
ダイヤ・カット・ダイヤ……ダイヤモンドはダイヤモンドを持ってでしか破壊できない……とどこぞの諺に
あるが……
白拍子かんな「カオサイトの最も簡単な破壊方法は、信念を込めてぶつかることですよ……ね、リーダー？」
與鷹（よたか）「ああ」
そこへ、かんなが助け舟を出す
敢（いさむ）「そのような方法で……！？」
驚く敢（いさむ）……だが、すぐさま自分のエモノが無傷であることに気がつく
敢（いさむ）「……信念……拙者もまだまだ未熟でござったか……」
信念を込めていたからこそ、彼の持つ刀はダイヤの10倍を誇るカオサイトを切り裂いても折れるどころか刃毀れ
一つ起きなかった……ならば……
すすっ
真剣な面差で納刀し、壁に向き合う敢（いさむ）
敢（いさむ）「某敢（それがし・いさむ）……参るッ！キィエエエアア！！」
キュガイイアアアアンッ
ガラガラガラガッ
先ほど以上の信念、気合を込め、一閃……その一閃はカオサイトを凌駕し、壁を容易く切り刻む
與鷹（よたか）「おおっ！？」

#4
壁の向こうは小部屋……真ん中に装飾されたテーブルがあり……その上に箱状のものが2つ
敢（いさむ）「……あれは……？」
與鷹（よたか）「これは、オーパーツCPか……」
敢（いさむ）「？？？？」
訝しむ敢（いさむ）……
ちなみに、オーパーツCPとは読んで字のごとく、オーパーツで出来たパソコンのことである。
遥か昔、この現実世界とは別の世界にて、使用されていたパソコン……
すすっ
そのまま與鷹（よたか）はオーパーツCPのディスプレイ部分を触れるのだが……
與鷹（よたか）「動かないのか！？……」
ぺたぺた……
その後も、本体部分を触るもうんともすんとも言わない。
……もともとオーパーツCPには現在のパソコンで言うところのスイッチにあたる部分がない。
（あと、電源コードとかも存在しませんが）……触れるだけでスイッチが入る仕組みになっているのだ。
與鷹（よたか）（ただのオブジェクトか……）
残念そうに身を引く與鷹（よたか）……に代わり、かんながディスプレイに手をかざすと……
ヴウウンッ
一同「なっ！？」
アッサリとスイッチが入る……これも、かんなの持つ超運のなせる技か！？
パパッ
そして、すぐさま画面が切り替わり……
＊「Atlantis...System All Green!」
與鷹（よたか）「アトランティス……だと！？」
起動音を聞いた與鷹（よたか）が驚愕する
敢（いさむ）「なんでござるか？その……」
與鷹（よたか）「……アトランティスと言えば……全てのオーパーツCPの頂点に君臨する九大オーパーツCPが一つ……
　まさか……こんな場所でお目にかかれるとは！？」
驚嘆と感激の入り混じった表情で叫ぶ與鷹（よたか）
……ちなみに、どうやらアトランティスはかんなじゃないと操作できないみたいです。
まぁ、もともと九大オーパーツCPは選ばれし存在しか使用できない逸品だったらしいですし……
とりあえず、謎の女性の狙いもこれであろう……と判断した一行はアトランティスを手に炭鉱を後にする。
……その推測はあっていたらしく、その後、炭鉱に彼女は一度現れたのち、二度と来ることは無かったという

#5
＊「……先を越されちゃったか……」
最後に一度現れたのち、二度と戻ることのなかったというまさしくその機会に……彼女はかつてアトランティス
が安置されていた場所にやってきた……
＊「……でも、まぁ、2つ持っている必要もない……し、選別と言うことにしておこうか……」
そう言って彼女はその場を後にする……
……この女の正体は……一体……そして、2つと言うことは……彼女もまた、アトランティスとは違う、
九大オーパーツCPの一つを持っているというのか！？
……この女が……後にかんなに立ちはだかる敵であるなどと……今はまだ誰も知る由も無かった……


END