Eighter -Blindness Wizard-
50ther 〜淫蕩に落ちた教室 C〜



#5
 兵庫県、小田原学園
梓與鷹(よたか)「よく考えたら女子高なんだったらかれんも連れてこればよかったような……」
(かみ)総介「フン、今更遅いわ!」
 ごもっともです。
 そもそも総介がロクに情報を告げないのが悪い。
白拍子かんな「ともかく、行ってきますね」
 今更言っても仕方がないのでかんなと桜の二人で学校に潜入することになったのだった。
與鷹(よたか)「シレントワイザードの連中も来ているのか?」
総介「おそらくな……」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ん?奴らって女性メンバーいんの?」
與鷹(よたか)「知らんが……」
 少なくとも見たことはないが……とも続ける與鷹(よたか)
梶太郎(かぢだろう)「じゃあ、どうやって?」
與鷹(よたか)「以前に似たような展開だったときは女装してたな」
梶太郎(かぢだろう)「じゃあ俺たちも女装すれば万事解決だな」
與鷹(よたか)「え〜……」
 残念ながら女装に乗り気なのは梶太郎(かぢだろう)だけだった。
 でも、拳法家でガタイがいいから、変装しても貴様のようなババァがいるか!って一蹴されそう。

 そして、ルキはというと……
ルシュファー「《キツネザルの使途》に魔術師の連中……もう来たのね」
 でも、残念だけど今日は貴方たちと遊んでいるヒマはないのよね……とルキは独り言ち。
 そもそも、七罪塔(しちざいとう)も今やルキ一人なのだ。迂闊に行動できないというのもあるのだろう。
ルシュファー「ただ、今すぐ帰るのも面白くないからね」
 ルキがこの学校のどこに潜んでいるのか……今はまだ誰にも分からない。

警官「クッ、あいつ、逃げ足が速い……」
例泥馬供(れいでい・めきょう)「だが、逃げるということは疚しいことがあるという証左だ」
警官「ですが、やみくもに追いかけまわしても捕まえられないのも事実……」
警官「例泥(れいでい)警部、ここは罠を使うのはどうでしょう?」
警官「実はこんなこともあろうかと虎ばさみやマキビシを持ってきております」
一同「ガチの罠!?」
 なんでそんなもの持ち歩ているの!?と一同が疑問を抱いた瞬間であった。
井藤遼平(りょうへい)「ふぅ、どうやら逃げ切れたか……」
 そのころ、遼平(りょうへい)はというと、警官から逃げ切り自分の教室の前までやってきていた。
警官「いたぞ、こっちだ!」
遼平(りょうへい)「くっそ、しつこいッ」
 だが、逃げ切れたわけではなかった。再び走り出す遼平(りょうへい)だが、廊下の突き当りで出合い頭に誰かと激突する
遼平(りょうへい)「げふ!?」
警官「あぁ!?てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか!?」
遼平(りょうへい)「うひぃ!?」
 警官に胸倉をつかまれ、万事休すと言った感じの遼平(りょうへい)

#6
山咲(やまざき)桜「そこまでですよ!」
警官「あぁ?なんだてめぇ、貴様も俺に喧嘩売ってんのか!」
桜「なるほど、警察に扮して潜入するとは考えましたね……ですが、あなたは警官ではありませんね?」
 あと、今回のように事件が起きていたことも僥倖でしたね……と付け足す桜
遼平(りょうへい)「え!?そうなの!?」
警官「……やっぱ、そのセリフ封印しないと一発でバれますって……」
 隣にいた警官が頭を抱えてそんなことを呟く。彼は勿論、ウェステリアの部下、ドキエルだ
 ドカンッ
遼平(りょうへい)「うげあっ!?」
ウェステリア「チッ、バレちゃあ、しょうがねぇなぁ」
 遼平(りょうへい)を壁に叩きつけるように投げ捨ててウェステリアが叫ぶ。
警官「あっ例泥(れいでい)警部こっちです!」
 そして、兵庫県警の連中も到着する。
馬供(めきょう)「おぉ!見ろ!奴はノびてるぞ!」
警官「そこにいる警官二人がやってくれたみたいですね」
馬供(めきょう)「でかしッ!?」
 感謝の言葉をかけようとして、この場に桜がいることに気が付いて戦慄する馬供(めきょう)
馬供(めきょう)(かみ)警部、お手数おかけして申し訳ございません!ですが、これはですね、深いわけがありまして……」
 そして、ごますりに走る馬供(めきょう)。実に格好悪い
桜「はぁ、この場に警部はいませんよ?」
馬供(めきょう)「なんだよ、驚かせやがって!ったく、(へりくだ)って損したぜ!」
 しかし、総介がいないとわかると途端に偉そうになる。なんなんだお前ら?
桜「ですが、下がっていてください」
 これはSRAPとしての命令と思ってください!と桜が宣言すると兵庫県警の連中は軽々と動けない。
馬供(めきょう)(そういや、あいつら、ウチの署にいたか!?)
 馬供(めきょう)がそんなことを考えている間も、ずっとかんなはウェステリアと睨みっこを続けている。
 そして、一触即発の重く苦しい空気がその場を支配する。
 周囲への被害を避けるためにもこんな場所で死合うべきではないのだが、しかし、ウェステリアがそれに応じて
くれるかと言われれば、その可能性は限りなく低いといわざるを得ないだろう。
 そして、暫くの後、最初に動いたのは、ドキエルであった。

#7
ドキエル「あの、ウェステリア様……」
ウェステリア「あぁ!?てめぇ、喧嘩売ってんのか!」
ドキエル「撤収命令です」
ウェステリア「はぁ!?」
 それは、既にここから七罪塔(しちざいとう)がいなくなったということを示していた。
ウェステリア「チッ……命拾いしたな」
桜「果たして、それはどちらなのでしょうかね?」
ウェステリア「あぁ?てめぇ、喧嘩売ってんのか!」
ドキエル「ウェステリア様っ!」
ウェステリア「分かってる、再々の黄門(リレミト)」
 カカッ
一同「うぐ!?」
 閃光と同時に、ウェステリアとドキエルの姿は消えてなくなった。
馬供(めきょう)「え〜〜!?」
桜「どうやら今回は戦わずに済んだようですね……」
かんな「……」
 シレントワイザードよりも先に七罪塔(しちざいとう)を探すべきだったか……なんて考えるかんな。
 それはさておき、遼平(りょうへい)も逮捕することができたため、ひとまず学校から外へ出ていくかんなと桜であった。

與鷹(よたか)「無事に終わったってことなのか?」
かんな「いえ、逃しました……」
総介「まぁいい。奴らの手に渡らなかっただけでもよしとするか」
 ちなみに、その後、遼平(りょうへい)は懲戒免職処分になったことは言うまでもない。
 そして、昏睡中の女子生徒は今だ意識戻らず仕舞い
※え〜、こんな終わり方でいいの?!


END

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