Eighter -Blindness Wizard-
47ther 〜憎悪燃ゆ憤怒の花 C〜



#5
冥時(みょうじ)萌「アアアアアッ!」
 ドンッ
一同「うっ、ぐう?!」
 力任せに六人を弾き飛ばす萌。
島友近(ゆこん)「くっ、これは想像以上のパワーですわね」
直江万夏(まなつ)「どど、どうするのよ」
 このままでは何度やっても結果は同じであろう。
伊達宗美(むねみ)「よし、人員配置変更だ!」
 簡単に言うと宗美(むねみ)衞琉(えいる)の配置を交換し、萌の魔眼には宗美(むねみ)の魔眼で対抗するという作戦だ。
※最初からそうしろよ……とは言わない約束です
宗美(むねみ)「おっし、行くよ、野女ども!」
一同「おう!」
友近(ゆこん)「って、野女ってなんですの?!」
 野郎どもなんて言葉は相応しくないから女性チックに置き換えたんだろうけども、なんなんだ、野女って
 ともかく、まずは万夏(まなつ)友近(ゆこん)兵子(ひょうこ)衞琉(えいる)が四方から萌に襲い掛かり四つの刀を封じ込める。
 次に宗美(むねみ)が眼帯を外し、魔眼を開放して萌の魔眼に対抗。
 最後に松子(しょうこ)が斬りかかる。そういう作戦のはずだった。
 ぞわりっ
前田松子(しょうこ)「ッ?!」
 背後から一足飛びにかかり萌の上空から襲い掛かろうとした松子(しょうこ)は、突如凄まじい殺気を察知し直前で萌から離
れる。
宗美(むねみ)「おいおいおい」
 折角のチャンスに何ビビってんだよ!と思わず野次を飛ばす宗美(むねみ)
柳生兵子(ひょうこ)「いえ、それが正解……」
 あのまま突っ込んでいたら、死んでいた……兵子(ひょうこ)もそれを察知したからこその呟きだ。
宗美(むねみ)「じゃあ抑え込むことしかできないってことかよ」
友近(ゆこん)「それも、限度がありますわよ?」
 既に、萌の膂力の前に圧し負けつつある一行。
 万事休すかと思われたその時、(いさむ)がゆらりと幽鬼のように立ち上がる
松子(しょうこ)「はっ!?」
 何もできないまま終わってしまうかに思われたが、(いさむ)が立ち上がるまでの時間稼ぎを行うことはできた。
某敢(それがし・いさむ)「下がっていろ……」
松子(しょうこ)(口調が、違う!?)
 (いさむ)は『ござる』だの『拙者』だの江戸時代もかくやといった喋り方をする。だが、今の(いさむ)はまるで現代人のよう
な喋り方なので松子(しょうこ)は違和感を覚えた
※いや、(いさむ)も現代人ですけどね
宗美(むねみ)「あああっ!?」
 その時、(いさむ)を見た宗美(むねみ)は突如魔眼を手で塞いで苦しみだす。
友近(ゆこん)「はぁ、厨二病もほどほどにしてくださいまし」
宗美(むねみ)「いやいやいや、違うから……あいつを見たら眼が〜、眼が〜」

#6
友近(ゆこん)「ム〇カの物まねもほどほどにしてくださいまし」
 だから違う!と言っても理解してもらえない様子だった。
 とりあえず眼帯で魔眼を封じ込めることで事なきを得る宗美(むねみ)
柳生衞琉(えいる)「あっ、あれを見て!」
 萌から際限なく放たれる邪悪な殺気が(いさむ)の前では浄化されていく。
 それは、まるで光と闇の戦いみたいな感じであった。
万夏(まなつ)「ええと、つまり……」
兵子(ひょうこ)「今の彼は、魔眼などの力を際限なく浄化する力を行使している……」
友近(ゆこん)「あ〜、そういうことでしたの……」
 てっきり、いきなり厨二病にでも目覚めたのかと思いましたわなどと言い出す友近(ゆこん)。
 この状況でそんな巫山戯(ふざけ)たことをやってる場合ではないわッ!
万夏(まなつ)「と、とりあえず、もう一回彼に任せておけば万事解決ってことでいいの?」
兵子(ひょうこ)「……そうとも限らない」
一同「え〜〜」
 じゃあ、どうすればいいんだ……
 と、悩んでいても答えは出なかった。
 そして、そんな一部始終を観察しているサタンは、驚愕で目を()いていた。
シャイターン「あれは、なんだ!?……あれではまるで神……あんな技、人間(パーツ)如きに使えるわけがない……」
(いさむ)「……」
萌「オアアアアアッ」
 ドッ
 ジュオオッ
 対峙したまま動かぬ両雄。しかし、萌はところかまわず邪悪な殺気の刃を放ち、(いさむ)はそれを掻き消していく。
松子(しょうこ)「やっぱり……」
 違和感は確信へ……
 今の(いさむ)(いさむ)であって(いさむ)ではない。意識がないままに(いさむ)は萌の前に立っているのだ。

 そんな(いさむ)は……いや、(いさむ)の意思とか魂とかいうべきものは際限なく広がる大空を落下している最中であった。
(いさむ)「なっ、ここは、どこでござるか!?……拙者は萌殿と死合っていたはずでござる……」
 その時、巨大な鳥のような影が(いさむ)を覆い隠す
(いさむ)「ぬ?!」
 何事かと首を動かして上を見上げてみると、そこには白冠を裁くハゲタカのようなモノが見えた。
 しかし、そう見えたのも一瞬。次の瞬間にはそこには一人の女性の姿があった。
(いさむ)「お、御主……は?!」
 いや、違う。そこには一柱の女神の姿があった。
 それは、涅苦別斗(ネクベト)……(いさむ)が使う流派、月陽歳刑(つきかげさいぎょう)流の開祖たる存在だ。
 しかし、涅苦別斗(ネクベト)(いさむ)の手により葬られたはずだ。それがなぜ、今になって(いさむ)の前に現れたのか!?


続

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