Eighter -Blindness Wizard-
46ther 〜激情走る憤怒の花 B〜



#3
百井(ももい)銀牙「貴様も人斬りならば分かるはずだ!人を斬り続けてきたものと、人を斬らずに生きてきたものとの決定
的な力の差ってやつをなぁ!」
冥時(みょうじ)萌「……まぁ、俺はあれから積極的に人を斬ってはいない……だが、人を斬らずに生きていたわけではない」
銀牙「ほざけェええ!魔翳斷空牙(まえいだんくうが)!」
 ズドンッ
 禍々しいオーラを纏った刃での一刀両断……だが、それは軽々と萌に回避される
銀牙「何!?」
萌「そんな大ぶりの斬撃で人を斬れるとでも?」
 ぞわっ
銀牙(殺気ッ)
 萌から放たれる尋常じゃない殺気に気圧され、思わず距離をとる銀牙。
 その間に萌は左右片手で二本持っていたうちの一本を地面に突き刺し二刀流に戻す。と、同時に魔眼極(まがんのきわみ)そして、
錬魔操剣(れんまそうけん)を発動。
 地面に突き刺した二刀が宙を舞う。
 魔眼の力を借りて手を使わずに二刀を操る。これこそが、冥時(みょうじ)萌流真四刀流である。
※ちなみに、真四刀流の究極の姿は本人は腕組みして四本とも操るという芸当である。(それだと何刀流でもいけ
 そうだなぁ……)
銀牙「そうだ!本気でかかってこなければ殺す意味がねぇッ!」
 左腕を中心に禍々しい闘気があふれ出し、怒りが激しく燃える。
萌(やはり、あの腕輪が何らかのブースター的な役割を!?)
銀牙「死ねぃッ!魔翳伍封陣(まえいごほうじん)!」
 ドドドドッ
 銀牙の幻影が四つ、四方から萌に襲い掛かる。
萌「フン……」
 その技は前に見たし、通用しないことは分かっているはずだ!と萌は真四刀流をもってして迫る四つの幻影を押
さえつける。
銀牙「そこまではなぁ……だが、ここからが違うッ!」
 そして本人が萌目掛けて襲い掛かる。
 だが、これも以前死合った時と同じだ。
 萌の魔眼の力は無機物を操るだけが全てではない。
 いや、有機物に作用する魔眼を無機物にまで作用できるようになってこそ極めたということなのだ。
 そして、魔眼の力を駆使して相手を制する。それが殺眼剣鎖(さつがんけんさ)だ!
萌「ハアッ」
銀牙「ぬおあっ!」
 しかし、銀牙の怒りは凄まじく、萌の魔眼を凌駕した。
 とどまることなく迫る凶刃。
萌「チッ」
 ガキィンッ
 錬魔操剣(れんまそうけん)で操っていた二刀で銀牙の幻影二体を貫くとそのまま刃を交差させて迫る銀牙の凶刃を防ぐ。

#4
銀牙「どうだ!魄刃銀剣(はくじんぎんけん)は無敵だ!」
 そんな北斗〇拳みたいに言わなくても……
萌「ハアアアッ!」
銀牙「うおっ!?」
 しかし、裂帛の気合とともに、萌が銀牙を弾き飛ばす。
萌「そろそろ終わらせる!」
銀牙「それはこっちのセリフだッ!貴様を殺して俺が無敵で最強だということを知らしめてやる!」
 ズオオオッ
 左の腕輪から更に邪悪な闘気が噴き出し、妖刀・宸扼紅桜(しんやくべにざくら)を包み込む。
銀牙「くたばれッ!魔翳惨謀霧燒滅(まえいさんぼうむしょうめつ)!」
 大量の黒き剣閃が萌に襲い掛かる。
萌「羅刹獄掌陣(らせつごくしょうじん)!」
 ドッ
 しかし、それらは萌の斬撃によって一瞬で切り刻まれる。これにて勝敗は決した……かに思われたが違った。
 銀牙の攻撃はまだ終わっていなかったのだ
銀牙「まだよッ!獄炎死神殺燒滅(ごくえんしじんさっしょうめつ)八代土靈死燒滅(はちだいどりょうししょうめつ)三家炎終一燒滅(さんけえんしゅういちしょうめつ)!」
 魄刃銀剣(はくじんぎんけん)の絶対奥義はこれだけではないと言わんばかりに繰り出す奥義三連発。
 死神の鎌を彷彿させる斬撃が、帯を思わせる黒い剣閃が、炎を纏ったボールのような剣圧が萌に続けざまに襲い
掛かる。
萌「だが、無駄だッ!羅刹獄掌陣(らせつごくしょうじん)!」
 ドドドッ
 魔眼の力と錬魔操剣(れんまそうけん)殺眼剣鎖(さつがんけんさ)を駆使した三位一体の斬撃が、銀牙の繰り出す奥義を悉く消し飛ばしていく。
※ちなみに余談だが、銀牙の繰り出した奥義はそれぞれミ〇トバーン、キル〇ーン、デスバ〇ン、エース〇ーンを
 もじっているのだが分かったかな?(なんでやねん!)
銀牙「ば、馬鹿なっ!?この、俺がぁ?!」
 こうして、ここに勝敗は決した。
萌「とっとと去れ!」
 ビシっと四つの刃を突き付けて勝利を宣言する萌
銀牙「巫山戯(ふざけ)るなよッ!」
 裏の世界の殺し屋が、生き恥をさらすなどと、死んだ方がマシだ。
 情けをかけられたことに、銀牙はますます怒りを燃やす。
銀牙「殺す!」
 怒りに呼応するかのように、銀牙の左の腕輪が禍々しく燃える。
萌「やはり、ソレが元凶か……」
 ズシャリッ
銀牙「あっ!?」
 怒りで我を忘れている銀牙のスキを付いて、左の腕輪を切り刻むことは今の萌にとって容易い出来事であった

#5
銀牙「あがあっ……あがあああ!?」
萌「な、なんだ!?」
 突如左腕を押さえて悶え苦しむ銀牙。その姿は尋常ではない。
銀牙「おぐぐおおああぁげがあぁがあああ!?」
 切り刻んだはずの腕輪が再び出現……いや、違う。ドス黒い血が集まり、腕輪のように腫れ上がる。
 ボオンッ
 そして、爆発。さながらそれはリストカット……いや、リストエクスプロージョン
銀牙「……」
 かくて、銀牙は死んだ……それは(おぞ)ましい死に方であった。これが、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)を使った……いや、使役
されたものの末路である。
萌「……」
 突然の出来事に、萌も茫然とする。
 と、その時、背後から拍手が聞こえる。
萌「貴様は!?」
 振り向くと、そこには人を小馬鹿にするような笑顔を張り付けたサタンの姿があった
シャイターン「いやぁ、面白い余興だったよ……」
萌「今すぐ消えろ!」
 カッ
 銀牙との死合に集中していたとはいえ、こうも簡単に接近を許すなどと……と萌は軽く戦慄し、咄嗟に魔眼を飛
ばす。
 しかし、サタンにとってはどこ吹く風である
萌「なっ!?ぐう!?」
 そして、魔眼の力が自分に跳ね返ってくる。
シャイターン「残念……」
 かくて、萌の意識は暗転する。


END

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