Eighter -Blindness Wizard-
46ther 〜激情走る憤怒の花 A〜
#0
七罪塔、それは場違いな黒き遺物(の最高峰。だが、今や残っているのは《憤怒(》と《自尊(》のみである。
七罪塔(と決着を付ける日は近いのかもしれないが、今はまだその時ではない。多分
※断定せいや!
そして、これはそんな七罪塔(の暗躍の物語である
※いや、今までもずっと暗躍してたんですけど……
#1
百井(銀牙「くそっ、気に入らないねぇ……」
裏の世界では無敵(と呼ばれ恐れられている百井(銀牙はここ最近荒れていた。
いや、最近というか、ずっと前から荒れていた。そのすべての原因は萌の抹殺に失敗したことに起因する。
抹殺に失敗しただけならば、ここまで苛立つこともなかっただろう。だが、奴が真に苛立っているのは、これ以
上萌に関わることを禁じるという裏の世界の決定事項にだった。
裏の世界から勝手に出ていくことは万死に値する。それなのに何の咎めもない。そのことが銀牙を余計に苛立た
せているのだ
※実際には裏の世界の住人が萌に無謀な死合を挑んで死んでほしくないためなのであるが、それが分かる人間はほ
とんどいないのが現状だ。
*「随分と荒れているね」
銀牙「なんだぁ、貴様ッ!」
叫び、振り向くと同時に愛刀の妖刀・宸扼紅桜(を構えて警戒態勢をとる銀牙。
そこには一人の子供がいた。
いや、コイツは人間ではない。場違いな黒き遺物(、その最高峰、七罪塔(が《憤怒(》シャイターンだ。
銀牙(こいつ、一体!?)
苛立つあまり周囲の警戒を怠っていたのは事実。しかし、それでも、声をかけられるまで気配に気づけなかった
ことに銀牙は軽く戦慄した。
シャイターン「ところで、君は知っているのかな……裏の世界が何故、《孤高の剣鬼》の抹殺を禁じたのか、その
理由を?」
銀牙「あ?」
シャイターン「それはね、無駄死にしてほしくないからだよ……」
銀牙「な、んだとぉ!?」
その時、銀牙は爆発的な怒りに身を包まれた。誰も萌にかなわないから、萌に挑むのは禁止する。
つまり、萌よりも強い存在はいないなどと言われたことに、銀牙は怒り狂ったのだ。
そして、それはサタンの術中に落ちたということでもある。
シャイターン「これを使いなよ……」
カランと腕輪のようなものを銀牙に投げつけるサタン
シャイターン「それは、頽廃的末端の祈り(。きっと君の手助けになるよ?」
#2
銀牙「裏の世界の奴らの総評が間違っていたということを、この俺が証明してやる!」
左腕に頽廃的末端の祈り(をはめながら、銀牙が叫ぶ。
シャイターン「うん、頑張ってね。応援してるよ……」
言わずもがなかもしれないが、頽廃的末端の祈り(とは場違いな黒き遺物(である。通称、ゴスプレ。他のすべてを
投げ捨ててでも成し遂げたいことを成し遂げる強き意思を手に入れるという代物である。
※そして、その果てに待つのは悍ましい死のみ。ということもお忘れなく……
天四斗(、修羅の門
冥時(萌「……」
萌は特にやることがなければ、終始修羅の門で座禅を組むことが多くなっていた。自分自身を見つめ直すいい機
会と、いった感じであろう。
しかし、今日は無粋な邪魔が入ることで中断せざるを得なかった
萌「貴様は……」
銀牙「俺のことは忘れたとは言わせねぇぜ!裏の世界で無敵(と称されるこの俺……百井(銀牙をなぁ!」
萌「どうでもいい」
銀牙「な、なにぃ!?」
萌「用がないなら消えろ!」
銀牙「用ならある、貴様を殺すという用がなぁ!」
萌「……」
萌抹殺中断の決定がなされてからもしばらくはバカが萌を殺しに挑んできたことがあった。
しかし、それら悉くを返り討ちにした結果、萌抹殺の中断は正しかったのだという理解とともに、萌に挑むバカ
は姿を消したはずだった……
萌「貴様も物好きな奴だ……」
怒りに満ち満ちた銀牙を前に、話し合いなど不可能だと悟った萌。
ならば、あとは力尽くで分からせるしかない。
萌(ひとつだけ気になるのはあの禍々しい気配の腕輪だが……)
銀牙「死ねッ!魔翳殲空斬(!」
ドンッ
妖刀・宸扼紅桜(を振り下ろすと同時に萌に禍々しき黒き剣閃が襲い掛かる
萌「下らん……四屠斬空破(!」
ドギャギャギャギャッ
片手で二本ずつ、合計四本の疑似四刀流派(四屠の陣)から解き放たれるはダブルX字の斬撃。
それは最初に萌と銀牙が死合った時の初手の再現だった。
萌「む!?」
だが、あの時と違い、最終的に萌の斬撃が押し負ける。
銀牙「そんなモンかよ!貴様の力は!」
萌「なめるなよ」
まだ死合は始まったばかり、勝負はどう転ぶか分からないのだ。
続
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