Eighter -Blindness Wizard-
45ther 〜もりかけ(おぞ)ましい C〜



#5
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おらあっ!無色虎獄屠(むしきこごくと)!」
 ドズオオオッ
 拳打と同時に具現化された虎がサタンに襲い掛かる。
シャイターン「だから無駄だよ……」
 しかし、防御結界・シェオルフィールドはそれを阻む
梶太郎(かぢだろう)「クソがぁッ!」
梓與鷹(よたか)「おいおい、少し落ち着けって……」
梶太郎(かぢだろう)「黙れやッ!」
 ニタニタ癇に障る笑みを浮かべるサタンに梶太郎(かぢだろう)はキれた。
梶太郎(かぢだろう)「砕け散れ!双虎漣天殺(そうこれんてんさつ)!」
 ガドドドドドッズドゴンッ
 薙ぎ払うような拳打、腹を突き抜ける拳打、肩から食らいつく拳打、心臓を抜き取る拳打と続けざまに必殺級の
拳打を叩き込み、最後に至近距離から虎の咆哮の如き衝撃波を浴びせる。
シャイターン「やれやれ……無駄だと言うのが、まだ分からんよだな……」
梶太郎(かぢだろう)「な、何ぃ!?」
 梶太郎(かぢだろう)が誇る双虎拳(そうこけん)究極秘奥義をもってしても、傷一つつかない防御結界。
 それが冥王の心臓……シェオルフィールドである。
(かみ)総介「どけ!貴様はあの二人を見張ってろ!」
梶太郎(かぢだろう)「何!?」
 何度目かの掌打を叩きつけたとき、総介がそう叫ぶ。なお、あの二人とはネサリウスとラキエルに他ならない。
※いや、他にだれかいるわけでもないし、わかるでしょ……
 総介は蒼王の刃(ブルーロード)藍后の刄(ブルーエンプレス)を組み合わせ神の特刀(デウス・エクス・ブルー)状態としていた。
 この状態の総介は、鬥址偶襾(ツァトゥグア)の加護を受けている状態である。そして、それはシレントワイザードの魔術師に付
け入る隙を作ってしまっているという意味でもある。
※対総介無効化のアーティファクトがあるためです。
 故にシレントワイザードに邪魔されないように梶太郎(かぢだろう)に見張りを言いつけたのだ。
シャイターン「何をやろうとしても無駄だよ」
総介「ならば、試してみるか?」
シャイターン「人間(パーツ)風情が、あまり図に乗るなよ!」
総介「フッ……そっちこそ、あまり人間の力をなめるなよ!」
白拍子かんな「一点突破あるのみです」
総介「行くぞ!野郎ども!」
 いや、かんな相手に野郎どもとか言うのはどうかと……
 さておき、かんなも神滅超越者(ラグナロクエクセル)の刃を五尺に伸ばして総介に続く。
総介、かんな「はあっ!」
 ドンッ

#6
 総介の神の特刀(デウス・エクス・ブルー)とかんなの神滅超越者(ラグナロクエクセル)がX字を描くようにシェオルフィールドに叩きつけられる。
シャイターン「だから無駄だよ……」
 まだ余裕綽々なサタンであった。
與鷹(よたか)(駄目か……)
テノ(だるだる〜〜)
 茜瑙哭(セドナ)の力と鬥址偶襾(ツァトゥグア)の力を重ねても、まだシェオルフィールドを突破することは敵わぬのか……と與鷹(よたか)は歯噛
みする。
 しかし、その時、テノが能天気な声で何かを訴える。
與鷹(よたか)(……いや、待てよ……さっきかんなはなんて言った?!)
 一点突破……一点突破?!と、ソレを反芻しつつ與鷹(よたか)は自分の拳を見る。
與鷹(よたか)「そうか……」
総介「遅いぞ!與鷹(よたか)!」
 いや、打ち合わせという打ち合わせもなく、こんな芸当無理があるだろ……と與鷹(よたか)は内心突っ込みつつ、與鷹(よたか)も
二人に続く。
與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)来護重(らいごうえ)!」
 ガドゴオンンッ
 重なる刃、その上に、更に與鷹(よたか)が九つの拳打を束ねた撃拳をぶち当てる。
 バキバキバキッ
シャイターン「なっ、馬鹿な?!」
 シェオルフィールドに(ヒビ)が入り、それは瞬く間に広がっていく。
與鷹(よたか)、総介「うおおおお!」
かんな「はああっ!」
 バァンッ
 かくて、ここにシェオルフィールドは砕かれる。
 だが、しかし、それでも、三人の一撃はサタンには届かなかった。寸でのところで自分の影に沈み、サタンは難
を逃れたのだ。
梶太郎(かぢだろう)「おい、逃げちまったぞ……」
 ネサリウスとラキエルを見張りつつ、こっちの様子をうかがっていた梶太郎(かぢだろう)も思わずそう叫ぶ。
與鷹(よたか)「くそっ、またか……」
 やるせない気持ちで、やり場のない怒りを込めて拳を近くに叩きつける。
総介「どうだろうな……」
與鷹(よたか)「総、なんだ、その……」
 どうして、総介はそんなことを言いだしたのか。戸惑いを隠せない與鷹(よたか)であった。
総介「帰るぞ」
與鷹(よたか)「え!?総?!」
※と、言うか当初の目的はどうした!?
 なお、七罪塔が逃げたことで、いつの間にかシレントワイザードの魔術師も去っていた。
 梶太郎(かぢだろう)が目を離した一瞬の隙に去っていったのだろうか!?

#7
 一方、歴史の墓場
シャイターン「まさか、シェオルフィールドが破られるとはね……」
 あまりに予想外。《キツネザルの使途》の底はまだ知れない……なんてことを考えていると、ルキがその場に現
れる
ルシュファー「……悪い知らせがある」
シャイターン「悪い知らせ?」
ルシュファー「まぁ、実際に見た方が早いだろうね……」
 そういって、ルキはサタンをある場所へと誘う。
シャイターン「なっ、これは!?」
 そこでサタンが見たものは、無残に砕け散った冥王の心臓であった。
シャイターン「これは、一体、何が!?」
ルシュファー「だから、悪い知らせだよ……」
 あの時……つまり、與鷹(よたか)、総介、かんなの三人がシェオルフィールドを打ち破った時、冥王の心臓も弾け飛んだ
と言うのだ。
ルシュファー「これから先、冥王の心臓はもう、使えない」
シャイターン「……」
 それは正しく、悪い知らせであった。
 先程、総介が何か言いたげな感じで呟いたことも、コレを察知してのことだ。
 いよいよ後がなくなってきた七罪塔……このまま、Eighter一行は七罪塔を撃滅できるのか、それとも、シレン
トワイザードの手に落ちてしまうのか……それは、まだ分からない……


END

前の話へ 戻る 次の話へ