Eighter -Blindness Wizard-
42nder 〜白鳩の嘘殺(きょさつ)黒蜥蜴 D〜



#7
虎宙典(こ・ちゅうてん)「コイツを殺したら次は貴様を殺してやる!首を洗って覚悟してやがれ!」
 與鷹(よたか)を睨みつつ啖呵を切る宙典(ちゅうてん)化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ざけんなよ!あいつを殺すのは俺だ!」
(かみ)総介「フッモテモテだな、與鷹(よたか)」
梓與鷹(よたか)「いや、こんなのにモテても、嬉しくないんだが……」
 げんなりする與鷹(よたか)であった。
梶太郎(かぢだろう)「行くぜ!貴様には俺の双虎拳(そうこけん)究極秘奥義を見せてやる!」
 気を取り直し、梶太郎(かぢだろう)は拳を握りしめ叫ぶ。実はここに来て漸く梶太郎(かぢだろう)のエンジンはフルスロットルになったの
だ。
宙典(ちゅうてん)「貴様如きに双虎拳(そうこけん)究極秘奥義が使えるものか!」
梶太郎(かぢだろう)「だったら見せてやるぜ!双虎漣天殺(そうこれんてんさつ)!」
宙典(ちゅうてん)聖狼躱虚(しょうろうたうろ)」
 ドオンッ
 薙ぎ払うような拳打を見舞うが、それを事もなげに回避して見せる宙典(ちゅうてん)。そのままカウンターを叩き込もうとし
た矢先、梶太郎(かぢだろう)は腹を突き抜ける拳撃、肩に食らいつく拳打、心臓を刳るとる拳打を続けざまに解き放つ。
宙典(ちゅうてん)「おごお!?」
 横薙ぎの拳打、腹、肩、心臓目掛けた連続拳打……しかし、梶太郎(かぢだろう)の攻撃はこれだけでは終わらなかった。
梶太郎(かぢだろう)「うおおお!天の果てまで吹き飛べやッ!」
 ズドムッ
宙典(ちゅうてん)「ほげあああ!?」
 さらに至近距離からトドメの一撃として放たれるは虎の咆哮と見紛う衝撃波。
 直撃を食らった宙典(ちゅうてん)はボロ雑巾のように上空へ吹き飛ばされ、そして、そのまま無残に地面に落下する
梶太郎(かぢだろう)「これが、俺の双虎拳(そうこけん)だッ!」
 決まった!という感じの梶太郎(かぢだろう)であった。
*「そ、そんな……()主席が……負けた!?」
*「お、お終いだ……もう、皇殉(こうじゅん)は終わりだ……」
 そして、蜘蛛の子を散らすがごとく皇殉(こうじゅん)の連中はその場を逃げ去っていく。
事羅鍛(ごと・らたん)「ま、待て……お前ら。まだ皇殉(こうじゅん)は敗北したわけではない!」
*「では、次はあなたが!?」
 そんな言葉に一行は期待するが、しかし、羅鍛(らたん)は期待には答えない。
羅鍛(らたん)「いや、俺は特に何もできないが……」
一同「じゃあ、やっぱり終わりだぁ!」
 そして、その場に残されたのは倒されて動けない漢と羅鍛(らたん)のみとなった。
梶太郎(かぢだろう)「次はてめぇか!?いいだろう、相手になってやる!」
 あくどい笑みを浮かべる梶太郎(かぢだろう)。もはやどっちが悪役なのかわかったものではない。

#8
羅鍛(らたん)「ま、待て!俺は中国共産党の首席にそっくりな外見をしているんだ!こんな俺をボコボコにしてみろ!……
もし、それが撮影されてTV局に提供さてでもしろ……それこそ外交問題だ!」
一同「……」
 こいつ、ずるい……
 そんなことを言われると攻撃をするのは躊躇われる。

梶太郎(かぢだろう)「うおっしゃぁ!與鷹(よたか)ッ!予告通り貴様を殺す!」
與鷹(よたか)「いや、今はそんなことやってる場合じゃないだろ……」
梶太郎(かぢだろう)双狼拳(そうろうけん)を超えた今の俺なら貴様を超えられる!」
與鷹(よたか)「いや、あいつのは紛い物だって……」
梶太郎(かぢだろう)「五月蠅ぇ!」
 話を聞かない奴だなと呆れていると総介が肩をポンと叩きながらこう呟く
総介「まぁ、余興だと思って付き合ってやれ」
 他人事だと思って……と内心総介を恨む與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)「くたばれッ!双虎漣天殺(そうこれんてんさつ)與鷹(よたか)「チッ、聖狼躱虚(しょうろうたうろ)」
 蒼虎薙(そうこてい)黄虎蹄(おうこてい)白虎噛(びゃっこごう)黒虎咬(こっこきょう)と繋げて最後に至近距離から銀號懺月(ぎんこうざんげつ)……しかし、與鷹(よたか)はそれら全てを(ことごと)く回
避したうえでカウンターを叩き込む
梶太郎(かぢだろう)「ふげあ!?」
宙典(ちゅうてん)「ばっ、馬鹿なっ!?まさか、あいつは……本当の双狼拳(そうろうけん)の伝承者?!」
 どうにか気が付いて起き上がろうとした宙典(ちゅうてん)與鷹(よたか)こそが双狼拳(そうろうけん)の伝承者だと漸く気付くのであった
※気づくの遅ッ!

與鷹(よたか)「ええと、これで皇殉(こうじゅん)は壊滅でいいんだよな?」
総介「だろうな……」
與鷹(よたか)「じゃあ、(えん)教授も姿を現すってことか?」
 と、その時、雲の切れ目より緑色の光が差し込む
與鷹(よたか)「な、なんだ!?」
 空を見上げてみると、そこには緑色の燐光に包まれた車が宙を浮いていた。
袁洲葎(えん・しゅうりつ)「あれは、オヤジの愛車、ギルターボ!」
一同「何だって!?」
 そして、それは舞い降りる。車の中から出てきたるは、姿を隠していた袁宸汪(えん・じんおう)だ
総介「お前が袁宸汪(えん・じんおう)で間違いないな?」
袁宸汪(えん・じんおう)「……あぁ、そうだ……」
総介「早速だが次元天球を渡してもらおうか?」
宸汪(じんおう)「貴様らも皇殉(こうじゅん)と同じ!?……コレは渡さんぞ!」
 次元天球を抱きかかえて誰に渡さないことをアピールする。

#9
総介「ならば、その中身だけでもいいんだが」
宸汪(じんおう)「いや、それは困る……そ、外側だけならば……」
 いや、外側だけもらっても意味がないんだけど……
総介「ハッ、話にならんな!」
山咲(やまざき)桜「では、次元天球がどういった原理で作用するのか説明してもらえますか?」
宸汪(じんおう)「そ、それは……あっ、そうだ!企業秘密というヤツだ!」
 なんか冷や汗ダラダラである。そしてとってつけたかのようないいわけ……
洲葎(しゅうりつ)「オヤジ?!」
袁高藷(えん・こうしょ)「お父さん?!」
 そして、息子、娘からの疑惑の視線も痛い。
宸汪(じんおう)「……是非もないようだな……ならば!」
 裂帛の気合とともに殺気が迸る。
與鷹(よたか)「こいつ、できる?!」
 少なくとも何等かの武術の使い手……更にそれなりの実力者。
 これまでどうやってこの漢が皇殉(こうじゅん)から逃れていたのか、その疑問が今氷解した。武術の使い手であるからこそ、
襲い来る皇殉(こうじゅん)を返り討ちにしていたのだろう。
 証拠不十分で不起訴と言うのも、皇殉(こうじゅん)の敗北を隠すため……なのかもしれない……
総介「オーパーツを回収するには奴を倒すしかないようだな……」
 やれやれ、面倒なことになったものだ……


END

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