Eighter -Blindness Wizard-
42nder 〜白鳩の嘘殺(きょさつ)黒蜥蜴 B〜



#3
毛桔彊(けっこう)「貴様……」
 先ほどまでとは何かが違う……だが、桔彊(けっこう)も少しだけ気づいていた。梶太郎(かぢだろう)の力が先ほどから徐々に上がってい
るということを……
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「行くぜ!」
桔彊(けっこう)「なめるな!」
 ガッゴゴッ
 まだ、梶太郎(かぢだろう)が競り負けているが、しかし、少しずつ梶太郎(かぢだろう)の拳打が桔彊(けっこう)の拳打に拮抗しつつある。
桔彊(けっこう)(こいつ……)
桔彊(けっこう)「いいだろう、ならば、次で殺す!」
 決意新たに拳を握りしめ直す桔彊(けっこう)※そのセリフ、さっきも聞いた気がするんだけど……
桔彊(けっこう)梶太郎(かぢだろう)「うおおっ!無色虎獄屠(むしきこごくと)!」
 ドゴンッ
 拳打を放つと同時に気で具現化された虎が互いに襲い掛かる。
 しかし、まだ梶太郎(かぢだろう)の方が及ばず、梶太郎(かぢだろう)が具現化した虎が討ち負ける
梶太郎(かぢだろう)「はっ!銀號懺月(ぎんこうざんげつ)!」
 ガオンッ
 だが、梶太郎(かぢだろう)は次なる手を用意していた。虎の咆哮の如き衝撃波が桔彊(けっこう)の具現化した虎を吹き飛ばす。
梶太郎(かぢだろう)「おらあっ!」
桔彊(けっこう)「チッ」
 更に襲い掛かる梶太郎(かぢだろう)の拳を受け止める桔彊(けっこう)桔彊(けっこう)「貴様……」
 怒りに満ち満ちる桔彊(けっこう)
桔彊(けっこう)「いいだろう……ならば、貴様には特別に双虎拳(そうこけん)究極秘奥義を見せてやる!」
梶太郎(かぢだろう)「究極秘奥義ぃ!?」
 そう!これは双虎拳(そうこけん)と中国四千年の秘奥義!などと豪語する桔彊(けっこう)
桔彊(けっこう)「死ぬがいい!双虎王天撃(そうこおうてんげき)!」
 ドオオンッ
 拳気が無数の虎を作り出す。
梶太郎(かぢだろう)「これは!?」
 まずは虎の前足と後ろ足で引き裂きにかかり、続いて尻尾で繋がった二匹の虎をヌンチャクのように扱い打撃を
繰り出す。更に偃月刀と見紛うばかりの牙を生やした虎が刺突にかかり、最後に虎の顔がドリルのように回転しつ
つ貫きにかかる。
※はい、どこからどう見てもタイ〇ントオーバーブレイクです。中国四千年の歴史どこいった!
梶太郎(かぢだろう)「う、うおおおっ!金鯱流楼(きんこるろう)!」
 ただぼけっと桔彊(けっこう)の技を受けるほど梶太郎(かぢだろう)も馬鹿ではない。流れる水のように華麗に動き回り迫る連撃を回避し
て見せる。
桔彊(けっこう)「な、なんだと!?」
梶太郎(かぢだろう)「これで終わりだッ!」
 ドゴオンッ
桔彊(けっこう)「げはぁ!?」
 そして、桔彊(けっこう)の一瞬の隙をついてカウンターを食らわす梶太郎(かぢだろう)。
 ついに、双虎拳(そうこけん)勝負に決着はついたのだった。

#4
梶太郎(かぢだろう)「どうよ!」
桔彊(けっこう)「ぐっ……」
虎宙典(こ・ちゅうてん)「フン、双虎拳(そうこけん)もつくづく使えない」
 ゲシィと桔彊(けっこう)を足蹴にしながら宙典(ちゅうてん)が呟く。
梶太郎(かぢだろう)「次は貴様が相手か、いいだろう!」
梓與鷹(よたか)「いや、大丈夫なのか!?」
 明らかに満身創痍だと思うんだが……と、與鷹(よたか)が気に掛けるが、梶太郎(かぢだろう)は意固地にも與鷹(よたか)の介入を拒む
宙典(ちゅうてん)「用済みな貴様に一つだけ教えていてやろう……貴様は毛沢東の子孫であって毛沢東の子孫ではないッ!」
桔彊(けっこう)「なっ、何!?……それはどういう意味だ!?」
 ワケが分からない。毛沢東の子孫であって毛沢東の子孫ではないとはどういう意味なのかと思っていると宙典(ちゅうてん)は
こう続ける。
宙典(ちゅうてん)「貴様は毛沢東再誕計画によって生み出された毛沢東のクローン、その百人の一人、毛沢桟(たくさん)の子よ!」
一同「な、なんだってぇ!?」
※いや、百人の毛沢東のクローンってどこのゴ〇ゴ13だよ
 ってか、『もう、沢山』の子供、『もう、結構』って……
宙典(ちゅうてん)「さて、来い……双虎拳(そうこけん)など俺の前では無意味だということを教えてやる」
梶太郎(かぢだろう)「いいだろう、双虎拳(そうこけん)を馬鹿にする奴は死、あるのみッ!白虎堕天(びゃっこだてん)!」
 宙典(ちゅうてん)の肩目掛けて拳を叩きつけ、そのまま心臓を刳り取ろうとする梶太郎(かぢだろう)……だが……
宙典(ちゅうてん)聖狼躱虚(しょうろうたうろ)!」
 ドゴンッ
與鷹(よたか)「なっ!?」
 迫る梶太郎(かぢだろう)の拳を完全回避し、代わりにカウンターを叩き込む宙典(ちゅうてん)。
 宙典(ちゅうてん)双狼拳(そうろうけん)の使い手であることに、與鷹(よたか)は驚きを隠せなかった。
梶太郎(かぢだろう)「貴様ッ」
 ギロリと宙典(ちゅうてん)を睨みつける梶太郎(かぢだろう)
與鷹(よたか)「やはり、ここは俺が」
梶太郎(かぢだろう)巫山戯(ふざけ)るなッ!」
 貴様は俺を馬鹿にしてんのか!と梶太郎(かぢだろう)の怒りは凄まじかった。
 確かに、同じ双狼拳(そうろうけん)の使い手の與鷹(よたか)が死合に出れば、宙典(ちゅうてん)と互角に戦えるだろう……だが、それは梶太郎(かぢだろう)のプラ
イドをズタズタに引き裂く悪手である。
梶太郎(かぢだろう)「貴様を倒すためにも、俺は奴を倒さねばならんッ!」
與鷹(よたか)「……」
総介「フッ、奴の好きにさせておけ……」
 ポンと與鷹(よたか)の肩を叩いて総介がそんなことを呟く。
與鷹(よたか)「分かった分かった……お前の好きにしろよ!」
梶太郎(かぢだろう)「行くぜ、貴様に双虎拳(そうこけん)の神髄を見せてやる!」
 果たして、梶太郎(かぢだろう)双狼拳(そうろうけん)を超えることができるのか!?


続

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