#7
梓與鷹(よたか)「で、その、袁(えん)教授の研究成果ってのはなんだ？」
上(かみ)総介「……」
　一行が固唾をのんで見守っていると……
山咲(やまざき)桜「では、私が説明しましょう」
　いや、お前が説明すんのかい！って與鷹(よたか)は内心突っ込む。
桜「一種の重力制御装置のようなものですね」
一同「何だって！？」
　トンでもない発現に一行は驚く。
※なお、驚いたメンバーの中にかんなは含まれません。だって超強運で察知してるから
與鷹(よたか)「そんなものをどうやって奴は開発したんだ！？」
総介「そんなことは俺の知ったことではない！」
　いや、まぁ、そうだろうけどさぁ……
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「重力制御だぁ！？」
　重力を制御する……しかし、それはその研究の副次的な効果に過ぎない。
　その究極的な効果とは、恒久的なエネルギーの供給だ……つまり、袁(えん)教授の研究成果とは突き詰めればブラック
ホールエンジンに他ならないのだ。
與鷹(よたか)「しかし、今の人類にそんなモノが作り出せるわけがない……」
総介「フッ、わかっているじゃないか」
與鷹(よたか)「……ハッ！？……そうか……つまり……」
　それはオーパーツであるということだ。
桜「袁(えん)教授はそれを次元天球と名付けていました……」
　緑色の燐光を放つボール状の重力制御装置なのだという。
※その形状と特徴って、プリ〇セスプリ〇シパルに出てくるアレにそっくりなんですが……
　そして、ソレは場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)を利用したアーティファクト。
　その利用されたアーティファクトとは或いは愛しても佳き哉(トータル・イクリプス)という
　ボールの形状をしたアーティファクトで上半分と下半分を掴んで回すことで重力を制御できるアーティファクト
である。
※こっちは劇場版ルパン三世 THE F〇RSTのイクリプス神殿にあったアレにそっくり……
　まぁ、さておき、相手がオーパーツならばEighterとしてやることはひとつ。ソレを確保して管理することだ。
　袁(えん)教授には悪いがな……
與鷹(よたか)（七罪塔(しちざいとう)が何の目的でソレを追っているのかは知らんが、奴らの手に渡ればロクでもないことになるのは明白
だな……）
　オーパーツが絡んでいると聞けば、與鷹(よたか)のイグニッションキーもフルスロットルで回される。

#8
梶太郎(かぢだろう)「で、次はどうすればいいんだ？」
　敵の目的は分かった。でも、これからどうすればいいのかと問われれば、あまり考えてはいない……
※いや、無策なわけないでしょうが……
総介「ま、元を断たないことには事件は解決しないからな……」
　袁(えん)教授も皇殉(こうじゅん)の連中が引き払わない限り出てこない腹積もりなのだろう……だったら、こちらが皇殉(こうじゅん)を潰して彼
の帰還を促すのみ！
総介「山咲(やまざき)！」
桜「はい。既に調べはついています」
　呼ばれて嬉しそうに桜が告げる。
※なお、桜が自分だけの力で調べ上げたのではなく、かんなとレムリアの力を借りて事前に調べ上げた結果です
総介「奴らがいるのはここだ！」
　ビシっと地図のある一点を指さす総介。
＊「ば、馬鹿な、なんで貴様らが我らの拠点を知っているんだ！？」
　捕縛され、他にやることもなかった皇殉(こうじゅん)はちょいと総介らの会話を聞いていたのだが、既に北海道での活動拠点
がバレていることに驚きを隠せずにいた。
総介「俺たちをあまり甘く見ないことだな！」

　北海道某所、イヌンカムイウタラ
　ここは先ほど総介が地図上で指さした箇所。皇殉(こうじゅん)の北海道での活動拠点だ。
　ちなみにイヌンカムイウタラとはアイヌの言葉で『漁をするフクロウたち』を意味する。
＊「大変です。虎(こ)主席……奴らがここへ！」
一同「な、なんだと！？」
　どうして我らの活動拠点がバレたのか！？と驚きを隠せない皇殉(こうじゅん)の一行。
虎宙典(こ・ちゅうてん)「狼狽えるな！」
　我らが中国政府直轄の特務機関だと知っているならば（無論大嘘だが……）奴らはおいそれと手出しができない
はずだ！
総介「貴様らが中国政府とは何の関係もないただの秘密結社だということは既に知っている」
一同「ッ！？」
　既にそこまで知られていては、万策尽きたか！？
宙典(ちゅうてん)「ならば、奴を出せ！こんな時のためのヤツだ！」
＊「はっ！」
＊「そうか！そうですよね！」
　虎主席の言葉に安堵の声が広がっていく。
與鷹(よたか)「さて、奴らはどう出るか……」
梶太郎(かぢだろう)「おい、誰か出てきたぞ……」
　活動拠点の外で與鷹(よたか)らはそんなことを言っていると、中から一人の男が現れる。
袁高藷(えん・こうしょ)「なっ！？そんな馬鹿なッ！？」
袁洲葎(えん・しゅうりつ)「あのお方はッ！」
　出てきた男に見覚えがあったのか袁(えん)姉弟は驚きを隠せずにいた。

#9
＊「中国政府とは何の関係もないただの秘密結社だと！？その情報は古いな……」
與鷹(よたか)「何だって！？……じゃあ、貴様は！？」
＊「口の利き方に気を付けろよ！……私は中国共産党主席にして民草の神ッ！漸弟碓(ざ・でうす)であるぞ！」
　そう、袁(えん)が驚愕したワケとはこれだ。中国政府とは無関係の秘密結社に過ぎなかったはずの皇殉(こうじゅん)が、既に中国共
産党と繋がっていたなどと……
　これでは、下手に手を出せば外交問題に発展しかねない。
※と、言うか、『ザ・デウス』だからって自ら神を名乗らんでもよかろうに……
白拍子かんな「いいえ、違います。あなたは中国共産党主席のそっくりさん、事羅鍛(ごと・らたん)ですよね」
一同「え？！」
　しかし、かんなはそんな嘘を見破り真実を告げる
事羅鍛(ごと・らたん)「お、おいぃ！いきなりバレたぞ！？」
　いきなり看破されて慌てふためく羅鍛(らたん)。
宙典(ちゅうてん)「そんな馬鹿な！？」
総介「フッ、だが、少し考えればわかることだ……そんな中国政府のお偉いさんが、護衛もつけずに一人で最前線
に立つわけなどあるまい」
一同「しまったぶれっと！？」
　こいつら、馬鹿ばっかか！？
　さておき、これで何の気兼ねなく奴らを潰せるというものだ。


END