Eighter -Blindness Wizard-
40ther 〜漆黒墜(ダウンフォール)警告使い(アラーティスト) B〜



#3
シャイターン「さぁ、どうする?」
ルシュファー「これが私たちが用意した玩具だよ……」
 いつの間にかサタンとルキが誠吾の近くに出現していた。
シャイターン、ルシュファー「その名も警告使い(アラーティスト)化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「アーティスト!?ヘッ、芸術家気どりかッ!」
シャイターン「違うよ」
ルシュファー「警告使い(アラーティスト)、だよ?」
梶太郎(かぢだろう)「あ……らぁ、てぃすとぉ!?」
 聞きなれない言葉に首を傾げる梶太郎(かぢだろう)
(かみ)総介「警告使い(アラーティスト)……か……言いえて妙だな……」
 総介がそんなことを呟いていると、誠吾は厳かに告げる。
獅肆渡(ししわたり)誠吾「警告する、それ以上近づくとケガするぞ?」
ウェステリア「あぁ?てめぇ、喧嘩売ってんのか!」
梓與鷹(よたか)「なっ、奴ら、いつの間に!?」
 更に。気が付けばシレントワイザードの魔術師もそこにいた。おそらく、何らかの手段を使って七罪塔(しちざいとう)の出現を
察知してここへやってきたのだろう……
ルシュファー「来たね……魔術師!」
ウェステリア「よし、行って来い!」
ドキエル「……」
 こっちでも上下関係ができていた。いや、まぁ、当然と言えば当然かもしれないが……
ドキエル「メイ、我が元に帰れ(ヴォレーゲン)!」
メイ(こくこく)
ドキエル「大いなる種の住処、超銀河の颶風の魔星、その御力、我が翼となりてここに顕現せよ!イース!」
 メイを纏って魔術師としての本領を発揮するドキエル。そのまま魔形刀(マナヒョンド)を掲げて刃のついた鉤棍(トンファー)を顕現させる。
ドキエル「近づくとヤバイってんなら、遠くから攻撃を繰り出せばいいんだよ!空っ風の刃(ルフト・クリンゲ)!」
 ドバアンッ
ドキエル「嘘だろ!?」
 無数の風の刃を放って攻撃を繰り出すも、そっくりはじき返される。
ウェステリア「チッ、遠距離攻撃もはじき返すか……」
ドキエル「ウェステリア様、ここは一旦奴らと一時休戦して共闘するというのはどうですか?」
ウェステリア「あぁ!?てめぇ、喧嘩売ってんのか!ンなことできるわけねえだろ!」
ドキエル「で、ですよねぇ……」
 もし、ここにやってきたシレントワイザードの魔術師がウェステリアではなかったら、共闘もあったかもしれな
い。しかし、ウェステリアにそれは不可能だった。
総介「奴らの好き勝手にさせるわけにもいくまい……ここから先は早い者勝ちってことだな」

#4
與鷹(よたか)「いや、早い者勝ちって……」
 呆れ顔の與鷹(よたか)であった。
 さておき、せめて奴が使っているオーパーツの詳細が分かれば対策も立てられるのになぁ……と與鷹(よたか)は思う。
 では、お答えしよう……というわけでもないが、誠吾が身に着けている場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)警告電車の痺脚(アラートラム・レグナム)という。
 その効果は視界に入るあらゆる存在に警告を発し、ダメージを与えるというものだ。言うまでもないかもしれな
いが彼が身に着けている白銀の小手とブーツがソレである。
 そして、警告電車の痺脚(アラートラム・レグナム)は、使えば使うほどに不安に駆られるようになっていくのだ。
ドキエル「ならば、こいつはどうよ!禍つ風の演奏(ルフト・シュピーレン)!」
 ゴアッ
 巨大な風の刃を放つドキエルだが、しかし、それは誠吾の遥か上空へと飛んでいく。
 一体何がしたかったのかと思っていると、ドキエルは勝ち誇ったかのような顔でこう告げる
ドキエル「フッ、頭上がガラ空き黙示録だぜ!」
 ドゴオンッ
 先ほどの風の刃は本社ビルの上空を刳り取り落下させるためのものだった。
※ちなみに余談だが、さっきのは『ガラ空き』と『グラーキ黙示録』を掛け合わせた魔術師ジョークである。
誠吾「警告する、ケガするぞ?」
 ガイ〜〜ンッ
 しかし、落下してきた瓦礫は見えない壁にでもぶつかったかのような音を立てて弾かれ、そのままドキエルの元
へ飛んでいく。
メイ(ふるふる)
ドキエル「マジかよ!?」
 驚きつつも跳ね返ってきた瓦礫から飛び退って難を逃れるドキエル。
ウェステリア(遠距離攻撃もダメ、頭上にも死角なしと来たか……)
 つくづく面倒くさい相手だぜ……とウェステリアは心の中で毒づく。
ドキエル(……だったら、もう一つだけ、手はある……)
メイ(こくこく)
 これでもダメだったら、もうお手上げだが……と一抹の不安と一縷の望みを託して、ドキエルは次の攻撃に移る
ドキエル「静かなる風刃(ルフト・ルーイヒ)!」
 ひゅおっ
 それは不可視の風の刃。もし、奴が視界に入るものを対象にカウンターを食らわす術式を使っているのならば、
これであるいは……


続

前の話へ 戻る 次の話へ