#5
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「まだまだ行くぜ！」
グラヌス・マクバ「チッ、あまり調子に乗るなよ！導力接続、コーラン・三章一節！アリフ・ラーム・ミーム」
梶太郎(かぢだろう)「銀號懺月(ぎんこうざんげつ)！」
　ズゴオオンンッ
グラヌス「な、何？！」
　鐘の音が虎の咆哮により掻き消される。
梶太郎(かぢだろう)「極彩虎襲(ごくさいこしゅう)！」
グラヌス「導力接続、コーラン・二章五節！これらの者は、主から導かれた者であり、また至上の幸福を成就する
者である」
　ゴガガガガガガガガガガガッ
　先ほどよりも更に拳圧が増している。
グラヌス（こっ、これは、一体どういうことだ！？）
　やはり、グラヌスにはあずかり知らぬことだが、梶太郎(かぢだろう)の虎伏絶掌(こふくぜっしょう)が不完全で、時間をかけないと本調子が出な
いことが最大の原因である。
　ミシリミシリ……
グラヌス「そんな馬鹿なっ！？」
　そして光り輝く六角形を組み合わせたような防壁に罅(ヒビ)が入っていく。
梶太郎(かぢだろう)「おらあっ！」
　バァンッ
　そして、とどめの一撃とばかりに放たれた右ストレートが防壁を破壊。勢いそのままにグラヌスに迫る
グラヌス「導力接続、コーラン・一章四節！最後の審きの日の主宰者に」
　ドゴオンッ
　光り輝く六角形を組み合わせてできた手甲を纏った拳で梶太郎(かぢだろう)の拳を受け止めるグラヌス。
梶太郎(かぢだろう)「ハアッ！白虎堕天(びゃっこだてん)！」
グラヌス「うごぅ！？」
　すかさず左拳でアッパーを放つと同時に目潰し。更にそのまま肩に食らいつく感じで左拳を叩き込む梶太郎(かぢだろう)。
梶太郎(かぢだろう)「おらあっ！銀號懺月(ぎんこうざんげつ)！」
　更に追撃の手を緩めない梶太郎(かぢだろう)は一旦右拳を引っ込めるや否やすぐさま繰り出し直す。
　虎の咆哮と見紛う衝撃波がグラヌスを吹き飛ばす。
グラヌス「ぐっ、ぐおおおっ！？」
梶太郎(かぢだろう)「これで、終わりだッ！金鯱流楼(きんこるろう)！」
　ドゴスバキベキゴキッ
　そして、最後は流れる水のような華麗な動きでグラヌスを翻弄しつつ拳を直撃させる。
グラヌス「ばっ、馬鹿なぁ！？神の戦士たるこの俺がぁ……」
梶太郎(かぢだろう)「ケッ、自ら神って名乗るヤツにはロクなのがいねぇんだよ！」
　いや、厳密には神じゃなくて神の戦士なんだけどね……
　それはともかく、梶太郎(かぢだろう) VS グラヌス、この死合は梶太郎(かぢだろう)に軍配が上がったのだった。

#6
　梶太郎(かぢだろう)がグラヌスと死合っている頃、総介はレイド・アブスと死合っていた。
レイド・アブス「それが、東洋の神秘、斬鉄とか言うヤツか……」
　総介の持つ刀を見てそんなことを呟くレイド
上(かみ)総介「いや、そんな大したものではないが……」
レイド「だが、そんなものは俺には通用せん！」
　なんせ鉄じゃなくてダイヤモンドだからな！とドヤ顔のレイドであった。
※五ェ門の斬鉄剣が鉄じゃなくてダイヤモンドもスパスパ斬れるように、総介だって同じなんですけどね……
総介「……しかし、貴様らも哀れだな……」
レイド「何を！？」
総介「自分が傀儡だと気づかずに踊らされるほど哀れなものはない」
レイド「貴様ッ！アラーの思し召しを受けた神の戦士を侮辱するとは許さん！」
　総介の言葉を受けて怒りを露にするレイド。
　微妙に会話がかみ合っていない。総介は場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)に操られているのは哀れだと指摘した。しかしレイド
はアラーの神の思し召し通りに動く我らが傀儡だと馬鹿にされたと怒り狂った。
総介「まぁ、いい、とっとと終わらせる。臠蒼極連(れんそうごくりん)！」
　ズザザザザザザザザザッ
レイド「ハッ！導力接続、コーラン・二章五節！これらの者は、主から導かれた者であり、また至上の幸福を成就
する者である」
　梶太郎(かぢだろう)の拳打を防いだ時と同じように、光り輝く六角形を組み合わせたような防壁が総介の斬撃を全て防ぐ。
総介「チッ、厄介な……」
レイド「これがアラーの神の御力よ！」
総介「あぁ、そうかい……抉蒼紅穿(かっそうこせん)！」
　ドギャアンッ
　だったら、コレはどうだ！と総介は剣をドリルのように回転させ穿ちにかかる。
レイド「ハハハハ！無駄なことを……」
総介「それはどうかな？」
レイド「なな、何！？」
　総介の狙いは破壊ではなく、押し返す事だ。偶然にも似たようなことを梶太郎(かぢだろう)もやっていた。
総介「おおおっ！」
レイド「ぐっ、我が信仰が……貴様如きにッ！導力接続、コーラン・三章一節！アリフ・ラーム・ミーム」
総介「ハッ！影蒼入滅(えいそうにゅうめつ)！」
　ビタアッ
レイド「なぁ！？」
　光り輝く六角形を組み合わせてできた鐘を出現させた瞬間、総介が藍后の刄(ブルーエンプレス)をもってして
影縛りを行う。
　これにより、音撃が不発に終わってしまったのだった。


続