Eighter -Blindness Wizard-
37ther 〜間男の癖に生意気 B〜
#3
場所は変わって、富山県、天四斗……
Eighter本部に一人の依頼人が足を運んでいた。依頼人の名は茄子野嗚喇椎……茄子野真生の弟である。
茄子野嗚喇椎「ここが、オーパーツなんでも鑑定団だと聞きつけてやってきたんだが……」
一同「いや、それなんかのTV番組と間違えてません！？」
思わず突っ込みを入れる一行であった。
確かに、BGMはH〇lpじゃないですものね……とかどうでもいいことを呟きだす嗚喇椎。
※いや、一旦そこから離れてください
梓與鷹「ま、まぁ、とりあえず、話は聞きましょう」
とりあえず、オーパーツ絡みであろうことは分かった。で、あれば與鷹が食いつかずにはいられないッ！
嗚喇椎「おお、ありがとうございます！」
そして、嗚喇椎は語る。その依頼内容とは、茄子野家に代々伝わるオーパーツを鑑定してほしいということだっ
た。
與鷹「鑑定……ねぇ……」
確かにEighterはオーパーツを収集、管理する組織である（非公開ですが……）だが、本職は鑑定ではない。
そして、既にお気づきの方もいるかもしれないが、韻麗が欲しがっているのもコレだ。
與鷹「最初に言っておくべきだったが、俺たちはオーパーツを収集、管理するのが本職だ」
嗚喇椎「は、はぁ？」
それが何か？と言った感じの嗚喇椎に與鷹は続ける。
與鷹「つまり、場合によっちゃあ、アンタの家に代々伝わるソレを俺たちが保管、管理するということになるんだ
が、それはいいのか？」
嗚喇椎「そ、それは……」
その言葉を聞いて暫し考え込む嗚喇椎。
嗚喇椎「……わかりました。それで構いません」
悩んだ挙句、嗚喇椎は決断するのであった。
與鷹「よし、じゃあ、行くとするか……」
目をキラキラ輝かせながら、ウキウキした様子の與鷹。こんなところは子供である……
そして、舞台は三重県、鈴鹿市へと舞い戻る。
茄子野真生「その人たちは誰なんだ？」
嗚喇椎「俺の客人だ……」
真生「あぁ、そう……」
嗚喇椎「こちらは俺の兄。誠実一辺倒のつまらない人間ですが、どうぞよろしくおねがいします」
與鷹「は、はぁ……」
なんでお見合いみたいな紹介なんだ？と疑問を浮かべる與鷹であった。
そんなことはさておき、お目当てはオーパーツである。
#4
嗚喇椎「……に、兄さん、アレがないんだ！」
真生「なんだ、騒がしいぞ、弟よ……」
目当てのオーパーツがなくなっていることに気づいて嗚喇椎は血相を変える。
嗚喇椎「ま、まさか、ドロボウ！？」
真生「ちょっとは落ち着け……」
弟を宥める兄。そして、話を聞くことになるのだが……
真生「あぁ、それなら依頼料代わりにあげたぞ」
與鷹、嗚喇椎「ンなぁッ！？」
愕然とするのは嗚喇椎だけではない。與鷹も同じだ。折角オーパーツを楽しみにしてここまでやってきたという
のに、その仕打ちはあんまりだ。
與鷹「い、一体誰にあげたんだ！？」
興奮した様子で真生の両肩を掴んではガクガクと揺さぶりつつ與鷹が叫ぶ
嗚喇椎「ちょ、落ち着いてくださいって……」
與鷹「あ、ああ、すまん、つい……」
今度は與鷹が嗚喇椎に宥められる番だった。
真生「我が家は藍数永寺の檀家であることは、弟のお前ならば知っているだろう？」
嗚喇椎「そりゃあ、まぁ……」
與鷹「つまり、その寺に……寺だとッ！？」
その時、與鷹は凄まじく嫌な予感がした。そして、その予想は正しい。
與鷹（オーパーツを必要とする僧侶なんてひとつしか心当たりがない……）
與鷹「今すぐその寺に行かせてくれ！」
嗚喇椎「どど、どうしたんですか？そんな慌てて」
與鷹「いいから早くッ！」
尋常じゃない様子の與鷹に思わず真生も気圧される。
真生「お、おう……ちょうど富士子さんと一緒に寺を訪ねる予定もあったし……」
嗚喇椎「兄さん、『ふじこ』って名の付く女は裏切る女性に決まっているからやめておけとあれほど……」
真生「五月蠅いッ！いくらお前でも俺の恋路を邪魔することは許さんぞ！」
嗚喇椎「いや、この際だから言わせてもらうけど、人妻に手を出しちゃアカン！」
唐突に兄弟喧嘩が始まりかける。
※ってか、全国の『ふじこ』さんへの風評被害が酷い……
與鷹「今はそんなことはどうでもいいだろ！」
ガガシっと兄弟の腕をつかんでは叫ぶ與鷹。その気迫に、兄弟は喧嘩する気も失せ果てる。
與鷹「その寺に急ぐぞ！」
手遅れになる前に……いや、既に手遅れかもしれないが、急げ！
続
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