Eighter -Blindness Wizard-
31ster 〜強欲が沈む夢跡地(サイハテ) B〜



#3
天然蛍(あましか・けい)炎黒鎧爪(えんこくがいそう)紅龍炎舞(こうりゅうえんぶ)!」
アマイモン「淵鈎塞月(えんこうそくげつ)!」
 ズドドンッ
 黒い炎を身に纏い更なるパワーアップを図ると同時に再び四つの炎龍を打ち出すも、再び、奪い取られ返される
 しかし、その炎は(けい)を傷つけない。逆に癒す。
アマイモン(最悪だ……)
 相手の使用する技を奪って使うというチートスキルを有するアモンだが、奪った技を相手に跳ね返したら相手を
癒してしまうという巫山戯(ふざけ)た状況など想像だにしていなかった。
※かつて泥諏(でぃす)クォヴァが(けい)相手に炎攻撃を繰り出して同じような状況になっていたけど、情報共有できてないのだ
 ろうか!?
 アモンの持つ最大のアドバンテージが失われた今、アモンは苦戦するしかないのだった。
アマイモン(炎がダメなら水か……いや、待て……)
 しかし、そんな考えで(けい)に水属性の攻撃を浴びせようものなら、手ひどい返り討ちを食らうことになるのだ。
※それも、同じ展開が過去にあったんですけど……
 逃げることを塞がれ、十八番を潰され、アモンには座して死を待つほかないのか!?
 いや、そういうわけではない。奪ったものを必ず使わなければならないと誰が決めた!?
アマイモン「来なよ……」
 ニタリと悪い笑みを浮かべるアモン
(けい)「何を企んでいるのか知らないけど、無駄だと思うよ……蒼鳳炎舞(そうほうえんぶ)!」
アマイモン「甘いわッ!淵鈎塞月(えんこうそくげつ)」
 ボシュウウッ
 今度は青い炎の鳳凰を四つをアモンに打ち出すも、アモンはそれをこともなげに奪い取る。
(けい)「あれ!?」
 しかし、先ほどとは違って奪い取った技を跳ね返してこない。
 (けい)の持ち技をすべて剥ぎ取れば、あとはどうとでもなる!そういう作戦だ。
 なお、奪い取る量にも限界はある。だが、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の最高峰である七罪塔(しちざいとう)がたかだか人間に対して遅れ
をとることはないのだ。
※かなりだったら無限に持ち技があるので、流石に全部奪い取るなんてことはできませんが……
(けい)「人のもの、盗ったら泥棒」
 まるでポ〇モンみたいな言い回しである。
アマイモン「巫山戯(ふざけ)るなァッ!」
(けい)「え〜〜。至って真面目なのに……」
アマイモン「貴様ッ!」
 本当に、巫山戯(ふざけ)ているようにしか見えないけれども、(けい)は至って真面目なのがタチ悪い……

#4
(けい)「はぁ、いいよ、仕方がない……盗られちゃったものはしょうがない……黒炎虎舞(こくえんこぶ)ッ!」
アマイモン「無駄だッ!淵鈎塞月(えんこうそくげつ)!」
 ズドンッ
 続いて黒き炎の虎をアモンに打ち出すも、やっぱり奪い取られてしまう。
(けい)「じゃあ、これはどうだッ!虚熔滅炎陣(きょゆうめつえんじん)!」
アマイモン「淵鈎塞月(えんこうそくげつ)!」
 ガゴガガガッ
 無の炎で龍を虚ろの炎で虎を造り、辺り一面を焼き尽くしにかかるも、残念ながら、やはり全部アマイモンに奪
われてしまう。
アマイモン「諦めなよ。もう君に勝ち目はないよ」
(けい)「そうかなぁ?そっちだって奪ってばっかで全然攻撃してこないじゃん」
 それは確かに図星ではある……
(けい)炎水之極(えんすいのきわみ)!」
アマイモン「だから無駄だと言っている。淵鈎塞月(えんこうそくげつ)!」
 ドズズンッ
 アモンが何かを言うのを待つではなく、自由気ままに攻撃を繰り出す(けい)。
 マイペース、ここに極めりと言った感じだ。
 しかし、結果は変わらなかった。水の龍でアモンの動きを封じ、炎の鳥を激突させようと画策してみるも、これ
またアモンに没収されてしまうのであった。
突込魁(とつこみ・かい)(けい)の技が一切合切全て奪われた?!……一体、あいつは何なんだ!?)
 死合の一部始終を見守るしかない(かい)も、流石に焦り始めてきた。
 いや、(けい)を差し置いて一人で焦っていたという方が正しい。
 (けい)が使う流派、炎一刀流……その奥義と言う奥義が全て封殺されてしまえば、それは当然ともいえよう。
※本人が全然焦ってないので緊張感が全くないという怪訝しな状況。
(けい)「はぁ、仕方がないなぁ……」
アマイモン「フン、諦めたか……ならば素直に死ね!」
(けい)「うん、普通に倒すのはあきらめることにするよ」
 コオオオオッ
 何を馬鹿なことを……とアモンが一笑しようとした次の瞬間、(けい)を覆う炎が一際赤く燃え上がる。
 その艶やかで猛々しい深紅の炎は見る者を圧倒する神々しさを持っていた。
アマイモン(な、なんだ……なんだ、アレは!?)
(けい)炎水之極(えんすいのきわみ)夢刃冽火(むじんれっか)!」
 ズドムッ
 水と炎を螺旋の様に絡めて巨大な刃にして全てを薙ぎ払う。

#5
 (けい)から放たれる炎一瞬に気圧されたアモンだが、結局は同じか……と呆れつつもソレを奪い取ろうとする。
アマイモン「淵鈎塞月(えんこうそくげつ)!」
 しかし、今回だけは奪い取れなかった……
アマイモン「何ッ!?」
(けい)「油断大敵って、こういうことを言うんだよ?」
 そして、凶刃がアモンを両断する。
アマイモン「ばっ、馬鹿ッ……」
 それがアモンの最後の言葉であった。
 呆気ない結末……全てはアモンの油断の結果だ……
※なお、アモン撃滅の結果、(けい)の奥義は戻ってくる。
 アモンがさっきの(けい)の技を奪い取れなかったその理由……それは、神の力にある。
 ちなみに、かんなもアモンを倒すにはコレしかないと考えていた。そして、かんなより前に(けい)がそれを実施した
のだ。
(けい)「そういえば、手伝ってって言われてたんだっけ……」
 そのままふらふらっとどこかへ歩き出す(けい)。
 それは総介に協力してほしいと言われた時のこと……
(かい)「あ、ちょっと……マテやコラぁ!」
 そんな(けい)をすかさず突っ込みつつも、(かい)(けい)とともに歩むのであった。

 一方、歴史の墓場……
シャイターン「アモンが堕ちた……」
ルシュファー「それは、どういう?!」
 油断が過ぎた……そう一言で片づけるのは簡単だ……だが、それはあまりにも簡単すぎる……
シャイターン「……」
 七罪塔(しちざいとう)、残り二つ……
 シレントワイザード、Eighter、七罪塔(しちざいとう)……この中から覇者が決まるのはそう遠くない未来であろう……


END

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