Eighter -Blindness Wizard-
28ther 〜位階なき嫉妬と徳 B〜
#3
ラティオテクノロジー本社、屋上
アマイモン「くそッ」
かんなとアモンが死合い始めてから幾許か時間が経過したが、両雄は今だ激しい鍔迫り合いを繰り広げていた。
アマイモン(《キツネザルの使途》め……)
かんなを睨みつけながら内心毒づくアモン。
アマイモン「だが、いつまでも続けていられるわけでもあるまい」
白拍子かんな「確かに、時間をかけるのは得策ではないですね……」
ここにはシレントワイザードの魔術師がいる。
だから、死合が長引けば長引くほどに奴らに時間を与えてしまうことになる。
最も、與鷹、総介と死合っている最中なのでまだ若干の猶予はあるのですが……
そして、かんなは運の女神の異名を持つ女丈夫(?)である。かんなの超強運をもってすれば、まだ焦る段階で
はないということは知れていたのだ。
アマイモン「余裕かましてるんじゃないぞ!人間(風情がッ」
龍の罪科たる牙(を握る手に力がこもる。
かんな(やはり、あちらから攻撃を仕掛けてくることはない……か……)
相手の技を奪っては我が物顔で使用する。そんな厚顔無恥な戦法がアモンの専売特許だ。
だからこそ、アモンの方から大技を繰り出してくることはほぼないと言っても過言ではないだろう。
しかし、このまま鍔迫り合いを繰り広げ続けるというわけにもいかないのも事実だ。
かんな(本来ならば、奪われないように策を練るのが上策なんでしょうけど……)
茜瑙哭((それができないのならば、奪われた後どうするかを考えるしかない、ということだな……)
ちなみに、余談だが、アモンを攻略するにはかなりを使えばよかったりする。かなりはかなりでこの世界、異世
界問わず、全ての技を使うことができるという反則級の逸材だ。技の一つや二つくらい盗まれたところで痛くも痒
くもないのだ。
※まぁ、かなりがやる気を出すことはないと思うので、アモンと死合うってこともないんじゃないかなって思いま
す……
ガガガッガキンッ
アマイモン「お!?」
永遠に続くかと思われた鍔迫り合いも、しかし、突如終焉を迎える。
後方に飛び退ったかんなは神滅超越者(を構え直す
かんな「行きます!鳳鸞舞刃(!」
ゴガアッ
斬撃と同時に平安を齎(す鳳凰が解き放たれる。
#4
アマイモン「それを待っていたんだよッ!淵鈎塞月(!」
ズガムッ
アモンに激突する少し前で。突如として鳳凰が掻き消される。
アマイモン「さぁ、自分自身の技に貫かれて死ね!」
龍の罪科たる牙(で斬撃を放つと同時にそれが鳳凰の姿を成し、かんなに襲い掛かる
かんな「いや、遠慮します」
十分に引き付けてからさらりと水平に移動して回避。鳳凰が地面に激突したのを確認してから元の位置に戻るか
んな。
かんな「鳳鸞舞刃(!」
ドンッ
奪われたものは取り返された!斬撃と同時に再び平安を齎(す鳳凰が解き放たれる。
アマイモン「貴様ッ!淵鈎塞月(!」
再びアモンの手によって奪い取られる鳳凰。しかし、その時すでにかんなは次の行動に移っていた。と、言うか
物理的に移っていた。
※要するに移動していたってことやね。
アマイモン「むっ?!」
アモンの眼前に迫るかんな。最上段に神滅超越者(を構えていたかんなはそれを一気に振り下ろす
アマイモン「なめるな!人間(がッ!」
ついさっき奪ったばかりの鳳凰をリリースして後方に飛び退るアモン。
かんなの斬撃は奪われた鳳凰を一刀両断。しかし、かんなはそこで止まらない。返す刀で追撃を行う
かんな「鳳鸞舞刃(!」
アマイモン「人間(風情が、反応速度で僕たちに挑もうってか、なめるなよ!淵鈎塞月(!」
余裕かましているようにまくしたてるが、内心はちょっとヒヤっとしたアモン。
微塵も顔に出さずに迫る鳳凰を奪い取る。
アマイモン(くそっ……だが、これでは先ほどと変わりねぇ……)
鍔迫り合いとやっていたころと今とでさほど状況が変わっているとは思えない。
再び戦況は膠着状態にあったのだ。
そして、お互いに決め手がない……と、いうわけではない。かんなはまだ茜瑙哭(覚醒していないし、アモンの方
も冥王の心臓というパワーアップアイテム(?)が切り札として残っているのだ。
しかし、このままかんなに後れを取り続けるというのは癪だと、言うわけでアモンは冥王の心臓を使うことを決
意
アマイモン「ハデステリト……何!?」
冥王の心臓には重大な欠陥がある。それは、誰かが使っている状態で同時に他の誰かが使うと著しく効果が下が
るという点だ。
アモンが使おうとした時点で使っているということは、今使っているのはレヴィアに他ならないということだっ
た。
続
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