Eighter -Blindness Wizard-
28ther 〜位階なき嫉妬と徳 A〜



#0
 七罪塔(しちざいとう)、シレントワイザード、Eighter……三つの勢力が大阪にて激突す。
 この三つ巴の死合の果て、誰が最期に笑うのか
※いや、その『最期』ってなんか違うから!

#1
ウェステリア「この前のカリは百億倍にして返してやるぜ!」
梓與鷹(よたか)「百億倍って……」
 そんな子供じゃないんだから……と若干呆れる與鷹(よたか)。
 しかし、ウェステリアは至って真面目だ。寧ろ有言実行したいくらいある。
ウェステリア「早速死ねやッ!唸る鉄刃(アイゼン・シュトーネン)ッ!」
與鷹(よたか)聖狼躱虚(しょうろうたうろ)」
 ガドゴンッ
 距離を詰めると同時に一刀両断にかかるウェステリア……を完全回避してカウンターを叩き込む與鷹(よたか)。
ウェステリア「チッ、またそれかよ!てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか!」
與鷹(よたか)(ってか、毎回一回は必ずそのセリフ言わないと気が済まないのか?)
ウェステリア「おらっ、おらおらっ」
與鷹(よたか)「はっ!ほっ!」
 ガッゴッドッ
 別の技を駆使して敵を倒す……のではなく、基本に立ち戻っての激突。拳とハルバードが激しくぶつかり合う。
ウェステリア(チッ、こいつ、強ぇな……だが、押し通す!ミーコ!)
ミーコ(仰せの通りに……)
ウェステリア「だが、勝つのは俺だッ」
 暫く鍔迫り合い(?)を繰り広げたのち、両雄は一旦巨襟をとる。
 そして、ハルバードを上段に構えてウェステリアが叫ぶ。
與鷹(よたか)(仕掛けてくるか……)
ウェステリア「喧しい鉄刃(アイゼン・ラゥト)!」
 ドギャギャギャギャギャッ
與鷹(よたか)「ぐっ?!」
 轟音と共にハルバードを振るうウェステリア。
 與鷹(よたか)は一瞬怯むも、迫る凶刃を辛うじて回避。そのままカウンターを叩き込もうとするが、ウェステリアは更に
追撃を行う
ウェステリア「煌烈の鉄刃(アイゼン・フォンケル)!」
 カカッ
與鷹(よたか)「くっ」
 音に続いて光。視覚と聴覚を封じて優位に立とうという算段だ。
テノ(だるだる〜〜)
 スカカッ
ウェステリア「何だと!?」
 勝利を確信し、ハルバードで十字に切り裂こうとするも、與鷹(よたか)はそれを辛うじて回避。
 例え聴覚と視覚が封じられても、テノが危険を教えてくれる。そのおかげで與鷹(よたか)は凶刃を回避できたのだ。

#2
ウェステリア「だったら、これはどうだッ!夢幻の鉄刃(アイゼン・エルシャイノン)!」
 召喚呪術の影響でハルバードが無数に増える。
 しかし、それは幻影であり、実際にはハルバードは一本のままだ。
與鷹(よたか)「おおおっ」
 ドンッ
ウェステリア「馬鹿なッ!」
 與鷹(よたか)の拳がハルバードの柄を捕える。
 視覚と聴覚がまだ不完全な與鷹(よたか)だったが、魔術師としての血も相まってなのか……は不明だが、気配察知スキル
が高まっていた。
 殺気を読むということでもあるのだろうか……
 ともかく、與鷹(よたか)は的確にウェステリアの凶刃がたどる軌跡を知ることが出来た。
※いや、そもそも視覚を封じてるのに幻影を見せる技は意味がないのでは……
與鷹(よたか)「これはさっきのお返しだ。冥狼舞吼(めいろうぶこう)殺凪(せつな)」
 カッ
ウェステリア「ぐおぅ!?」
 白い閃光を纏った拳がウェステリアの視界を奪う。
 やられたらやりかえす、意趣返しだ!
ウェステリア「眼が〜〜、眼が〜〜」
 目を押さえて狼狽えるウェステリア。どこのム〇カだよ!
ウェステリア(クソッ、ミーコ!)
ミーコ(仰せの通りに……)
 だが、ウェステリアもシレントワイザードの魔術師、しかも呪装四天王の一角である。
 與鷹(よたか)と同じ……なのかは分からんが、召喚呪術の力を駆使すれば、相手の位置とかは把握できるのだ。
與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)翳噛(えいごう)!」
 ドガガガガガガガガガッ
 刹那の瞬間に繰り出される九回の拳打。しかし、それはウェステリアには届かない。いや、(むし)ろ、明後日の方向
に拳打が飛んで行っている。
ウェステリア「ハッ!どこを狙ってやがる!」
 まだ、貴様の五感は万全ではないようだな!と與鷹(よたか)を馬鹿にするウェステリア。
 しかも、今の攻撃で與鷹(よたか)がどこにいるのかを把握できたことは幸いと襲い掛かる。
 ドガガガガガガガガガッ
ウェステリア「うおおおおっ!?」
 だが、忘れることなかれ、先ほど與鷹(よたか)の繰り出した奥義は九回の実体拳の後に影の拳が同じ数だけ襲い掛かると
いう二段構えの代物なのだ。
 だが、それでもウェステリアの気配察知能力が迫る影の拳を回避していく。
與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)!」
 ガドドドドドドドドドッ
ウェステリア「あぎゃはぁ?!」
 流石に影の拳を回避した後に再び與鷹(よたか)の拳を回避するのは無理があった。
 かくて、ウェステリアは與鷹(よたか)の前に砕け散るのであった。


続

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