Eighter -Blindness Wizard-
27ther 〜異例なき殺戮と罰 D〜



#7
 ここで場所は再び株式会社センサスへと移る……
フキエル「沈めぇッ!」
白拍子かれん「嫌よっ!」
 ドンッ
フキエル「おおっ?!」
 フキエルの凶刃を何とか押し返したかれんはすぐさま距離をとる。
フキエル「逃がさんッ!圧し潰す水塊(ヴァッサァ・ザックライナン)!」
かれん「このっ!晦麟極舞刃(かいりんきょくぶじん)!」
 ズドムッ
 逃げるかれんに対して追撃の水塊を打ち出すフキエル。
 だが、かれんは今度は天へ打ち上げる麒麟の斬撃でこれに応戦。
フキエル「チッ、少しはできるってことか……」
かれん「それっ、もう一発よ!蒙龜極舞刃(もうきゅうきょくぶじん)!」
フキエル「甘いッ!穿ち抜く水杭(ヴァッサァ・ボーヘン)!」
 ドンッ
かれん「うそん!?」
 フキエルが舌打ちしているスキを付いて血の底へと引きずり込む(かめ)を解き放つかれん。しかし、地面から飛び出
た水の槍がそれを串刺しにする。
フキエル「フッ、天に針天井、地に地雷原……これが俺のセラエノの真骨頂よ」
※いや、そのフレーズ、正しくは『天に竹林、地に少林寺』だから!更に言うと少林寺拳法だから!
 火の鳥は相性が悪く、上空への攻撃は封じられ、その逆もまた然り……
かれん「だったら、これはどうよ!闇龍極舞刃(あんりょうきょくぶじん)!」
 で、あればそのどれにも当てはまらない攻撃を繰り出せばよい。
 龍の斬撃がフキエルに迫る。
フキエル「そうくるだろうということは予測済みだぜ!呼吸する水輪刃(ヴァッサァ・アートムング)!」
 ズシャアアアッ
 リング状の水の刃が回転しながら龍の斬撃を切り裂いていく。
 上空への攻撃も地底への攻撃も封じたのは全てここへ誘い込むためのフキエルの策だったのだ。
フキエル「さぁ、どうする?……フフフ、万策尽き果てたか?」
かれん「……確かに、現状では万策尽きたと言えるわね……」
フキエル「だったら、死ぬか、帰るか、二つに一つだな!」
かれん「冗談じゃないわ!」
 そもそもかれんは『現状では』と強調して『万策尽きた』と言い放った。
 そう、かれんにはまだ奠夷瑪の加護がある。それだけではなく、力の底上げの術もある。
 持てるすべての力をかれんはまだ尽くしていないのだ。
※自らを窮地に追い込むような、そういうとこがドMって言われるんやぞ……

#8
かれん「でも今のままじゃきついから少〜し本気出させてもらうわ」
フキエル「なんだと!?貴様……まさか、今まで本気じゃなかったとでもいうのか!?」
かれん「戦力を温存するのは戦いの基本よ。KR耀(こくげんよう)!」
 ボボボボボボボッ
 闇の炎がかれんを包み込み、かれんの力を増幅させる。
 ちなみに、かれんが最初から全力でかからないのはなにもかれんがドMだからではない。
 この後エランドラや七罪塔(しちざいとう)とも死合わないといけないかもしれない。だから、最初から全力で死合うわけにはい
かなかったのだ。
※フキエルが予想外に強かったというか、相性が悪かったのでやむなしと言ったところだ。
かれん「闇龍極舞刃(あんりょうきょくぶじん)!」
フキエル「呼吸する水輪刃(ヴァッサァ・アートムング)!」
 ゴガッ
 カイ〜〜ンッ
フキエル「ンなにぃ!?」
 先ほどは龍の斬撃を切り裂いたリング状の水刃が、今度は面白い感じに弾き飛ばされる。
 パワーアップの度合いがハンパない。
フキエル(クッ、奴のあの力は……)
ナナ(危険で、あります)
フキエル(ならば、こちらも、リスクを覚悟で挑まねばならないということか……)
ナナ(了解で、あります)
フキエル「無限の知識を蓄えし昴なる流水の魔星、その御力、我が剣となりてここに顕現せよ、セラエノ!」
 決着を付けるための覚悟。魔形刀(マナヒョンド)二刀流。
フキエル「いくぜ!」
ナナ(全集中で、あります)
フキエル「呼吸する水輪刃(ヴァッサァ・アートムング)!」
※いや、それはアカンやろ!呼吸する水輪刃(ヴァッサァ・アートムング)は文字通り、(ドイツ語で)水の呼吸(とういう意味)なのだから
かれん「だが、甘いっ」
 ズムッ
 二刀流から放たれたリング状の水刃……そのわっかの部分に刃を突き立ててからめとるかれん。
かれん「これは返すわ!」
フキエル「いらねぇよ!」
 更に投げ返すかれん。辛うじてそれを回避するフキエルだが、その隙を逃さずかれんが追撃を行う。
かれん「闇暝極蒙晦(おんみょうごくぼうけ)!」
 ドンッ
フキエル「ぬごおおッ!?」
 一気に解き放たれた鳳凰、龍、(かめ)、麒麟の四つがフキエルに襲い掛かる。
ナナ(敗北で、あります)
 フキエル VS かれん、ここに決着す!

#9
かれん「ちょっと時間を食いすぎかしら?」
 株式会社センサス本社ビル上層部を見上げながら独り言ち。
 かれんの戦いはまだこれからなのだ
※何!?その打ち切りみたいな言い回し
 とりあえず、かれんは本社ビルの上層を目指す。そこにいるであろうエランドラと七罪塔(しちざいとう)を止めるために。

 ここで、一旦ラティオテクノロジーの方に話は戻る。
(かみ)総介「ぐっ……」
ドキエル「やはり最後に正義は勝つのだ!」
総介(いや、どう考えても貴様は正義ではないッ!)
 ドヤ顔で勝利にふけるドキエル。
 やはり、ドキエルの力がいつもよりも増幅していたこの場所で、総介がドキエルに勝利するのは難しかった。
ドキエル「さて、この後はどうすっか……」
 ウェステリアの死合に助っ人に向かうという手もあるのだろうが、おそらくウェステリアはそれを望まない。
 下手すると喧嘩売ってんのか!とイチャモンつけられるかもしれない。
ドキエル「……んん?!」
 と、ここでドキエルはかんながいないということに気づく
ドキエル「ま、まさか!?」
総介「フッ、今頃気づいたか……」
ドキエル「クソッ!」
 慌ててドキエルはかんなを探しにその場を後にする。
 さて、他のメンバーの死合はどう展開しているのだろうか……


END

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