Eighter -Blindness Wizard-
27ther 〜異例なき殺戮と罰 C〜



#5
ドキエル「今日の俺は一味違うぜ!前と同じだと思っていると痛い目を見るぞ!」
 ズビシっと指を突き付けてドキエルが叫ぶ
(かみ)総介「フン、御託はいいから、とっととかかってきな!」
 後悔すんなよ……と言いつつドキエルは鉤棍(トンファー)を振るう
ドキエル「空っ風の刃(ルフト・クリンゲ)!」
 ヒュゴッ
総介「フン」
 無数の風の刃が総介に襲い掛かるも、軽々と回避して見せる総介。
総介「臠蒼極連(れんそうごくりん)!」
 ゴガガガガガガガガガッ
 そして、これはお礼だ、とっときな!と言わんばかりに九連斬を繰り出す総介
ドキエル「禍つ風の演奏(ルフト・シュピーレン)!」
 ズドンッ
総介「……」
 巨大な風の刃が九連斬を掻き消して総介に迫るも、またしても軽くあしらう感じで避けて見せる。
総介(だが、確かに以前よりも威力は増しているように見えるな……)
 冷静に分析してみる総介。しかし、前からそれほど時間が経っているわけでもない。
 前に死合った時は力を隠していたと、いうこともおそらくはないだろうからこそいきなりパワーアップした理由
が分からない。
総介(まぁ、手っ取り早くパワーアップする方法はないわけでもないが……)
 いわゆる薬物強化ってヤツだ。
 だが、結論から言うと薬物強化ではないのだ。ではなんなのかと問われれば、応えは後程、明らかになるだろう
……
ドキエル「ならば、これはどうだッ!圧壊せし風槌(ルフト・ドルック)!」
 ビュゴアッ
 まるで風の塊が落ちてくるかのような圧迫感が総介を襲う。
総介「クッ」
ドキエル「どうした!?貴様の力はその程度か!?」
 なおも風圧は増していく。
総介(チッ、止むを得んか……)
 懐から刀をもう一本。
 雌雄一対、それこそが青臣(せいしん)の真価。
総介「あまり調子に乗るなよッ!」
 ズガムッ
 十字に薙ぎ払い風の圧を斬り飛ばす。と、同時に飛び掛かる。
ドキエル「大いなる種の住処、超銀河の颶風の魔星、その御力、我が翼となりてここに顕現せよ!イース!」
 そんな中ドキエルは魔形刀(マナヒョンド)をもう一つ掲げて召喚呪術を使用。
 鉤棍(トンファー)二刀流で一気に畳みかける算段だ。
ドキエル(いける!この場所ならば俺は奴を超えられる!)
ドキエル「潰れろッ!圧壊せし風槌(ルフト・ドルック)!」
 ドドンッ
 風の塊を二つ、挟みこむように総介に飛ばして叩き潰しにかかるドキエル。

#6
総介「ハッ」
 だが、しかし迫る風圧を上空に飛んで回避する総介。
 こともなげに回避して見せた総介だが、しかし、実はギリギリのタイミングだった。もう少し遅ければ確実に風
の圧に潰されていたかもしれないのだ。
 まぁ、そんな焦りを微塵も表に出さないのが総介なのですが……
ドキエル「だが、まだ終わりじゃないぜぇ!空襲せし飛燕(ヒンメル・シュワルベ)!」
 雨を予期する燕のごとく低空飛行で風の刃を飛ばすドキエル。
総介「無駄なことを……」
※本当に無駄なこと……総介が上空に飛んで逃げてるのに、超低空飛行の技って何がしたかったんだ?
総介「抉蒼紅穿(かっそうこうせん)!」
ドキエル「圧壊せし風槌(ルフト・ドルック)!」
 ドギュルゴゴゴゴゴッ
 そのまま青臣(せいしん)をドリルのように回転させながら突撃する総介に対して風の塊を盾として使うドキエル。
ドキエル「ぬ!?」
 風の壁をドリルのように回転させた青臣(せいしん)が巻き起こす風が絡めとり削り取っていく。
ドキエル(これは……ヤバイ!?)
メイ(こくこく)
 いや、そんなことやってる場合じゃないだろうというか、そんなことやらなくてもわかるというか……
総介「オオオオオッ!」
ドキエル「クソッ」
 さすがにこのままではマズイと後方に飛び退るドキエル。ドキエルがいた場所に青臣(せいしん)が激突し床を刳り取る。
※総介もここが会社だってことを忘れているのでは!?
 圧壊せし風槌(ルフト・ドルック)は総介に対して相性が悪かった。
総介「貴様の力の秘密も漸く分かった……」
ドキエル「何だと?!」
総介「実に巫山戯(ふざけ)た話だが、貴様はこの場所だからこそ、いつもより力を発揮できると、いうわけだ」
ドキエル「ぐっ……」
 それは正に的を得ていた。
総介「ビル風は通常の風よりも強い……」
ドキエル「だが、分かったところで貴様にはどうすることもできんッ!くたばれッ!」
 確かに、ドキエルの強さの秘密が分かったところで総介には何か対策がとれるわけではなかった。
 それでも、逃げるという選択肢はない。ならば、あとは死力を尽くすのみ。
 かくて総介とドキエルの死合は最終局面へと突入するのだった。


続

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