Eighter -Blindness Wizard-
26ther 〜遺体なき殺人と罪 D〜



#7
 さて、シレントワイザードが静かに動き出したそのころ、我らがEighterはというと、大阪にいた。
 しかも、ラティオテクノロジー本社の会議室にだ。これはなにもかんなの超強運が呼び起こした奇跡などではな
い。
 純粋に依頼を受けてここにきていたのだ。
梓與鷹(よたか)「ええと、要するに株式会社センサスをどうにかしてほしい……と……」
ヒプノス・カイミン「……簡単に言うとそうなりますな……」
 そんな一言にまとめないでほしいなぁ……と内心で思いつつヒプノスは告げる。
オリフィー・エルノア「相手はしつこく我がラティオテクノロジーを狙っています」
 これまではどうにか知恵を振り絞り撃退することに成功してきましたが、今後も同じようにいくとは限らない。
 そこで、軍師の肩書を持つ謎の社員、オリファーはEighterを外部戦力として呼び出したのだ。
與鷹(よたか)「とは言えなぁ……」
 軍師の名は伊達や酔狂ではない。彼が提示した作戦書に目を通してみたが、Eighterが口出しできるような要素
はどこにも見当たらない。
(かみ)総介「フン、ダメだな!」
 と、その時、その場に突如総介が桜とともに推参する
與鷹(よたか)「お、おい、総……」
 與鷹(よたか)から作戦書を奪い取って流し読みするなり駄作だとでも言わんばかりに放り投げる。
ヒプノス「なっ、アンタ、いきなり入ってきて失礼だな……」
オリフィー「私の策にケチをつけるとは、まさか、私以上の策を持っているとでも?」
総介「ハッ、そんなものはないわッ」
 いや、だったら口出しすんなよ……と内心毒づくオリフィー
山咲(やまざき)桜「まずは、警部の言葉をお聞きください」
ヒプノス「いきなり乱入してこの狼藉……」
オリフィー「……いや、いいでしょう、聞いてみましょう……」
ヒプノス「……」
 文句の一つでも言いたかったヒプノスだったが、オリフィーがそういうのだから、少し頭を冷やしてみる。
総介「確かに、貴様の考えたこの策は人間相手ならばまず失敗はしないだろうな」
ヒプノス「ハッ、何を言い出すかと思えば……それじゃあ何か、人外が攻めてくるとでも言うのか?」
 人間相手なら失敗しないということは、逆を言えば人外相手には失敗するということだ。
 だが、今の時代に人外が出張ってくるわけがないと、ヒプノスは一笑する。
 しかし、この場に居合わせたEighterの面々はそうは思っていなかった。

#8
與鷹(よたか)「おい、総……まさか……」
総介「あぁ、そのまさかだ!」
 そもそも、総介がこの場にやってくる時点で答えはひとつしかない。
 七罪塔(しちざいとう)がやってくるということだ。
桜(警部はとある事件を追って大坂までやってきたのですが、その時、七罪塔(しちざいとう)が襲い来るという情報を察知したの
で急遽予定を変更してこちらに来たんです)
與鷹(よたか)(え?予定を変更して?)
 桜から話をひっそりと聞いてみた與鷹(よたか)だが、その中で聞き捨てならないセリフが出てきたので思わず聞き返す
桜(はい、それは……)
総介(待て!そんなことは今はどうでもいい!)
桜(……すみません)
 ギロリと総介に睨みつけられると、桜はそれ以上何も語らなかった。
與鷹(よたか)(ちょっと待てよ、総……予定を変更ってのはどういうことなんだ?)
総介(今はそのことを話している場合ではないッ!)
 いや、そうは言われても、気になるものはしょうがない。
白拍子かんな「リーダー……」
 かんなも何やら物憂げな表情で訴えかけてくる。
與鷹(よたか)「総ッ!」
総介「ええい、そっちもちゃんと手は打ってあるから安心しろ!」
 これ以上その話はせん!と宣言したも同然な総介。
 釈然としないものの、とりあえずはこっちの話に集中することにした與鷹(よたか)なのであった。
かんな「……」
 だが、そんな中でかんながただ一人、持ち前の超強運で全てを悟った。
かんな(かれん姉さん……)
 唐突にかれんの名を呟くかんなだが、これにもちゃんとワケがある。
 先ほど総介が言った手を打ったというのもかれんのことだ。もうひとつの現場にはかれんが向かっているという
ことなのだ。
※きっとかなりにも話はいったんだと思うけど、やる気が出ないなの、なんなのとゴネてかれんが一人で向かう羽
 目になったのは想像に難くない。
與鷹(よたか)「おう、総……もし、お前の予測が正しいんだとたら……」
総介「あぁ」
 シレントワイザードも必ずここへやってくる。
ヒプノス「お〜〜い、話についていけないんだが……」
総介「ここから先は俺が仕切る」
ヒプノス「そんな無茶苦茶な……」
オリフィー「……そうか、アンタはSRAPの(かみ)総介か……」
 ならば、お手並み拝見と行こうか……と続けるオリフィーなのであった。

#9
 一方その頃……
白拍子かれん「もう、どうして私がこんなことに……」
 しくしくと泣きながらかれんは株式会社センサスへと向かっていた。
フキエル「おっと、エランドラ様の邪魔はさせないぜ!」
かれん「こっちは忙しいの。アンタと遊んでいるヒマはないのよ!」
フキエル「貴様ッ!こちとら遊びじゃねぇんだよ!」
 ウェステリアじゃないが、喧嘩売ってんのか!と叫びたくなったフキエルだった。
フキエル「どうしてもここを通りたいってんなら、俺を倒してからにするんだな!」
かれん「あ〜、もうわかったわよ……アンタだけは落とす!」
 お前はどこのバ〇ージだよ!
 かくて、ここにフキエル VS かれんの死合は始まった。

 そして、ラティオテクノロジーの方にもシレントワイザードの魔手は来る。
総介「来たか……」
 ドゴオンンッ
オリフィー「うそん!?」
 突如本社ビルの上層に位置するこの会議室のドアが破壊され、漢が少女を連れて殴り込んでくる。
 さぁ、役者は……あれ?そういえばラティオテクノロジーには七罪塔(しちざいとう)が出てきてないな……
 と、ともかく役者はほぼ揃った!


END

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