Eighter -Blindness Wizard-
25ther 〜魔拳と邪拳と王拳 B〜



#3
フキエル「し、死ぬかと思った……」
 (ゆたか)(ゆたか)で無意識のウチに手加減でもしていたのだろうか、必殺の一撃を受けて、マジで死亡したかに思えたが、
そんなこことはなかった。
天宮裕(あまみや・ゆたか)「てめぇじゃ話になんねぇ!失せろ!」
フキエル「いやいやいや、俺には荷が重すぎたって、最初から分かっていたでしょうが、エランドラ様」
エランドラ「そうか?一万回くらいやったら一回くらいは勝てると思ったんだが……」
フキエル「そういうところですよ!」
 それ、無理ゲーって言うから……
(ゆたか)「で、次はてめぇが相手をするのか?」
エランドラ「おう!……と、言いたいところなんだがな……俺が相手じゃお前では勝ち目がないと思うぞ」
(ゆたか)「はぁ!?貴様、俺に喧嘩売ってんのか!」
 ビキっと怒りに満ち満ちた表情で(ゆたか)が叫ぶ。
エランドラ「おぉ、今のはウェステリアにそっくりだな」
フキエル「いやいや、笑い事じゃないですよ!」
(ゆたか)邪狼群憑(じゃろうぐんひょう)ッ!」
 ゴゴゴゴゴゴッ
 黒い気を纏って更にパワーアップを図る(ゆたか)
(ゆたか)「呪装四天王なんぞに興味はねぇが、貴様を殺して俺がその座に立ってやる!」
エランドラ「やっぱ、俺は口で言うのは不得意だな。ガハハハハ!ルル!我が元に帰れ(ヴォレーゲン)!」
ルル「イエス、マスター」
エランドラ「碧玉の荒ぶる双炎に照らされし灼熱の魔星、その御力、我が牙となりてここに顕現せよ、シャガイ」
 手にした魔形刀(マナヒョンド)に緑色の炎が集まり大剣を成す。
 エランドラも馬鹿だから(ゆたか)との力量が見えていないためにこんなことを言いだしたのではない。
 (ゆたか)の使う召喚呪術はヤークシュ。属性は氷。一方、エランドラの使う召喚呪術はシャガイ。属性は炎だ。
 そう、ポケ〇ンのタイプ相性で言えば氷が炎に勝てるわけがないのだ。
※ただし、氷が水複合だった場合は別です。……って、ゲームの話かよ!
(ゆたか)滅狼凍河塵(めつろうとうがじん)!」
エランドラ「揺らぐ炎の羽撃(フランメ・フラッテルン)!」
 ゴドガアッ
(ゆたか)「ぐがあ?!」
 流石に冷気を纏った黒い気の拳も緑の炎の渦の前には通用しなかった。
(ゆたか)「クソッ……そういうことかよ……」
 漸くエランドラの言った言葉を理解した(ゆたか)であった。

#4
(ゆたか)「だが、一つ分かったぜ……」
 俺はこんなところで立ち止まっている場合じゃないッ!と立ち上がる(ゆたか)(ゆたか)與鷹(よたか)の野郎をブチ殺す!それこそが俺の至上の命題ッ」
 いやいや、無茶苦茶にも程がある。
(ゆたか)「ならば、こんなところで燻っているわけにはいくまいッ!」
エランドラ「まぁ、なんかよく分からんが、頑張れや」
 その言葉を最後にエランドラはその場を後にするのであった。
 そして、フキエルもその後を追っていく。
(ゆたか)與鷹(よたか)、必ず貴様を殺す!」
 決意を新たに、(ゆたか)は修羅となる。

梓與鷹(よたか)「……無視するという手も無きにしも非ず……だったか……」
 数日後、與鷹(よたか)は再び剣岳を歩んでいた。
 (ゆたか)からの呼び出しを受けたからである。與鷹(よたか)自身も先ほど呟いていたが、呼び出しに応じなくてはいけない義理
はない。
 だが、双狼拳伝承者たる與鷹(よたか)には逃げるという選択肢もないのだ。
テノ「だる〜〜」
與鷹(よたか)「いや、大丈夫だ……」
 特に何か心配しているようでもないのかもしれないが、とりあえずそんなことを言ってみる與鷹(よたか)であった。
 さておき、與鷹(よたか)は前回(ゆたか)と死合った場所へとたどり着く。
(ゆたか)「フッ、この俺に臆せず来たことだけは褒めてやる!」
ウェル「あ〜、うん。そね……」
與鷹(よたか)(いや、なんで上から目線なんだよ……)
(ゆたか)與鷹(よたか)ッ!俺は貴様を殺さない限り一歩たりとも前に進めねぇッ!」
ウェル「あ〜、うん。そね……」
與鷹(よたか)「お前も、懲りない奴だな……」
テノ「だるだる〜〜」
(ゆたか)「だから、今日という今日こそは死んでもらうぜ!」
ウェル「あ〜、うん。そね……」
與鷹(よたか)「生憎と、そう簡単に死んでやるわけにはいかないがな……」
テノ「だるだる〜〜」
與鷹(よたか)(ゆたか)(こいつら、ウゼぇ……)
 完全に絶対に、例え天変地異が起こったとしても相容れないはずの二人が、初めてシンクロした瞬間であった。
(ゆたか)「ウェルゥウウウッ!我が元に帰れ(ヴォレーゲン)ッ!」
ウェル「あ〜、うん。そね……」
與鷹(よたか)「テノ、真書須らく翻れ(ウバゼッツァー)!」
テノ「だる〜〜」
 Y[ou]taka、まずは魔導書を身に纏う。
※いや、だから(ゆたか)與鷹(よたか)をその表記でひとまとめにすんのやめい!
(ゆたか)邪狼群憑(じゃろうぐんひょう)ッ!そしてぇ、凍てつく無貌の闇に包まれし黒き魔星、その御力、我が拳となりてここに顕現せよ、
ヤークシュ!」
 (ゆたか)、最初からクライマックスだ!


続

前の話へ 戻る 次の話へ