Eighter -Blindness Wizard-
24ther 〜狂気の果ての教場 B〜



#3
ドキエル「貴様ッどうやって?!」
(かみ)総介「フン、教える義理はない!」
 まぁ、当然だな。
 さらに言うと知ったところで真似できないしね。
ドキエル(どうやってアレを回避しやがった?!……まるで未来を予測したかのような……いや、まさかな……)
 しかし、迷っている場合でもない。それそろ決着をつけなければ、こちらが危うい。
ドキエル(行くぜ!)
メイ(こくこく)
ドキエル「砕け散れ!空襲せし飛燕(ヒンメル・シュワルベ)!」
 ガガガガガガガガッ
 両手の鉤棍を左右に薙ぎ払って風の刃を飛ばすドキエル。その風の刃はまるで雨を予期する燕の如く低空飛行で
総介に迫る。
総介「ハッ!駆流蒼転(くりゅうそうてん)!」
 迫る風の刃に向かって突撃し、そのまま風の刃を回避して、更にドキエルに迫る総介。
 低空飛行だったこともあり、回避は割と簡単だった。
ドキエル「ン何ぃ!?」
 度肝をに浮かれたドキエルだが、上空へ回避、と、同時に総介がその場を駆け抜ける。
ドキエル「終わりだッ!」
 その時、風の刃がブーメランの様に舞い戻る。
 自分を通り越して総介へ襲い掛かったのを確認した後に着地して勝利を確信するドキエル。
 ズドンッ
ドキエル「ゲハァッ!?」
 だが、しかし、ブーメランの様に舞い戻るのはドキエルの技だけではなかった。
 総介の繰り出した奥義もまた、相手に突撃して斬撃を食らわせた後、反転してもう一度突撃と斬撃を食らわす二
段構えの奥義なのだ。
※ちなみに、総介は帰ってきた風の刃はもう一度回避しています。やっぱちゃんと斃せたかどうか(敵に当たった
 のかどうか)の確認って大事だよね。

ウェステリア(チッ、ドキエルの野郎、負けやがって、あいつ、俺に喧嘩売ってんのか!)
 いや、無茶苦茶過ぎんだろ!
 さておき、ウェステリアは余裕かましてドキエルの方を見ているというわけではない。ドキエルと総介との死合
の結果を傍受したような感じだ。
ウェステリア(こちらとしてもこれ以上時間をかけるのは得策じゃねぇな……)
ミーコ(仰せの通りに……)
 ウェステリアが與鷹(よたか)を倒せば一勝一敗で引き分け、勝ち残った二人で決勝戦……なんてシステムはないが、負け
られない戦いがここにあった。

#4
ウェステリア「死ねッ!燃える獣王の鉱刃(エルツ・ブレナン・ルーヴァ)!」
 ハルバードを與鷹(よたか)に投げつけるウェステリア。
 するとハルバードが鋼で武装した獅子に変身、そのまま與鷹(よたか)に襲い掛かる。
梓與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)翳噛(えいごう)!」
 ズドドドドドドドドドッ
 刹那の瞬間に繰り出される九回の拳打が鋼の獅子を捕え、打ち砕く。
ウェステリア「これで終わりだッ!」
 ここでようやく先ほど地面に突き立てておいたもう一本のハルバードを手に取り一気に與鷹(よたか)に襲い掛かる。
 攻撃を繰り出した直後にこそ一瞬の隙がある!その一瞬の隙こそが最大のチャンス!と言わんばかりだ。
※このためにもう一本武器を用意しておいたのだろうか……
 ゴガガガガガガガガガッ
ウェステリア「ぬぐおっ?!」
 しかし、現実はそう甘くはない。與鷹(よたか)自身の攻撃は終わっているが、今度は影の拳が九回ウェステリアに襲い掛
かる。
與鷹(よたか)「浅かったか……」
 寸でのところで後方に飛び退って直撃を回避したウェステリア。
ウェステリア(チッ、どうやらここまでか……クソがッ!)
 そのままウェステリアは伸びてるドキエルの襟首を掴んでは持ち運ぶ。
ウェステリア「次に合う時こそ、貴様を殺す!覚えて起きやがれ!」
 そんな捨て台詞を残してウェステリアは去っていくのであった。
與鷹(よたか)「ふぅ……」
 どうにか退けることには成功したと、ほっと一安心の與鷹(よたか)。
総介「だが、まだ終わったわけじゃないぞ」
與鷹(よたか)「あ、ああ、わかってる」
 今回の目的は七罪塔(しちざいとう)の凶行を止めることだ。
 だが、しかし、既に手遅れな気もするが……
 ともかく、與鷹(よたか)と総介、それに桜は学校の中へ……

山咲(やまざき)桜「やはり、手遅れですね……」
 とある教室の前を通りかかった際に、桜が悲し気な表情でそんなことを言う。
 その教室とは言わずもがな朝比奈愚(あさひなぐ)のクラスだ
與鷹(よたか)「……これは……」
 教室の中をのぞき込んでみると、教師も生徒もみな等しく机に突っ伏して微動だにしていなかった。
 彼ら、彼女らは場違いな黒き遺物、七罪塔(しちざいとう)天命(ネフェシュ)を奪われて死んだも同然となっているのだ。
 これは何も與鷹(よたか)らがシレントワイザードとの死合に時間をかけ過ぎたせいではない。最初から遅かったのだ……

#5
総介「七罪塔(しちざいとう)は逃げたか……」
 屋上へ総介らが駆けつけると、そこには抜け殻同然となった朝比奈愚(あさひなぐ)のナレノハテだけが残されていた。
 すでに七罪塔(しちざいとう)が《嫉妬(エンヴィー)》レヴィアタンは逃げた後である。
白拍子かんな「すみません……」
與鷹(よたか)「いや、かんなが謝る事じゃないさ……」
 寧ろよくやったと、言っても気休めにもならないだろう。そんな中総介は静かに言い放つ。
総介「帰るぞ、もはやここにいても意味はない!」
與鷹(よたか)「お、おい、総……」
 その言い草はあんまりだ……
 しかし、それもまた、純然たる真実なのは確かだ……
総介「分かっているだろう……この惨状……」
 クラス一つが潰された……そして、その場に居合わせている部外者……
與鷹(よたか)「……」
 このままここに長い時間留まり続ければ、與鷹(よたか)らが何もしていないのにも関わらずあらぬ誤解を受けてしまう。
 だから、とっとと去るのが吉なのだ。
かんな「戻りましょう……」
與鷹(よたか)「そう……だな……」
 かくて一行は天四斗(あまよと)へ、Eighter本部へと戻るのであった。


END

前の話へ 戻る 次の話へ