Eighter -Blindness Wizard-
22nder 〜狛犬は現界を知る A〜
#0
狛犬連続窃盗事件を追って戒萬寺までやってきた與鷹一行。
そこで待ち受けていたのは異世界の神を召喚しようと目論む秘密結社、大神の降真靈
シレントワイザードとあんまり大差ないな……なんて思っていたら、そこへ本家シレントワイザードも参上する
のであった。
そして、異世界より神は来たりた……
#1
梓與鷹「そ、総……」
お前、さっきから何を……と、與鷹も若干狼狽えていると、桜が口を開く。
山咲桜「彼らがやったことを思い出してください」
與鷹「思い出せって……」
ここで少し話を整理してみよう。大神の降真靈がやったことと言えば、オーパーツを集めて異世界の神を召喚し
たことだ。
與鷹「はっ！」
そして、與鷹も理解する。
シレントワイザードがやろうとしていること……ソレと今回との類似点を！
シレントワイザードは場違いな黒き遺物、その最高峰たる七罪塔を使って域外神を召喚することが至上の目的の
イカれた魔術師の集団だ。
大神の降真靈が今回やったことはそれの劣化版であり、使用するオーパーツの質が高ければもっと安定した儀式
を行うことが可能だということをシレントワイザードは知ってしまったのだ。
桜（それから、鬥址偶襾が呼び出されたのは偶然ではありません）
與鷹（何だって！？それは……）
桜の言葉に、與鷹も思うところがあったのか、総介を見る。
すると、桜はコクンと頷く。
與鷹（総がこの場に居合わせたからこそ、鬥址偶襾が呼び出された……）
つまりはそういうことだ。
そして、もし仮に総介がこの場に居合わせなかったとしたら……今度はかんなに力を貸す茜瑙哭が呼び出されて
いたかもしれないし、別の神が呼び出されていたかもしれない。
総介がさっき言ったのはこういうことだ。
ウェステリア「少しだけ礼を言ってやるぜ」
慈円「はて、これは異なことを……」
ウェステリア「今回だけは見逃してやる！だが、次はないと思え！」
典解、蒙解「貴様、何を言い出す！」
慈円「待ちなさい！」
與鷹、総介を相手にしないといけないとわかっていても、今の発言は許しがたいものがあると、天網恢恢コンビ
はウェステリアに立ち向かおうとするが、それを慈円が制止する。
ウェステリア「貴様らの相手も次の機会だ！」
上総介「待て、逃がすか」
カカッ
一同「グッ！？」
#2
閃光と同時にウェステリアやドキエルの姿は跡形もなく消えていた。
総介「チッ……」
シレントワイザードは自分たちがやろうとしていることが成功する確率が高いということを知ってしまった。
それは、シレントワイザードの野望に拍車をかける出来事になるであろう。厄介なことだ。
総介「何としてでも儀式を破壊すべきだった……」
慈円「さて……」
だが、まだ今回の事件は終わっていない。
いや、盗まれた狛犬はバラバラに砕け散ってしまったので既に終わっている感じもあるが……
慈円「御覧なさい。ここに盗まれた狛犬なんてものは存在しないでしょう？」
與鷹「おいおい、何を言い出すんだよ……さっきまでそこにあっただろう……」
総介「フン、粉々に砕け散ったからなかったことにしたいんだろ……」
與鷹「そんな無茶苦茶な……」
慈円「だから、大人しく帰ってくれませんかねぇ……」
それは大神の降真靈にとっては最大限の譲歩であった。
総介「無理だな」
しかし、総介は膠も無い。
慈円「あと二回だけ、同じ事を言いますよ？……大人しく帰ってくれませんかねぇ。大人しく帰ってくれませんか
ねぇ」
與鷹（なんで同じことを二度言うんだ？）
大事なことなので二度言いました。じゃあるまいに……と與鷹が首をひねっていると、総介は先ほどと変わらぬ
返事を返す
総介「何度言われようとも、答えは同じ。無理なものは無理だ！」
慈円「やれやれ、仏の顔も三度まで……どうやら死にたいようだ……」
笑顔を浮かべてはいるが、殺気が凄まじい。
與鷹「いや、無理やり三回にしたんだろうがッ！」
思わず突っ込みを入れてしまう與鷹だった。
総介（フン、最初からそのつもりでよく言う……）
慈円「典解、蒙解！奴らに仏の慈悲を与えなさい！」
典解、蒙解「御意にッ！」
慈円の言う『仏の慈悲』の『仏』とは警察用語で使われるホトケの意味で死体という意味である。
要するに、殺せと命じたも同じなのだ。
※いや、坊さんが殺せとか命じるなよ……
典解、蒙解「貴様らにはDAの恐ろしさを思い知らせてやる！」
かくて、一時中断されていた死合は再開される。
続
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