Eighter -Blindness Wizard-
21ster 〜狛犬は異界を見る C〜



#5
 連続狛犬窃盗事件の犯人を追って戒萬(かいまん)寺にまでやって来た一行。
 犯人グループは異世界の神を召喚することを目的の一つとする秘密結社、大神の降真靈(こうしんりょう)
 さらにシレントワイザードの魔術師までもが現れ、唐突にシレントワイザード VS 大神の降真靈(こうしんりょう)の死合が始まっ
た。
 この隙に異世界の神の召喚の儀式を中断させようとしたら全身をプロテクタースーツに包んだ謎の集団が立ちは
だかる。
梓與鷹(よたか)「な、お前ら、何者だ!?」
*「フッ、我らは大神の降真靈(こうしんりょう)の過激派……その名もディバイン・オルタナティブズだッ!」
 いや、自分から過激派なんて言うか普通?!
 なお、略してDAだッ!
*「大神の降真靈(こうしんりょう)の大願を阻むものは死あるのみだッ!」
 しかも、無駄に殺気立っている。過激派の名に違わぬ危険な集団のようだ。
(かみ)総介「チッ……どうあってもこいつらを倒さないと前に進めないようだな……」
 面倒なことこの上ないが、シレントワイザードの魔術師を相手にするよりはまだマシなのかもしれない。
*「フッ、仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)の使い手である我らに勝負を挑むなどと愚かな奴だッ」
※いちいち『〇〇だッ』って言い回しすんのかよお前ら……DAだけに……
與鷹(よたか)「いや、聞いたことのない流派なんだが……」
 與鷹(よたか)もそれなりの拳法家であり、数々の流派を知っているのだが、それでも、奴らの使う仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)は聞いたこ
とがなかった。
 それは、大神の降真靈(こうしんりょう)が秘密結社故に隠されてきた流派なのかもしれないが……
*「知らぬなら教えてやろう、仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)とは仏教とともに伝搬した究極にして最強の暗殺拳だッ」
 いや、仏教とともに伝搬とかどこの北斗〇拳だよ!
一同「我らが拳、その身に受けて死ぬがいいのだッ!」
 ズドドドドドッ
 叫ぶなり四方八方から襲い掛かってくるDA
総介「フンッ」
與鷹(よたか)「だが、甘いッ」
一同「なんだと!?」
 しかし、有象無象では総介や與鷹(よたか)の相手になるわけがないのDA
*、*「退け」
一同「はっ!?」
 DAの有象無象が苦戦している(と、いうか、ボコボコにされている)と、奥より二人の僧兵がやってくる。
 おそらく、この二人がDAを率いるリーダー格だろう……
*「典解(てんかい)!」
*「蒙解(もうかい)!」
與鷹(よたか)「はい!?」
典解(てんかい)蒙解(もうかい)「二人合わせて天網恢恢ッ……貴様らを殺す漢の名前だッ!」
 謎の名乗りと謎のポージングでお出迎え

#6
蒙解(もうかい)「キィエアッ!失納豺覇羽無拳(しつのうざいはうむけん)!」
典解(てんかい)「ハァアッ!煩濃猖鋒錐負拳(ぼんのうしょうふすいふけん)!」
 ズドドドドッドゴオオンッ
 大地を噛み千切るかのような拳打と暴風雨のように荒れ狂う拳打が総介と與鷹(よたか)に襲い掛かる。
総介「……」
與鷹(よたか)「クッ……巫山戯(ふざけ)た技名のクセに強い……」
 これがDAの底力……いや、仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)か!?
 なお、與鷹(よたか)巫山戯(ふざけ)た技名というのも理由がある。
 彼らが使う技名は正信偈(しょうしんげ)なるお経に載っている文言そのままだからだ。
 仏教とともに伝搬したというか、お経で使う文言を殺し合いの道具に昇華させたのが仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)と言える。
※無茶苦茶だな……ってか、罰当たりだな……
與鷹(よたか)(こりゃぁ全力でコトにあたらないとキツいな……)
テノ(だるだる〜〜)
 與鷹(よたか)の思いを汲み取ってか、汲み取らずか、テノ推参。
與鷹(よたか)「総……」
総介「フン、早くしろよ!」
 魔術師としての力を使うためには少し時間がかかる。そのための時間を稼いでほしいと與鷹(よたか)は総介に頼もうとし
たのだが、既に総介はそれを察していた。
 そのために総介は一旦與鷹(よたか)よりも前に出て時間を稼ぐ
 なお、與鷹(よたか)としても有象無象には魔術師の力を駆使しなくても倒せると踏んでいたので、ちょっとした誤算と言
う奴だ。
與鷹(よたか)真書須らく翻れ(ウバゼッツァー)!」
テノ「だるだるだる〜〜」
 さておいて、やる気のないテノとは裏腹に、與鷹(よたか)は魔術師としての力を開放する。
典解(てんかい)「ハッ!今更本気を出したところで遅いわッ!煩濃猖鋒錐負拳(ぼんのうしょうふすいふけん)ッ!」
 ズドドドドドドッ
與鷹(よたか)「誰が遅いって!?……神狼九断(しんろうくだん)!」
 バババババババッ
典解(てんかい)「な、なにぃ!」
 荒れ狂う拳打の嵐を同じような拳打の嵐で防いで見せる與鷹(よたか)典解(てんかい)「……少しはできるようだな……だがッ仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)の神髄はこんなものではないッ」
與鷹(よたか)「だったら、見せてもらおうか!」
 いや、あまり熱くなるなよ……と総介は心の中で突っ込みつつも、自分の死合に集中するのであった。


続

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