Eighter -Blindness Wizard-
21ster 〜狛犬は異界を見る B〜



#3
 東京郊外、戒萬(かいまん)寺
 そこはかつてさるアニメがヒットした時分に、そのアニメと縁のある由緒正しい寺がコチラなどと大々的に宣伝
したものの、まったく参拝客が増えなかったことで有名な寺である。
※ちなみに、余談だが、戒萬(かいまん)寺 ≒ 解卍、転じて卍解ってなこじつけで集客を狙った模様。
 そして、こここそが、件の連続狛犬窃盗事件の黒幕がいる場所としてEighterの面々プラス総介、桜は足を運ん
だのだ。
*「これはこれは、わが寺に何用ですかな?」
 一行をお出迎えするのはこの寺の住職代理、慈円である。
 なお、この慈円は集客アップを狙って見事にコケた馬鹿とは別人である。
(かみ)総介「貴様が盗んできた狛犬を、返してもらおうか」
慈円「狛犬?はて、何のことでしょうか?」
総介「とぼけるなよ!」
慈円「そもそも、わが寺院の狛犬だって、盗まれて久しいのですが……」
梓與鷹(よたか)「……」
 確かに、ここに来た時、狛犬が削り取られた台座が二つデンと佇んでいるのは見た……見たが、それがこいつが
狛犬を盗んだ加害者じゃなくて盗まれた被害者だって断定する理由にはならない。
慈円「あまり、変な言いがかりをつけると痛い目を見ますよ?」
総介「フン……」
 平和的解決を望もうなんて姿勢はこれっぽっちもない。
総介「貴様が大神の降真靈(こうしんりょう)の一員だということはわかっているんだ」
 その言葉を聞いた途端、慈円の顔が驚きに染まる。
與鷹(よたか)「え?」
 なんだ、その電撃文庫のタイトルみたいな名前は?って與鷹(よたか)が思っていると、桜が説明を続ける。
山咲(やまざき)桜「大神の降真靈(こうしんりょう)……それは蘆屋道満を崇拝する陰陽師が作り上げた秘密結社……その目的の一つは異世界の
神を召喚して、使役すること……」
與鷹(よたか)「何だって!?」
 それではまるでシレントワイザードと同じではないか。
慈円「なるほど、よく調べている……だが、償還の儀式に必要な狛……もとい、コマは既にそろっているのです」
 ゴゴゴゴッ
 ガパッと地面に穴が開いたかと思うとまるでプールを割ってマジ〇ガーZが登場するような感じで狛犬が四つ登
場する。
 それらは間違いなく九尾の狐と地獄の番犬(ケルベロス)、更には(ぬえ)饕餮(とうてつ)の形をした盗まれた狛犬があった。

#4
與鷹(よたか)「もう、これ狛犬じゃなくて、本当に異世界の神を召喚するアーティファクトだな……」
 ぽつりと感想を漏らす與鷹(よたか)。それはまさに言いえて妙であった。
 と、その時、また新たなる人物が登場する
ウェステリア「てめぇ、シレントワイザードに喧嘩売ってんのか!あぁ?」
総介「チッ、面倒な奴が現れたな……」
 それは、シレントワイザードの魔術師、呪装四天王が一人のウェステリアである。いつもイライラしているのが
特徴の御仁だ。
 更には彼の部下のドキエルと彼らが使役する魔導書娘もいる。ミーコとメイだ。
慈円「千客万来とはこのことですな……」
 最も、招かれざる客という意味ではあるが……
ドキエル「邪魔するなら全員潰す」
與鷹(よたか)(シレントワイザード……今の状況に限って言えば共闘できるかもしれないが……)
総介(まぁ、無理だろうな……奴は共闘という概念を母親の胎内に残してきたような性格だろうから……)
 本当に無茶苦茶な奴だ……
ドキエル「それにな、異世界の神を召喚する儀式を勝手にパクってんじゃねぇぞ!」
慈円「これは異なことを……」
ウェステリア「だが、まぁ俺らの大導師(グランドマスター)様も実に寛大だ……貴様らの持つ技術すべてを明け渡すというのならば、
見逃してやらんでもない」
慈円「話になりませんな……この大神の降真靈(こうしんりょう)には大願(ゆめ)があるッ!」
 いや、お前はどこのJ〇J〇五部の主人公だよ……
ウェステリア「ミーコ、我が元に帰れ(ヴォレーゲン)!」
ミーコ「仰せの通りに……」
 ウェステリアが怒りとともに叫ぶと、ミーコは何かしら諦めたかのような表情のままウェステリアを守る鎧と化
す
ウェステリア「我らが祖が住みたもうし刃金の魔星、その御力、我が理となりてここに顕現せよ!ストロンティ」
 魔形刀(マナヒョンド)を手に召喚呪術でハルバードを作り出すウェステリア。
ウェステリア「てめぇらの相手は後だ!邪魔すんじゃねぇぞ!あと、お前も手だしは無用だ!」
ドキエル「え〜……」
 かんなら一行をギロリと睨みつけて啖呵を切ると、ウェステリアはそのまま慈円に向かって飛び込んでいった
総介「これで三つ巴戦は避けられたというわけか……」
 だが、あえて三つ巴戦を挑むほどこちらも馬鹿ではない。
 だったらやることは一つ!儀式を中断させること。
 しかし……
*「邪魔はさせんぞ」
 一行の前に謎の集団が立ちはだかる。


続

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