Eighter -Blindness Wizard-
14ther 〜歪みし存在の記録(メモリー) D〜



#7
 シレントワイザードは表門から、Eighterは裏門からそれぞれメタノール女学院へ突撃する。
山咲(やまざき)桜「……体育館と視聴覚室にて、小規模ながら場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の反応があるようです」
 総介からOCTUを借りた桜がそれを見ながらかんな、かれんに告げる。
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)を検索するのはかんなの超運をもってしても厳しいのでは?とお思いかもしれないが、限定さ
れた空間内部における検索であれば話は別だ。
白拍子かれん「おっしゃ〜!早速行くわよ!」
桜「お待ちください」
かれん「ぎゃふん!?」
 腕が鳴るぜ!って感じで早速出撃しようとするかれんを止める桜。
桜「まだ、今回使われている場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)がどんなものなのかわかっていない以上、軽々しく動くのは得策で
はありません」
かれん「わ、分かってるわよ……」
(かみ)総介「だが、聞き込みの結果、体育館と視聴覚室で放映されている作品を見た観客の殆ど全てが気分を悪くして
いるという情報が入っている」
かれん「うおっ、びっくりした!」
 突如OCTUから総介の声がしてびっくり仰天のかれん
 総介らも女子高には入れないなりに外で情報を収集していたようだ。
 いや、そんなことよりもなんで声がするのかって?……そりゃOCTUが通信機の代わりになっているからだよ。
白拍子かんな「つまり、天命(ネフェシュ)が奪われている……」
総介「あぁ、そういうことだ。上映されているモノを見た結果天命(ネフェシュ)が奪われるということは、おそらくは上映して
いる機器に何かしらの仕掛けがあるのだろう……」
 かれんを置いてけぼりにして話は進む。
梓與鷹(よたか)「まぁ、ここが女子高なのは不幸中の幸いかもな……」
 シレントワイザードに女性がいるのかは知らんが……流石に女子高に突撃するほど奴らも馬鹿ではあるまい。
総介「フンッ、それはあいつらに常識があればの話だ!」
 確かにあいつらに常識があるとは思えないな……と考え、冷や汗が出てくる一行。
かれん「……まぁ、ともかく、まずはその場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)を何とかすることが先決ね」
 これ以上七罪塔(しちざいとう)の好き勝手にさせるわけにもいくまい。
 で、あるならば、やることは一つだ!
かれん「と、言うわけで、私は体育館行ってくるから、視聴覚室の方は任せたわよ!」
かんな「気を付けてくださいね」
かれん「私を誰だと思ってるの?」
 無駄に自信ありげなかれん。
 かれんは、かんなが自分が天命(ネフェシュ)を吸われてしまうのではないかってことを危惧しているのだろうと思い込んで問
題ないと豪語したのだが、かんなはそんなことを心配しているのではなかった。
 だが、かんなが告げるよりも先にかれんは体育館へ走り去ってしまう。

#8
桜「私たちも急ぎましょう」
かんな「……ええ、そうですね」
かんな(姉さん……どうかお気をつけて……)

 メタノール女学院、視聴覚室前
鏈陀(れんだ)とうん「さぁさぁ、よってらっしゃい、見てらっしゃい!」
 視聴覚室の前ではアニ研の部長が声高々に宣伝を行っていた。
とうん「今年の作品は今までに類を見ない傑作!何と!今なら会場は貸し切り状態よ!」
 貸し切り状態にできるのは場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)のせいで作品を見た観客という観客が全て具合が悪くなって保健室
へ直行しているからなのだが……
 しかし、誰もいないのならば好都合でもある。
 これもまた、かんなの超運のなせる技なのか!?
とうん「お、お客さん、見に行くかい?」
 かんな、桜の二人を見つけたとうんが早速すり寄ってくる。
とうん「うぇっへっへっへ、ちょいと刺激が強すぎるかもしれないけど、それもまた一興ってなモンよ!」
かんな、桜「……」
 まぁ、だが、目的な上映されている作品ではないのだが……
 ともかく、視聴覚室に入ったかんなと桜はすぐさま作品を上映しているプロジェクターの元へ急ぐ。
かんな「はっ!」
 スパンッ
 プロジェクターに取り付けられていた真っ黒なレンズを神滅超越者(ラグナロクエクセル)で切り落とすと、更に神滅超越者(ラグナロクエクセル)を逆手に握
り、それを貫く。
かんな「これで、ここはもう大丈夫でしょう……」
桜「ですね……」
 破壊してから改めて今回使われた場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)を調査する二人。
 ……ソレは歪めし水晶体(ディストートレンズ)。
 歪めし水晶体(ディストートレンズ)を通して映し出された映像を見たものから天命(ネフェシュ)を吸い取り、使用者の望みを際限なく叶えるという
代物だ。
 また、あらゆる真実を歪める力も持つという。
 視聴覚室での目的も果たし、かんなと桜は颯爽と視聴覚室を後にする。
 ちなみに、余談だが、客引きに眼がないとうんは二人が教室から去っていったことに気づくことはありませんで
した。
桜「あれは……」
 視聴覚室を後にした二人は、ものすごく悪目立ちする二人を見かける。
 漫画やアニメでしかお目にかかることがないような、ド派手な金髪のドリルツインテを持つ女性と、ポニーテー
ルをドリル状にした結果、チョココロネでも頭にぶら下げているかのような銀髪の女性のコンビだ。
 もし、ドリルロールが二本ではなく五本あったらやがて世界に輝くどこぞのお嬢様と、彼女を信奉する妹分であ
る。
桜「この気配……まさか!?」
 あの二人は一体、何者なのか?(笑)

#9
 一方その頃、体育館へと足を運んだかれんは早速、中央に設置されているプロジェクターへと走る。
 そのまま予兆共鳴者(オーメンレゾナンス)を以てしてプロジェクターに設置してあった歪めし水晶体(ディストートレンズ)を切り落として破壊する
かれん「よし!」
津知(つち)ぱぱら「ちょっとそこのアナタ!今機材を壊したでしょ!」
かれん「へ!?」
 ガッツポーズ決めていたら映研部長が烈火のごとく怒り詰め寄ってくる。
ぱぱら「困るのよね、勝手に映画上映を止めようとしちゃあ」
かれん「いや、別に私は……」
 先ほど、かんなが危惧したのはこのことなのだ!
ぱぱら「ははぁ、さてはアナタもボーイズラブは認めない派ね!でもね、ウチのボーイズラブは宝塚風なのよ!」
かれん「いや、何を言っているのかさっぱりわからないんだけど……」
ぱぱら「ボーイズラブ否定派はみんなそういうのよねぇ〜困ったものだわ」
 いや、困ったものなのはアンタだよ!
 さて、かれんはこのピンチをどう乗り切るのか!?


END

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