Eighter -Blindness Wizard-
14ther 〜歪みし存在の記録(メモリー) A〜



#0
 人を使い潰す存在たる場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、その上位存在が人の前に陥落した。
 それは、ありえない事態といっても過言ではなかった。一体、シレントワイザードはどんな手を使ったというの
か?!
 七罪塔(しちざいとう)へのカウンタープログラム・七元徳(ななげんとく)……それは一体何なのか!?
※だが、まだその真実には迫りません。そういえば、総介は何かに気づいたのかもしれませんが……

#1
 山梨県、富士青木ヶ原樹海
 自殺の名所としても悪名高いそこにはシレントワイザードの日本での本部が隠されている。
サーフィス「い、いま帰った……」
一同「おお!」
 弱々しい言動とは裏腹に威風堂々たる凱旋という矛盾に満ちた行動を伴いながらサーフィスはベルゼビュートを
引き連れて帰ってきた。
ロズエリク「ほう?それが七罪塔(しちざいとう)のひとつ、《暴食(グラトニー)》のベルゼビュートか……」
 虚ろな瞳のベルゼビュートを見ながら、ロズエリクが呟く。
エランドラ「七元徳(ななげんとく)なんて胡散臭ぇなんて思っていたが、なかなかどうして」
ウェステリア「あぁ?てめぇ、喧嘩売ってんのか!」
 また始まったよ……と、思う一行。
ロズエリク「控えよ!」
 ズズズッ
ウェステリア「うっ……」
 静かに、だが、苛烈な殺気がその場を支配し、さしものウェステリアも押し黙る。
ロズエリク「では、早速次の話へ移ろう」
一同「次?!」
ロズエリク「ああ、そうだ」
サーフィス「そ、それは……つ、つまり、べ、別の、七罪塔(しちざいとう)と……」
ロズエリク「そうだ。次の場所は……」

 一方、歴史の墓場のとある片隅にて……
 そこには七罪塔(しちざいとう)が勢揃いしていた。……最も、アスモとゴールはEighterの手によって破壊され、ビュートはシ
レントワイザードの手によって捕縛されているため、半分位しかいないのだが……
アマイモン「これは由々しき事態だ!」
*「そうは言うがな……」
 とりあえず司会進行を行っているアモンがグっと拳を握りしめながら叫ぶ。
 だが、我ら七罪塔(しちざいとう)は人を使い潰す存在。七元徳(ななげんとく)が怖くてこそこそ隠れて暗躍するなどと沽券に関わる。
*「特に打開策とか見つけられているわけじゃないのでしょ?」
*「……」
*「だったら、私は行くわ」
アマイモン「行くのか、レヴィア?」
 レヴィア……それは《嫉妬(エンヴィー)》のレヴィアタンのことである。
レヴィアタン「えぇ……」
 私は私のやり方で、やらせてもらうわ……とニタリと悪い笑みを浮かべ、レヴィアは自分の陰に沈み、その場か
ら消えてしまうのであった。

#2
 三重県、四日市市、メタノール女学院
 四日市喘息で有名な(イヤな有名だな……)そこあるメタノール女学院は中高一貫校である。
 いわゆるエスカレーター式というヤツだが、この女学校の凄いところは階段がエスカレーターになっていること
にある。
※エスカレーター式ってそういう意味じゃねぇから!
 そして、そんな女学校の文化祭で事件は起こった。
*「いよいよね……いよいよ、明日は、カ〜〜〜ニバルだよっ!」
 メタノール女学院のとある教室の片隅で両手を広げながらそんなことを叫ぶ一人の女子生徒がいた。彼女の名前
は塞微刈音(そっくび・かるね)と言い、哀れにも場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)に唆されて魔道に落ちた人間だ。
※ってか、お前はマヤか!
レヴィアタン「ええ、そうね。明日になれば、貴方の願いは叶うわ」
 そして、その隣には七罪塔(しちざいとう)が一つ、レヴィアがいた。
 彼女は一体、何を願っているのだろうか?……さておき、運命の日は静かに来る!
*「それでは、これより第五十八回メタノール女学院文化祭を開催しま〜〜す!今年も文化祭は五日間開催される
わ。これこそが私たちが勝ち取った戦果なのよ!」
 オォ〜〜となんだか勝鬨でも上げる様な感じで文化祭開幕の放送に盛り上がる一行
*「以上、開幕宣言はメタル女祭制作委員会の華豈(かあに)春代がお送りしました!」
 どこのアニメの制作委員会だよ!ってな感じの放送であった。

生徒「ねぇ、聞いた?あのトンデモ愛好会、原子力研究会がまたやらかしたって」
生徒「知っているわ。原子研も懲りないわよねぇ……この前放射能汚染で部員の一人の()が無くなったって言うの
に……」
※そんな危険な部活、とっとと廃止にしろよ!……ってか『げんしけん』?!
生徒「そんなことよりも体育館に行かない?映像研究部の自作映画、気になってて」
生徒「映研もいいけど、視聴覚室でアニ研がやってるヤツも気になるのよねぇ……」
生徒「まぁまぁ、文化祭は五日間もあるんだから、一つ一つ回っていきましょうよ」
一同「いいわね!」
 そんな楽し気な文化祭だが、この後、悲劇が訪れる。
 メタノール女学院、生徒会室
*、*「ちょっと、どういうことよ!」
 バムッと勢いよくドアを開けて乗り込んでくる二人の女性。片方は映研部長、津知(つち)ぱぱら、もう片方はアニ研部
長、鏈陀(れんだ)とうんである。
 部屋の奥に座って書類に目を通している女性……生徒会長の阿部いらるを睨み付けながらキレ気味に叫ぶ二人。
 映研とアニ研に一体何があったのか!?……そして、その背後にあるのは場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)なのか?!


続

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