Eighter -Blindness Wizard-
13ther 〜暴食王は捕縛せり B〜
#3
サーフィス VS ベルゼビュートの死合は続く。
ベルゼビュート「チッ、さっきから、ちょこまかちょこまかと……」
サーフィス「……」
高速移動、ときどき攻撃。
典型的なヒット・アンド・アウェイを仕掛け続けるサーフィスに苛立ちを感じ始めるベルゼビュートであった。
ベルゼビュート(しかも、こいつ……)
死合の最中、ベルゼビュートはあることに気づいていた。
そう、サーフィスが全然喋らないこと……では断じてない。
※戦闘スタイルは人それぞれですからねぇ……
……サーフィスのスピードが徐々に、確実に増しているということにだ。
そう、サーフィスは弱気でいつもオロオロしているだけではなく、戦闘面においてもスロースタートなのであっ
た。
つまり、エンジンがかかるのが遅いってことだ。
本当、なんでこんな奴がシレントワイザードの四天王になれたのか、不思議である。
サーフィス「そそそ、そろそろ諦めてくれなかな?」
ベルゼビュート「巫山戯(るなよ、人間(風情が!」
弱々しい発言が更にベルゼビュートを苛立たせる。
サーフィス「……じゃ、じゃあ、仕方が……ない……い、いい、痛い目にあってもらうしか……ないな」
ベルゼビュート「図に乗るなよ、人間(が!痛い目を見るのはッ」
フオンッ
貴様だ!と叫ぶよりも前に、サーフィスがベルゼビュートの背後を取る。
そしてそのままベルゼビュートの右目めがけて貫きにかかる。
※痛い目に合わせるってか目に激痛を与えるってか、殺す気満々じゃないですか、やだ〜、もう。
ベルゼビュート「うおおっ!」
ガキンッ
迫る雷の刃を青ざめたる水(の腹で受け止めるベルゼビュート
ベルゼビュート(今のは流石に肝が冷えた……)
まぁ、ベルゼビュートは人の姿をした場違いな黒き遺物(なので"肝"なんてモノはないんですが……
ベルゼビュート「遊びは終わりだ!鋩隕鋩蝕(!」
ガグンッ
サーフィス「なっ……ななっ?!」
これぞ、《暴食(》ベルゼビュートの真骨頂!相手の全てを喰らい尽くし無力化する……それは紛うことなく『暴
飲暴食』である。
ベルゼビュート「貴様ら人間(風情が、七罪塔(に敵うなどと思うなよ!」
サーフィス「……少し、驚いた……け、けど……そそそ、それだけだ!」
いや、もうなんかいっぱいいっぱいにしか見えないんですが……
イオ(再開)
バリバリッシュ!
気を取り直して、雷の槍を再構築するサーフィス
※バリバリッシュってアンタ……そのうち炎の召喚呪術の効果音で『モエル〜ワ』とか出てくるかもしれない……
って流石にそれはないな。
#4
サーフィス「野に咲く雷鳴(!」
ビシャアッ
雷の刃が花を咲かせる。
ベルゼビュート「無駄だ!鋩隕鋩蝕(!」
サグムッ
青ざめたる水(を手に戦闘態勢に入ったベルゼビュートに死角はない!
サーフィス「野に咲く雷鳴(!」
ベルゼビュート「鋩隕鋩蝕(!」
ビシャガガァムッ!
かくて、根競べが始まる。
……ただ、普通に考えれば、人間(であるサーフィスの方が圧倒的に分が悪い。
よく考えなくともわかることだが、ベルゼビュートは攻撃と同時に相手を喰らう。つまりは、回復が同時に行わ
れているようなものである。
イオ(警鐘、残量、消耗)
イオもイオで無口ってかカタコトしか喋ってないってか……
ただ、それだけでも言わんとしていることは分かる
サーフィス(ままま、まずい……こここ、こ、このままでは……)
いずれサーフィスが限界を迎えるのは必至。
イオ(撤退?)
サーフィス(いや……)
イオ(倍押)
※『倍プッシュ』を『倍押』って……二字熟語縛りか!
だが、サーフィスの方もこれまでの時間を経て、漸(くエンジンがかかりだした状態でもある。
ならば、イチかバチか賭けに出てみるのも一興。
ベルゼビュート「そろそろ理解したか?貴様がどう足掻こうとも無駄だということを」
サーフィス「……」
ベルゼビュートの言葉を聞いて聞かずか、サーフィスは雷の槍を解除、魔形刀(を懐にしまう。
ベルゼビュート「理解が速くて助かる。……さて、とっとと帰りな、無になぁッ!鋩隕鋩蝕(!」
ガボンッ
次の瞬間、サーフィスがいた場所が刳り取られる。ベルゼビュートが空間ごと食らいつくした結果だ。
だが、ベルゼビュートが技を繰り出すほんの一瞬手前でサーフィスが高速移動し、そのままベルゼビュートの背
後へ移動するサーフィス
サーフィス「七元徳(、《節制(》のラジエル」
ガシャコッ
ベルゼビュートの首筋に突き刺さるUSBメモリ、もとい、七元徳(。
ベルゼビュート「ふん、こんなもので……なっ!?馬鹿なッ!こっ、これはぁあッ!?」
その直後、ベルゼビュートの瞳がクワっと見開かれる。
ベルゼビュート「貴様、人間(風情が、naぜこre……wo……」
そして、ガクガクと小刻みに震えだすベルゼビュート
ベルゼビュート「……triGon0、OS初期設定プログラムを開始します……この度は場違いな黒き遺物(・七罪塔(をご
利用いただき誠にありがとうございます。メインメニューです……」
抑揚のないシステムボイスで突如喋りだすベルゼビュート。
場違いな黒き遺物(、その上位存在たる七罪塔(が陥落した瞬間であった。
続
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