Eighter -Blindness Wizard-
12ther 〜七罪塔(しちざいとう)は出現せり B〜



#3
 迥巛(はるかわ)工業専門学校に救う七罪塔(しちざいとう)を駆逐するためにはまず、目の前のシレントワイザードを撃破しなければならな
い。
白拍子かんな「……」
 神滅超越者(ラグナロクエクセル)を構えたまま微動だにしないかんな
バーニーヤ「どうした?おじけづいたか?」
かんな「いえ、そんなことはありませんが……」
バーニーヤ「だったら遠慮せずかかって来いや!」
梓與鷹(よたか)(かんなはどうして攻撃を繰り出さないんだ?)
(かみ)総介(フン、考えられるとすれば……)
 力の差がありすぎると言ったところか……
 マナウスでの修行のせいか、かんなは強くなり過ぎたということだ。だから、下手に弱い相手だと手加減しない
と最悪……いや、最良でも相手が死んでしまいかねない……
 だったら他の奴に任せればいいんじゃないかと思う人もいるかと思いますが、残念ながら今この場に適当な人材
はいなかった。
※地味に(おぼろ)與鷹(よたか)も戦力外通知されてる……
茜瑙哭(セドナ)(ならば、一撃で圧倒的な力を見せることで相手に退いてもらうほかあるまい)
かんな(……そうですね)
 方針が決まれば、後は実行するのみ
バーニーヤ(来るか?)
 ひゅおっ
 バーニーヤが構えた次の瞬間、かんなの姿が掻き消える。
バーニーヤ「何?!」
かんな「龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)!」
 キュインッ
 瞬時にバーニーヤの背後を取るとそのまま応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍を叩き込むかんな
バーニーヤ「降り注ぐ石弾(シュタイン・アブストーズ)!」
 キュドドドドドドッ
 リング状の刃を回転させると同時に無数の石飛礫(つぶて)を発射する。
 更に刃の回転を利用して宙を舞い、迫る応龍(おうりゅう)を回避するバーニーヤ。
與鷹(よたか)「嘘ん?!」
バーニーヤ「てめぇ、手加減しやがったな!」
 ギラギラと殺気が渦巻く。
茜瑙哭(セドナ)(これは少し驚いた……)
かんな(ええ)
 少し、相手を侮りすぎていたみたいですね……と反省するかんな。
 そんなかんなを見て、バーニーヤは更に怒りをあらわにする。
バーニーヤ「殺す!貴様は絶対殺す!」
 しばし考え込むかんなだが、そんなかんなの行為はバーニーヤには侮辱として映ったのだった。
バーニーヤ(行くぞ!)
ルート(分かっているんだからね!)
バーニーヤ「突き出る石槍(シュタイン・ペネトリーレン)!」
 ズドドドドドッ
かんな「はっ」
 突如として地面から石の槍が突き出てくるがかんなは持ち前の超運でそれを察知、飛び退る。
バーニーヤ「そう来ると思っていたぜ!」
 ぎゅおんっ
 リング状の刃を回転させて再び宙を舞うバーニーヤ。
 目指すはかんなの更に上空だ!

#4
與鷹(よたか)「んなっ!?」
 ひとたび宙を舞えば、その間、更に方向転換などできやしない!
 だが、バーニーヤは違う。彼はリング状の刃を回転させて浮力と推力を手にしている……のか!?
※なぜに疑問形?……いや、物理法則を無視しているから疑問が出てくるのは分かるけど……
かんな「ですが、そう来るだろうということは分かっていました」
 だが、そんなことはかんなにはお見通しだ。
バーニーヤ「何?!」
かんな「磊地舞刃(らいちぶじん)」
 バキバキバキバキッ
 自らの後方へ向けて斬撃を放つかんな。本来ならば大地を巻き上げて敵を討つ技なのだが、今回、かんなは大地
をせり出させるために使用した
バーニーヤ「足場にするつもりか!だが、甘いわ!」
かんな「確かにこれは足場ですが……颶風舞刃(ぐふうぶじん)!」
 ズドオンッ
 続けざまにかんなは後方……つまり、せり出した大地めがけて風の刃を放つ。
バーニーヤ「何だと!?」
 風の刃がせり出してきた地面を叩く。その反動でかんなは更に宙を舞う。
 かんなよりも上空へ、地の利(いや、空の利?)を得たはずのバーニーヤだが、逆に奪い返されてしまう。
 そんなこと、想像だにできず、バーニーヤは間抜けな表情を晒す。
ルート(すぐ来るんだからね!)
 だが、そんなバーニーヤに忠告。その言葉に我に返ったバーニーヤはすぐさま応戦する。
 ガガッ
バーニーヤ「クッ!」
バーニーヤ(馬鹿な、圧されているだとぉ?!)
 こちとら召喚呪術、サイクラノーシュを駆使して推力を得ているというのに、ちょっと(?)跳躍した程度のか
んなに競り負けるなどとありえない。
 そうこうしている間に、バーニーヤは地面に叩きつけられる。
バーニーヤ「うぐおあっ!?」
 しかし、勝負はそこで終わりではなかった。
 やはり、謎の推力を得ているバーニーヤの力を完全に削ぎ殺すことはできなかったということだ。
バーニーヤ「チッ、少しはやるな……」
ルート(こっちも負けていられないんだからね!)
バーニーヤ(おうよ、無論!)
 そうして、バーニーヤは二本目の魔形刀(マナヒョンド)を装備する
バーニーヤ「幾多の環を持つ偉大なる大地の魔星、その御力、我が(わだち)となりてここに顕現せよ、サイクラノーシュ
!」
與鷹(よたか)(奴らは毎回呪文が必要なのか)
 どうでもいい事に関心を持つ與鷹(よたか)であった。
 これは與鷹(よたか)らには与り知らぬことだが、何も毎回呪文を詠唱する必要はない。そもそもエスティリオは呪文を詠
唱することなく召喚呪術を使えていたではないか。
 それはさておき、死合は続く……


続

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