Eighter -Blindness Wizard-
11ther ~首縊りは連鎖せり C~
#5
場違いな黒き遺物とは人を消費する特徴を持つ。しかし、一言に消費と言われても、何を消費しているのだろう
か……
*「楽しそうな講座をやっているみたいだね」
一同「なっ、《シルエット》?!」
突如、一行の前に、音も気配もなく、《シルエット》が出現する。
この《シルエット》、存在しない存在などという矛盾をはらんだ存在であり、通常の人間には見ることが出来な
いのだという……
つまり、それが見えるということは常人ではないという証左なのか。
※今のメンバーの中では桜は《シルエット》を見ることが出来ません。
梓與鷹(相変わらずこいつは、得体が知れなさすぎる……)
上総介「講座……なるほど、確かに……」
いや、そこ感心する場所でもないでしょ……と與鷹が心の中で突っ込みを入れる
山咲桜「上警部……」
総介「山咲、続けろ!」
どうすればいいでしょうか?と桜が総介の方を見ると、構わず、続けろ!と総介は語る
桜「では……」
気を取り直して、場違いな黒き遺物は人間の何を消費するのか、について……
桜「場違いな黒き遺物が消費するのは天命と呼ばれる、人の生命エネルギーです」
與鷹「薄々は気づいていたが……」
これまでを振り返ってみても、場違いな黒き遺物を手にしたものはみな、最後には死んでいる。
だから、そこからある程度の予測は可能だ。
*「よもや、天命を知っていようとは……」
総介「フン、山咲をあまり舐めるなよ!」
どうしてそこで総介が得意げなのか……
*「だが、少し違うかな……天命とは……」
総介「人間だけに当てはまる概念ではない!万物がもつ生命エネルギー……それが天命だ!と言いたいんだろ?」
《シルエット》が捕捉しようとした矢先、総介がまくし立てる様に続きを言い放つ
*「そうか……確かに、よく考えたら君は……」
総介「黙れ!」
ギロリと殺気を全開にして《シルエット》を睨み付ける総介。
その先の話題は、総介の逆鱗に触れるものなのか?!
※さておき、《シルエット》にそんな殺気は暖簾に腕押しですが……
雨水朧「で、その、人の生命エネルギーを喰うってのはいいけど、それとこれと一体どういう関係が?」
素朴な疑問を口にする朧
桜「それは……」
総介「人から生命エネルギーだけを切り取って奪うなんてことが、そう簡単にできると思うか?」
朧「いや、そういうのを簡単にやってのけるのが場違いな黒き遺物……なんじゃ?」
#6
與鷹「そういうことか……」
今まで、場違いな黒き遺物に使われてきた人たちは、最後には文字通り、砕け散るという凄絶な最期を迎えてい
た。
だが、今回は違う。
それは、天命だけを喰らうか、そうでないかの違いである。と與鷹はその結論に達した
総介「今回の事件……首吊りした奴らは場違いな黒き遺物に天命だけを奪われていた……」
その結果一見すると死んだように見えるが、肉体的にはまだ死亡していない。……そして、司法解剖が行われた
ことでショック死してしまったのだ。
朧「……じゃ、どうしてこれまではそうしなかったわけ?」
そこまではいいとして、今度は別の疑問が出てくる。
*「それはね、単に面倒くさかっただけだよ」
朧「そんな無茶苦茶な……」
アッサリと朧の疑問に対して答えて見せる《シルエット》だが、イマイチ釈然としない。
*「天命を林檎に例えてみると、これまでは調理するのも面倒だったので、皮も剥かずそのまま丸齧りしていたけ
ど、今回はきちんと皮をむいて、種を取って切り分けて食べたと、そういうわけだ」
一同「……」
いや、その例えはどうなのか……わかりやすいんだか、わかりにくいんだか……
総介「ともかく、相手が場違いな黒き遺物だと分かったからには……」
*「天命という概念を知っているならば、もう一つの方も当然知っていると見ていいかな」
総介「神靈のことか?……だが、今はそんなことをやっている場合ではない!」
そもそも、用件がそれだけならば、とっとと消えろ!と叫ぶ総介
與鷹「お、おい、総……」
総介が怒りに任せて叫ぶことがきっかけになったのかはわからないが、気が付けばその場から《シルエット》は
忽然と姿を消していた。
與鷹「……」
総介「行くぞ!」
一同「あ、ああ……」
やはり、奴は得体が知れなさすぎる……と與鷹が考えている間に、総介が出陣を急かす。
與鷹(しかし、そのルーアハ……ってのは何だ?)
ちなみに、簡単に言うと、神靈とは自然界に存在する霊的エネルギーのようなものであるが、それについての詳
細はいずれ語られることであろう……
一方その頃、迥巛工業専門学校のある教室の中では……
*「うん、順調にコトは進んでいるみたいだね……」
*「ええ、勿論よ……」
誰もいない教室に、二人の声が響く。
片方はこの専門学校の女子生徒(名前を渡持如考前悪という)だが、しかし、もう片方は明らかに異質。なぜな
らば、もう片方の方は少年だったからだ。
この施設にいるには明らかに不自然な存在……言うまでもなく、彼女は場違いな黒き遺物、七罪塔が一つだ。
奴はこの女子生徒を唆し、何を行おうとしているのか?
#7
今回の事件、その背後に場違いな黒き遺物が絡んでいる……その情報を嗅ぎつけたのはEighterだけではなかっ
た。
そう、場違いな黒き遺物を求むる組織、シレントワイザードもまた同じだった。
奴らは一体どうやって場違いな黒き遺物が関与しているのをかぎつけているのか、それはまだわからないが、し
かし、Eighterにとって障害になることだけは確かだ……
サーフィス「え、ええと……じゃ、じゃあ、これから迥巛工業専門学校に……行くよ?」
おろおろと挙動不審ながらサーフィスが告げる。
こんなのでも呪装四天王の一人というのだから驚きだ。
*「で、俺はどうすればいいんだ?」
上司はおろおろしているが、部下は傲岸不遜な態度を取っている。これではどっちが上司なのか分かったもので
はない。
サーフィス「あ、ああ……バーニーヤ君にはEighterを足止めしてもらいたいんだ……いいかな?」
バーニーヤ「別にいいけどよ……」
バーニーヤ(ったく、なんでこんな気の弱そうな奴が四天王なんてやってんだ?おかしいだろ……)
不満はいっぱいあるが、そんなことを漏らしてもどうにもならないこともまた事実。
かくて、Eighter、七罪塔、シレントワイザード……三つがこの地に揃った。
オーパーツとシレントワイザードが交差する時、激闘は始まる……なんてな
END
前の話へ 戻る 次の話へ