Eighter -Blindness Wizard-
8ther 〜瞬速な怠惰の終焉(ラピッド・スロウス) A〜



#0
 人間を弄ぶ場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)が上位存在、七罪塔(しちざいとう)
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)に対抗せしもの、Eighter
 七罪塔(しちざいとう)を駆使して域外神(アウターゴッド)を召喚しようとするもの、シレントワイザード
 三つ巴の死合が山梨県、結彷徨(おちなし)中学にて起こっていた……

#1
 山梨県、結彷徨(おちなし)中学・屋上
ベルフェゴール「《キツネザルの使徒》……楽に死ねると思うなよ」
白拍子かんな「そちらこそ、覚悟してもらいますよ?」
ベルフェゴール「ほざけ!」
 ゴヒュッ
 弑野阿朱子(しいの・あしゅこ)という、人間の枷から解き放たれたゴールのスピードは更に上がる。
かんな「龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)!」
 キィンッ
 剣閃、そして、応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍がゴールに襲い掛かる。
ベルフェゴール「甘いッ」
 だが、しかし、ゴールの反応速度は応龍(おうりゅう)を超えていた。
 先ほどと同様にゴールの動きを先読みして、移動予測地点に叩き込んでも回避されてしまう。
かんな「龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)!」
 キンッ
ベルフェゴール「馬鹿の一つ覚えがッ!」
かんな「鳳鸞舞刃(ほうらんぶじん)!」
 ドンッ
 応龍(おうりゅう)に加えて平安を(もたら)す鳳凰の二段構えでゴールを狙うかんな。
ベルフェゴール「だから、無駄だと言っている!」
 しかし、やはり、ゴールには通じない!
ベルフェゴール「どんなに威力が高い攻撃も当たらなければ無意味っ」
 ニタリと悪い笑みのゴール
かんな「……龍鳳麟龜(りゅうほうりんき)!」
 ドドドドッ
 四大奥義開放
ベルフェゴール「ははははっ、そうだよね……もはやそれしかないよね!」
 だが、それでも余裕を崩さないゴール。
 応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍を回避し、平安を(もたら)す鳳凰も回避し、続く信義を貫く麒麟も回避、最後に迫る吉兆を左右
する霊龜(れいき)には蝕無戴漫(しょくむたいまん)で無力化。
ベルフェゴール「最早打つ手なしと知れ!」
かんな「確かに、現状では打つ手なしですね……」
ベルフェゴール「現状だと?強がりを……はっ?!」
 だが、その時、ゴールは気づく。かんなはまだ茜瑙哭(セドナ)覚醒していないという事実に!
ベルフェゴール「お前……」
 ゴールは戦慄した。これまでかんなは自らの力のみで場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、上位存在たる七罪塔(しちざいとう)と渡り合えていた
というのか!?
 それはアマゾンの奥地、マナウスでの修行の成果だ。
ベルフェゴール(だとすれば、マズイ?!)
 と、言うか、茜瑙哭(セドナ)覚醒しているとかしていないとか一目でわかる様なものだと思うんですけど、なぜゴールは
気づかなかったのか……
※それはきっとご都合主義という名の切り札(マテコラ)
 きっと高速移動しすぎであまりよくかんなを見ていなかったんでしょう。

#2
かんな「行きますよ?」
 カッ
 そして、ここで満を持しての茜瑙哭(セドナ)覚醒。
かんな「龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)!」
 キュインッ
 ならば、これが真の龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)!
ベルフェゴール「はっ!」
 更にスピードアップして回避を試みるゴール。
 だがしかし、応龍(おうりゅう)はゴールを追って迫りくる
ベルフェゴール「僕のスピードについてくる!?馬鹿なッ?!」
 先ほどまでの人間という枷から解き放たれたゴールが繰り出したスピードがトリプル〇クセルだとすれば、今の
ゴールはクワトロフルアクセ〇だ!
 それでも逃げらないというのならば……
ベルフェゴール「蝕無戴漫(しょくむたいまん)ッ!」
 ドンッ
 スピードという優位が再び失われた今、ゴールに残ったのは全てを無力化する蝕無戴漫(しょくむたいまん)のみ。
ベルフェゴール「はっ……ははははっ……はははははっ!」
 そして、その切り札は未だ健在だった。
 盲いた蘭学(ブラインド・ダッチ)から繰り出された斬撃は応龍(おうりゅう)を斬り伏せることに成功する。
ベルフェゴール「《キツネザルの使徒》……お前では僕は斃せない!」
かんな「……」
 高らかに宣言するゴール。
 だが、かんなは微動だにしない。動揺する素振りも見せない。
ベルフェゴール(どういう?まだ何か隠しているとでも)
 いや、そんなことはありえん!ハッタリだ!
 だが、こうも堂々としていると何かあるのではと疑ってしまうのが人の性。
ベルフェゴール(だが、甘いな!)
 しかし、ゴールは人ではない、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)である!

 さて、かんながゴールと死合っている最中、かなりはエランドラと死合っていたが、このとき、既にエランドラ
は自らが繰り出した技を跳ね返されて自滅していた。
 だが、そこは体力馬鹿のエランドラ、気絶からの回復もまた速かった。
 そして、それだけではない。エランドラの手元には七罪塔(しちざいとう)へのカウンタープログラム・七元徳(ななげんとく)なるものがある。
エランドラ「貰ったぁあ〜〜〜!」
 この勝負、シレントワイザードの勝利条件はEighterを斃すことではない。七罪塔(しちざいとう)を手中に収めることだ。
エランドラ「これが、七元徳(ななげんとく)ッ!《信仰(ピスティス)》のウリエル」
白拍子かなり「はい、残念」
 バキャンッ
エランドラ「なっ、何ぃ!?」
 だが、かなりがそれを見過ごすわけがない。
 砕け散る七元徳(ななげんとく)
 ずげしっ
エランドラ「げはあっ!?」
 そして、再び昏倒させられるエランドラであった。


続

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