Eighter -Blindness Wizard-
5ther 〜彼女は黄泉へ赴く B〜



#3
 ある日突然イジメに合い、死を決意した女子中学生、弑野阿朱子(しいの・あしゅこ)。
 しかし、死に損なった彼女は場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、上位存在たる七罪塔(しちざいとう)が一つ、ベルフェゴールと出会い、契約を
結ぶのだった。
 山梨県某所、阿朱子(しいの・あしゅこ)弑野阿朱子(しいの・あしゅこ)「ただいま〜」
弑野嗚露那(しいの・おろな)「あら、阿朱子(あしゅこ)、退院してきたのね」
 そもそも怪我でも何でもないので、入院することが怪訝しいのですがね。
阿朱子(あしゅこ)「お母さん、生きていればいいことが必ずある……それって本当なのね」
 不気味なほどに明るい笑顔でそんなことを言う娘。
嗚露那(おろな)阿朱子(あしゅこ)……」
 ほろりと涙を一筋流す母親。やはり、私のいうことは間違っていなかったのね……
 ズシャッ
 だが、次の瞬間、一閃が走ると同時に、母親の首がぽ〜〜んと飛ぶ。そして、血の噴水が上がり、その場にぶっ
倒れる母親。
阿朱子(あしゅこ)「よくも、ありがとう……アンタのせいで私はこんな目にあったのだから」
 阿朱子(あしゅこ)は知ったのだ……自分が何故突如イジメに合うようになったのか、その原因を!
 だから殺した!
阿朱子(あしゅこ)「うふふふ……」
 これは復讐開始の狼煙である!
 そして、彼女は自分の通う学校、結彷徨(おちなし)中学へと足を運ぶ。

 一方その頃、シレントワイザードもまた、七罪塔(しちざいとう)の動きを察知していた。
 こいつらもどうやって感知しているのか謎だけど、そこはほら、魔術ってな便利ワードがあるので……
※いやいや、もうちょっといろいろ考えようよ。
*「我らが大導師(グランドマスター)からの言伝だ……どうやら七罪塔(しちざいとう)の一つが動き出したようだ」
 シレントワイザードのアジトの一室……会議室のような場所で一人の魔術師がそう宣言する。
 この漢はシレントワイザードをまとめ上げる総帥、大導師(グランドマスター)に参謀として仕える魔術師で、名をロズエリクという
ネサリウス「ほほぉう……」
 ならば今度こそ、カウンタープログラム・七元徳(ななげんとく)をもってして確保せねばなるまい!
ロズエリク「いや、ネサリウス、お前には今回別の事をやってもらいたい」
ネサリウス「別の事だと?」
ロズエリク「ああ……」
 そういうとロズエリクは部屋の入り口に眼をやり、入ってきたまえ……と告げる。
 そして、一人の漢が部屋に入ってくる。
一同「この漢は!?」
ロズエリク「新たにシレントワイザードに入った魔術師……か?」
一同(何故疑問形なんだ?)
ネサリウス「まさか、やってもらいたいことというのは……」
 はっとするネサリウス
ロズエリク「理解が速くて助かるよ……そう、この漢を一人前の魔術師に育ててほしいと、そいうことだ」
*「まさか、コイツ、魔術師でも何でもないってのか!?」
 ロズエリクの発言に驚きを隠せない幹部の一人。
ロズエリク「だが、魔術適正はある……と我らが大導師(グランドマスター)は判断した」
 だからこそ、こいつを魔術師として鍛えてほしいのだという

#4
ネサリウス「大導師(グランドマスター)様直々の依頼であれば、私に拒否する権利などないが……」
*「では、今回の七罪塔(しちざいとう)に対しては俺が出向く……でいいか?」
 ネサリウスが承知した矢先、一人の魔術師が突如名乗りを上げる。
*「おい、エランドラ!」
*「貴様何を勝手に……」
 残りの幹部が名乗り出た魔術師、エランドラにきつく当たる。
ロズエリク「ならば、今回はお前に任せるとしよう」
一同「なっ」
 早い者勝ちかよ!ってな感じの一行
エランドラ「おうよ、任せておけや!」
 そういってエランドラはその場を後にするのだった。
*「チッ、こんなことなら俺が先に名乗り出ればよかったぜ」
*「まぁ、言うな……シレントワイザードの中でいがみ合うわけにもいくまい」
*「……」
 ちょっとした雑談の最中、新たにシレントワイザードの一員となった漢は一言も語らず場を眺めていた。
ネサリウス「貴様、何故魔術師に?」
*「ある漢をブチ殺すためだ!」
 ぐぐっと拳を握りしめ、叫ぶ。
ネサリウス「それはまた、穏やかな話ではないな……」
*「奴を殺すためならば、俺は魔道にだって落ちて見せよう!」
 この漢が殺したいという相手とは一体、誰なのか!?
 それはいずれ時が来れば判明することであろう……

 山梨県、結彷徨(おちなし)中学
エランドラ「ここかぁ……七罪塔(しちざいとう)が暗躍しているとか言う場所は……どうだ、セラ?」
セラ「準備はできています」
 額に手をかざして学校の中を見てみるエランドラ。その傍らにはセラと呼ばれた少女が居た。
 言うまでもないが彼女が魔導書娘である。
*「エランドラ様……どうやってあそこに入りましょうか?」
 そして、エランドラの後ろにはもう一人魔術師がいる。
エランドラ「何を言う、フキエル。普通に正面から入ればよかろう」
フキエル「いや……」
 今の世の中学校に生徒、教師、父兄以外が勝手に入り込もうものなら問題になるんだが……と、フキエルはそん
なことを言っているのだ。
エランドラ「正面突破こそいくさの華……そうは思わないか?ナナ」
ナナ「同意であります!」
 ビシっと敬礼しながらそんなことを言い出すナナ
フキエル「こらこら、勝手に了解すんじゃねぇよ!」
ナナ「もうしわけありません、であります!」
 このナナもまた、言わずもがなだが、魔導書娘である。
※ってかいくさとかいつの時代の人間だよ!
 そんなことはさておき、突撃だ!


続

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