Eighter -Blindness Wizard-
4ther 〜目眩(めくるめ)く狂人共の宴 A〜



#0
 シレントワイザード……それは場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、その上位存在たる七罪塔(しちざいとう)を利用し域外神(アウターゴッド)を召喚しようなどと
トチ狂ったことを考える魔術師の集団。
 果たして、そんなことは本当に可能なのか!?

#1
 某所、地下……
 そこにモノクルをつけた一人の男が鼻歌を歌いながら通路を歩いてた。
 ここはシレントワイザードの総本山……そして、男の名前は網谷ゼルシフォム!日系ドイツ人で流れの狂科学者(マッドサイエンティスト)
である。
網谷ゼルシフォム「実に興味深い……」
 一つ所には長くとどまらないことで有名(?)な彼は今、シレントワイザードに大変興味を惹かれ、暫くはここ
に滞在することを決めていたのだ。
 彼の目的は魔術師が戦闘などで使うアーティファクトを作り出すこと。
 ドタバタッ
 ガラガラッ
 研究室に入って自分の椅子に座ったその時、突如、研究室にノックもせず入ってくる漢が一人。そして、その後
をひょこひょこついてくるナゾの女性が一人
*「また、貴様はッ!」
*「マスターの邪魔をするとは、言語道断ナリ!」
ゼルシフォム「なんだ、君たちかい……」
*「君たちか……とか失礼極まりない奴だな、貴様は、ワガハイは希代の大天才、エスティリオ・アリーフ・ザン
スパインだと何度言えばわかるんだ!」
ゼルシフォム「それはすまなかったな……」
 だが、悪びれることもなく、淡々と会話を続けるゼルシフォム。なかなかの男だ。
エスティリオ・アリーフ・ザンスパイン「お前も何とか言ってやれ!」
*「……だったら許してもいいのでは?」
エスティリオ「な、エルザ、貴様ワガハイを裏切るのか!?」
 エルザと呼ばれたこの女性は何を隠そう人間ではない。自称希代の大天才、エスティリオが自分で書き上げた魔
導書が人の姿を取っている代物なのだ。
 普通、魔導書が人の姿を取ることは滅多にない。並外れた魔力を注ぎこまれ狂信の果てに記載された魔導書だけ
が人の姿を持つことができるのだ。
 と、いうことはエスティリオは正しく狂った鬼才だったと言わざるをえない。
エルザ「だって、すいませんって言ってるんだから、普通、そこれは許すものなんじゃない?」
エスティリオ「ンなわけあるかい!」
エルザ「普通すいませんなんて、なかなか言えないよ」
エスティリオ「いや、言うだろうが!……例えば禁煙席」
 なんか吉本新喜劇で『すいません』って言われたら『いいよ〜』って言い出すあの件を彷彿させた。
※あと、その『すいません』は意味が違う

#2
ラキエル「おい、エスティリオ、てめぇ!」
 と、そこへ怒りの形相でなだれ込んでくるのはラキエルである
エスティリオ「ワガハイを呼び捨てとは貴様も随分と偉くなったものであるな、Theラキエル」
ラキエル「定冠詞をつけんじゃねぇよ!……いや、今はンなこたぁどうでもいいわ!てめぇのアーティファクト、
ちっとも役に立たなかったじゃねぇか!どういうことだコノヤロー!」
エスティリオ「な、何だと!?そんなことがあるわけが?!」
 どうやらかんなに対して効果がなかったことを怒っているらしい。
 いや、それ、八つ当たり……
 と、いうか、総介に対しては効果は抜群だ!ってことをすっぽり忘れているのではないかね?
エスティリオ「……ふん、おおかた用法用量を守らず適当に使ったのではないかね?Theラキエル?」
ラキエル「ザラキエルじゃねぇ!ラキエルだっつってんだろぉが!」
 大体、用法用量ってなんだよ!
テノ「だる〜〜〜」
 やれやれ……と言った表情のテノであった。
ゼルシフォム「ン、ゴホン……そういう話は場所を変えてやってくれないかな?」
 流石に五月蠅く感じたゼルシフォムが声高に叫ぶ
エスティリオ「貴様のせいでワガハイが怒られてしまったではないか!どうしてくれる」
ラキエル「うるせぇ!こっち来いや!」
 エスティマの襟首を掴んで引っ張っていくラキエル
エスティリオ「やめて〜、拉致監禁されるぅ〜〜」
エルザ「ま、マスター」
 そうして、騒がしい四人……(いや、主に五月蠅いのは二人だが……)はゼルシフォムの研究室を後にするので
あった。

ラキエル「よし、ここなら邪魔も入らねぇだろ!」
 適当な部屋にエスティリオを放り込むラキエル
ラキエル「さて、話の続きだが……」
エスティリオ「時にTheラキエル……いつまでもワガハイの襟首を掴むのはやめたまえ」
ラキエル「てめぇに文句を言い終わったらすぐにでもっ」
 バリバリバリバリッ
 その時、突如、電撃がラキエルを襲う。
ラキエル「あばばばばば?!」
エスティリオ「だから言ったのに……いつまでもワガハイを掴んでいると防衛装置が作動して大変なことになる…
…と」
※言ってません
ラキエル「はぁはぁ……貴様、俺を殺す気か!」
エスティリオ「死なない程度の電流なので平気のはずだが……」
ラキエル「嘘をつけぇ!」
 なお、実験台はエルザである。彼女に試して大丈夫だからといって人間相手に試してはイカン!
エスティリオ「で、ワガハイのアーティファクトが効かなかったなどとぬかしたようだが……」
ラキエル「それよ!本題は……」
エスティリオ「よかろう、ならば、ワガハイが直々に確かめにいってやろうではないか!」
ラキエル「は!?」
 なんだか、すごく面倒なことになった……と思ったが、時すでに遅し。ということだ。


続

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