Eighter -Blindness Wizard-
3rder 〜魔人は闇に現れる B〜



#3
 シレントワイザード、それは域外神(アウターゴッド)を崇拝する魔術師の集団。そして、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)七罪塔(しちざいとう)を利用せんと
するもの。
 今ここに場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、シレントワイザード、Eighterの三つ巴の死合が始まろうとしていた。
ラキエル「ほう、今度はお前が相手になるというのか?……だが、悪いことは言わん。怪我したくなければ引っ込
んでいろ!」
白拍子かんな「そういうわけにもいきません」
ラキエル「フン、忠告はしたぞ!」
 ニヤリと悪い笑みを浮かべるラキエル。
 かんなもかんなで忠告はしたつもりなので一気にとびかかると同時に神滅超越者(ラグナロクエクセル)を上段から振り下ろす。
 ズダンッ
ラキエル「うおおおおっ!?」
 眼前に迫る凶刃を前に咄嗟に転げるように逃げ延びるラキエル
ラキエル「おい、テノ、貴様!」
テノ「だる〜〜〜?」
 どうやらラキエルにとって想定外の事象が起こったらしい。
 やる気がない少女を睨み付けるラキエル。だが、肝心のテノという少女はどこ吹く風といった感じでぼけ〜っと
している。
與鷹(よたか)(まるで(けい)みたいな女の子だな……)
ラキエル「とっととさっきみたいに奴の力を無効化するアーティファクトをよこしやがれ!」
テノ「え〜〜〜?……無理ぃ〜〜」
 さっき……と言うのは総介を一撃でノしたときのことだろう。
ラキエル「んなっ!無理ってなんだ!無理って!」
テノ「だってぇ〜〜、無理なものはぁ〜〜〜無理なんだもぉ〜〜ん」
ラキエル「巫山戯(ふざけ)てんのかお前!」
 それはこっちのセリフだ!って突っ込みたくなってくる與鷹(よたか)であった。
(かみ)総介「フッ、どうやら貴様は域外神(アウターゴッド)やら占繰神(グレート・オールド・ワン)が相手でないと対抗できないようだな」
ラキエル「な、何ィ!?」
與鷹(よたか)「総、何だよ、その……」
山咲(やまざき)桜「占繰神(グレート・オールド・ワン)……それは域外神(アウターゴッド)に次ぐ力を持つ存在のことです」
 ちなみに、余談だが、総介が加護を受けている鬥址偶襾(ツァトゥグア)占繰神(グレート・オールド・ワン)の一柱である。
ラキエル「そういうことはもっと早く言うもんだ!」
テノ「え〜〜〜」
ラキエル「え〜、じゃないッ!」
 なんだこのコント!?
ラキエル「はっ!?」
 そして、そんなショートコントを生暖かい目で見守っている一行に気づき、ラキエルはゴホンと咳払いを一つ
ラキエル「どうも見苦しいところを見せてしまったようだな」
 全くだ。
ラキエル「ならば、ここからは魔術師として相手をしてやろう!」
 ラキエルの雰囲気が変わる。今まではどこかでかんなを女子供として舐めていたのだろうか、ここからが本気の
死合ということだ。
※最初から本気出せや!なんて言ってはいけません。

#4
ラキエル「テノ、我が元に帰れ(ヴォレーゲン)!」
テノ「だる〜〜〜〜」
 なんとも間抜けな掛け声と共に、テノの姿が綴じ合わせが解かれた本のように無数の紙片となりて宙を舞う。
與鷹(よたか)「な、何が!?」
 そして、紙片全てがラキエルを包み込み、ラキエルを守る鎧と化す。
※火に弱そうな鎧だな……なんて思っても口にしてはダメです。きっと魔術の力でそんなこともないんですよ
ラキエル「碧玉の荒ぶる双炎に照らされし灼熱の魔星、その御力、我が刃となりてここに顕現せよ、シャガイ!」
 更に、ラキエルが叫ぶとその右手にエメラルド色に輝く炎で作られた刃が出現する。
ラキエル「待たせたな、これがシレントワイザードの召喚呪術よ!行くぜ!」
與鷹(よたか)(ってか、かんなだから律儀に待っていてくれたんだろうけど、もし、待ってくれなかったらどうするつもり
だったんだ?)
 ものすごく致命的な弱点に思わず心の中で突っ込みを入れる與鷹(よたか)であった。
 ガガッ
 さておき、一気にかんなの懐に飛び込んだラキエルはそのままエメラルド色に輝く炎の刃で斬りかかる。
 しかし、ラキエルの斬撃を喰らうほどかんなもお人好しではない。(いや、斬撃を喰らいたいなんて人いないだ
ろ……)
 かんなも神滅超越者(ラグナロクエクセル)で応戦。
ラキエル「おおお!」
かんな「てぇい!」
 そのまま激しい斬撃の応酬が繰り広げられる。
與鷹(よたか)(ってか、魔術師って言うからもっとこう……なんかファンタジックな感じで魔法を打ち出すのかと思ったけ
ど違うんだな……)
桜(魔術師というよりは魔法剣士の集団……と、言ったところでしょうか)
 物理攻撃が得意な魔術師がいたっていいじゃないか、自由とはそういうことだ。
※いや、そんな雨の中傘を差さずに的なノリで言われても……
ラキエル「少しはできるようだな……」
かんな「随分と余裕ですね……」
 暫く斬撃を叩き込んだ後、双方は距離を置いて対峙する。
ラキエル「だがッ、貴様はシレントワイザードの敵ではないわッ!」
総介「フン、弱い犬程よく吠える」
ラキエル「ほざけ!外野は黙っていろ!」
 総介の呟きに思わずカっとなるラキエル。
総介「フン……」
 ラキエルの叫びに静かになる総介。
 そのことに身の程を知ったようだな……と満足げなラキエルだが、お前、そんなことしていていいのか?
與鷹(よたか)(何だ、アイツ?よそ見している割には隙がねぇぞ……)
 だが、與鷹(よたか)がそう感じたように、油断しているわけでもなさそうだ。
 それは、テノのおかげでもあるのだが……


続

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