#0
　これは、とある不可能犯罪に関する事件簿である。
　キーワードは『俺は存在しないから何をやっても許される』
※いや、エロゲのタイトルじゃないんだから……

#1
　埼玉県、某所
　ある日、一人の男が万引きをしたところから事件は始まった。
警官「で、盗まれたものは？」
＊「あ、はい。BD十枚セットでして……あまりにも自然に店から出ていくもので、思わず会計をすませたものかっ
て思っていたら、とんでもなく……」
警官「なるほど、よほど肝が据わっていると見える」
警官「一度や二度の犯行じゃないかもしれないってことですね……」
＊「それで、防犯カメラにはバッチリと犯人の姿は映っておりますので」
警官「うむ。後のことは我々埼玉県警に任せなさい！」
　なんせ我々は理系だからとかよくわからないことを言いだす彼は黒酢卵油(くろす・らんゆ)警部である。
※それ彩玉大学のメンバーなのでは！？
　そして、防犯カメラの映像を見て、ひとりの警官は驚きを隠せなかった
警官「こ、こいつは……いや、このお方はッ！」
一同「なっ、知っているんですか！？」
黒酢卵油(くろす・らんゆ)「うむ。ネオサイタマコーポレーションの御曹司、池端卓也だ！」
一同「な、なんだってぇ〜！？」
　ネオサイタマコーポレーションと言えば春日部に拠点を置く、埼玉では知らぬ者がいないほど有名な大財閥であ
る。
警官「これは、商品はあきらめた方がいいですな」
＊「いや、ちょっと待ってください！」
卵油(らんゆ)「気持ちは分かりますが我々埼玉県警はネオサイタマコーポレーションの権力には逆らえないのです」
一同「……」
　そんな馬鹿な話があるか！
　と、言うわけでとっとと話を聞いてこいボケ！と言わんばかりの店員の圧力に負けて、埼玉県警の連中はネオサ
イタマコーポレーションへと向かうのであった。

　埼玉県、春日部市、ネオサイタマコーポレーション
卵油(らんゆ)「埼玉県警のものだ！池端卓也に取り次いでもらいたい」
＊「何用ですかな？池端卓也様は三時間前から会議の真っ最中ですが」
警官「はい！？」
　ここにきて池端卓也には完璧なアリバイがあることが発覚。
　事件は早くも迷宮入りの装いを見せ始めた
※いや、いきなり迷宮入りにすんじゃねぇよ！

#2
警官「え〜、犯行当時、犯人と思われる池端卓也氏はネオサイタマコーポレーション本社の会議室でWeb会議をし
ており、犯行は不可能であることが分かりました」
卵油(らんゆ)「つまりどういうことです？」
警官「おそらく、何者かが池端卓也のイメージダウンを図るために行ったのではないかと……」
警官「なるほど、一理あるな……」
卵油(らんゆ)「ではこれより池端卓也（偽）を検挙してネオサイタマコーポレーションに忠義を尽くす善行を執り行う」
一同「イエッサ！ネオサイタマコーポレーションに栄光あれ！」
※お前らネオサイタマコーポレーションに洗脳でもされてんのか！？
警官「た、大変です！」
　と、その時、一人の警官が血相を変えて飛び込んでくる
卵油(らんゆ)「どうした？」
警官「そ、それが……見た目が池端卓也氏と完全に一致した漢が金属バットで通行人を殴り殺すという事件がおき
まして……」
一同「な、なにぃ！？」
　　なんでも人の頭をボールに見立てて思いっきり金属バットで殴りかかり、そのまま頭をぶっちぎってホームラ
ンを行ったという。トンでもない膂力である。
　権力もあり、財力もあり、腕力もある……やはり、池端卓也はトンでもない……と埼玉県警の一行は畏敬の念を
新たにするのであった。
　ちなみに、池端卓也のWeb会議はまだ続いており、やはり池端卓也（真）には完璧なアリバイがあったという。
卵油(らんゆ)「何としてでも池端卓也（偽）を検挙するぞ！」
一同「オオ！」
　意気込みを新たに埼玉県警の連中は捜査のために街へ繰り出す。
警官「た、大変です！」
卵油(らんゆ)「今度はなんだ？」
警官「表の星女学院に池端卓也（偽）が出現。とあるクラスの女子全員をレイプするという事件が……」
一同「な、なんだってぇ！？」
　権力、財力、腕力に続いて精力まで！？と埼玉県警の連中は驚きを隠せない
※いや、驚き過ぎじゃない？
警官「で、ですが、報告することはそれだけじゃあないんです」
卵油(らんゆ)「なんだ？まだ報告することでもあるのか！？」
警官「はい……」
　万引き、殺人、強姦……これ以上に何があるのかと身構えていると、その警官は次のように語る
警官「現場に残されていた漢の精液をDNA鑑定した結果、驚くことに池端卓也（真）のものと断定されたんです」
一同「そんな馬鹿なッ！？」


続