Eighter -Bizarre Investigate-
44ther 〜夏休みの増やし方〜



#0
 夏休み……それは一ヶ月以上もある長期休暇。大学では二ヵ月あるところもあるとかないとか……
 そして、これはそんな夏休みをより長く満喫するために巻き起こしたバカどもの事件簿である。多分
※なんで断定しないんだ!?

#1
 夏休み、兵どもが夢のあと
※いや、それ夏草や!
 長崎、墨羅乃(ぼくらの)公民館
 暗隕主徹(あんいんすとおる)小学校に通う小学生達がそこに集まり、自由研究について悩んでいた。
 いや、悩んでいるというか、だらけているという方が正しそうだが……
*「自由研究マジ面倒」
*「ちょ〜ダルいんですけど……」
 まるでJKみたいな感じで喋るこいつらは、しかし、男子小学生だ。
 赤井智一、緑野泰衡、青木仁平……暗隕主徹(あんいんすとおる)小学校では闇の三原色と呼ばれている悪ガキトリオである。
※いや、闇の三原色って……
赤井智一「って、よく考えたら夏休み、もう半分だよ!」
緑野泰衡「マジかよ、頭脳パワー」
青木仁平「やばたにえん」
智一「あ〜、夏休み、増えないかなぁ〜」
泰衡「そして宿題も減ったら最高だよね」
仁平「わろたにえん」
*「聞きました?また放火ですって……」
*「怖いわねぇ……」
 と、そんな時、近くで大人がそんな会話をしている。
智一「閃いた!」
一同「うおっ!?びっくりした」
智一「なぁ、夏休みの自由研究だけどさ、こういうのはどうかな?」
泰衡「おまっ、本気か!?」
仁平「やばたにえん」
※ってか、さっきから仁平、やばたにえんとわろたにえんしか言ってないな……『マジ、ヒクわ〜』しかセリフが
 ないあの子じゃないんだから……

 その翌日のことだった……暗隕主徹(あんいんすとおる)小学校で不審火が発生、木造部分が全焼するという事故が発生したのは……
警官「見事に燃え尽きたぜ……って感じですね……」
警官「連続不審火事件だな、これは……」
警官「幸いなことに死傷者は一人もいなかったようです」
警官「死者が一人も出ていないのが不幸中の幸いってことか……」
警官「しかし、これでは夏休みが終わっても学校を再開するのは困難ですね……」
警官「学校を楽しみにしている生徒にとっては残念なお知らせだろうなぁ……」
 だが、実際には喜んでいる生徒もあったという。理由は夏休みの最後に宿題の山と格闘することになる生徒だ。

#2
(かみ)総介「確かに、これは一見すると最近巷を騒がせている連続不審火事件のひとつに見えるかもしれん」
一同「うおおおっ!?」
 突如その場に現れた総介に一行はびっくり仰天
警官「かっかかかかっ、かかっかかっ……(かみ)警部!?」
 どうして総介がここにやってきたのか……それは、事件を解決するためである
※いや、解決以外の目的で総介がやって来ることはないだろ……多分……
総介「だが、今回の事件は、連続不審火事件ではないッ!」
警官「なっ、(かみ)警部……どうしてそんなことが断言できるんですか!?」
警官「そうですよ、どうして!?」
 警官が総介に詰め寄ると、桜がこう続ける。
山咲(やまざき)桜「先日、いさな&り記念館で発生した不審火の事件を覚えていますか?」
警官「あぁ、現場には手錠で繋がれた二人の男性が昏倒しており、未だ意識不明というあの事件ですよね?」
桜「はい。そうです」
総介「奴らのうち、一人は被害者だが、もう一人は加害者だ!」
警官「え!?それはどういう!?」
桜「分かりませんか?……現場にいた二人のうち、一人が連続不審火の犯人だったということです」
警官「しかしですね……」
総介「昏倒していた片方の漢だが、手錠を持ち歩くのが趣味という変人だった」
警官「はぁ……」
 ちなみに手錠の使い道は彼女にはめて愉しむってことらしい。最近では彼女にはめられても愉しいってことに気
が付いたとかなんとか……
※どんなプレイスタイルだよ!
桜「事件当日、放火をする犯人を見てしまった彼は犯人の手によって口封じとして殺されそうになった……しかし
彼は持ち前の手錠を自分にはめて、もう片方を犯人に投げつけて引き込んだというわけです」
 まるで銭形のとっつぁんみたいである。
警官「しかし、どうしてそんなことが分かったんですか?」
総介「そんなもの、奴ら二人の家を調べたからに決まってるだろうが!」
警官「あ、なるほど……」
警官「じゃ、この事件はどこのだれかは知らんが模倣犯ってことですね……」
総介「フン、それも誰がやったのか既に分かってる」
一同「ええ!?」
 仕事早すぎない!?って驚きの警官一行であった。

#3
総介「これは事件があった学校に通う小学生が提出予定の夏休みの自由研究の成果だ」
 バンと地面に一冊のノートを投げ捨てる総介
警官「これは……」
 そのノートの表紙には『材質の違いによる燃焼速度の差分について』と書かれていた
一同「まっ、まさか、こ、これはぁ!?」
桜「学校が燃える様を自由研究と称して観察したノートです」
警官「じゃ、じゃあ、まさか……」
 そう、事件を巻き起こしたのは闇の三原色と呼ばれる悪ガキ三人組だったのだ。
警官「……し、しかし、(かみ)警部……どうしてそんな大それたことを!?」
桜「では、質問です。学校が燃えるとどうなりますか?」
警官「どうなるって……消し炭になる?」
総介「ンなことを聞いてるわけじゃねぇ!」
警官「……そうか、再建されるまで学校が始まらない……」
警官「つまり、夏休みが延長されるってことか!?」
総介「フン、実際にはそんなことは起こりえないが、奴らはそう思ったってことだ」
 こうして、この巫山戯(ふざけ)た事件は幕を閉じるのであった。
 みんなは夏休みを増やしたいからって学校を燃やしちゃだめだぞ
※誰もンなことせんわ!


END

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