Eighter -Bizarre Investigate-
43rder 〜呪われた夫婦の怪〜



#0
 大阪、それは犯罪(つみ)警察(サツ)のない街。
 そしてこれはそんな大阪のとある夫婦の間に起きた悲劇に纏わる事件簿である。
 せやかて工藤、こないなけったいな事件、他にあらへんで〜
※だれが工藤やねん!

#1
 大阪府、MyThRIr(ミスリル)本部
*「何やて!?妻を殺しはったやとぉ!?」
 それは一本の電話から始まった。
 電話を受けたMyThRIr(ミスリル)職員は急遽、殺人現場である吉山奇(よしさき)邸へと急行する

*「電話してきよったんは、そこにおる敬逸(けいいつ)っちゅ〜ジィさんや」
 吉山奇敬逸(よしさき・けいいつ)、御年90歳。杖をついてはいるが、未だ矍鑠としたご老体だ。
*「犯罪の低年齢化が叫ばれとる中、逆ろうて高年齢化とは、こりゃ一本取られたわ……」
※いや、別に低年齢化が叫ばれてるわけではないと思うが……
*「で、ホトケはどこや?」
一同「……」
 MyThRIr(ミスリル)職員の一人が問いただすも、誰もその問いには答えない。
*「それがやな……」
 なんとも困った感じで一人のMyThRIr(ミスリル)職員が口を開く
*「あらへんのや……」
*「何がや?」
*「いや。だから、ホトケがどこにもあらへんのや!」
一同「な、なんやってぇ〜〜!?」
 MMR的なノリで驚くMyThRIr(ミスリル)職員一行。
*「どうやら首絞めて殺した後に、近くの古井戸に投げ捨てたっちゅう証言らしいんやが……」
 そこで言葉を区切るMyThRIr(ミスリル)職員。
*「もしや……どこぞで昔起こったアノ事件……古井戸を探せどどこにもおらず……2ヶ月後……近くの川で当時
と殆ど状況が変わらんまま出現したっちゅう……」
*「ちゃうちゃう。古井戸っちゅうんが見つからへんのや!」
*「はい!?」
 そう、この家には、いやこの家の近くを探してもどこにも古井戸が存在しなかったのである。
*「あのジィさん、相当ボケとるんとちゃいますか?」
*「あぁ、ワイもはじめはそれを疑ったんや……しかしなぁ、あのジィさん、のご老体は90歳とは思えぬ筋骨隆々
で、まだ現役で働けるほどの鉄人やで。ボケとるとは思えんわ」
*「ジジィの妄言でそもそも結婚しとらんのとちゃいますか?」
*「いや、それものうて……三日ほど前に孫夫婦が見舞いに来とったんやわ」

#2
 見舞いってことはやっぱボケが進んでたんじゃなかろうか?と疑問が出てくるが、しかし、それも違う。
*「ジィさんの妻、つまり、殺しはった女ってのがな、寝たきりの生活で、それの見舞いに孫夫婦が来はったんや
そうや……」
 死んだ妻、存在しない古井戸……一体、この事件、何が起きたというのか!?
*「こりゃ、迷宮入りにするしかあらへんな」
一同「確かに……」
 MyThRIr(ミスリル)職員はみな、諦めモードだ。
※いや、勝手に迷宮入りにするんじゃねぇ!
 ……だが、MyThRIr(ミスリル)とは警察が消滅した大阪における、民間の警備機構ではあるが、警察ではない。
 つまり、何らかの事件が起こって、それがシレっと迷宮入りになっても、何の問題もないのだ。
※いや、問題大ありだろうが!そんなじゃ誰もMyThRIr(ミスリル)を頼ろうとしなくなるだろ!
*「考えろ!考えろ!考え抜くんだ!諦めたらそこで人生終了やで」
 ざわ……ざわ……
 そんな中、一人のMyThRIr(ミスリル)職員がそんなことを言いだす。
*「しかし、どないせぇっちゅうんや……」
*「任しときや、こんなこともあろうかと用意しとったモンがあるんや!」

*「人任せにすることを策を用意したとは言いませんが……」
 そこに現れた琉のは総介と桜だった。
山咲(やまざき)桜「警部……殺したと言われている奥さんの名前ですが、貞子と言うらしいです」
(かみ)総介「フン……」
一同「な、なんやてぇ!?」
 その時、MyThRIr(ミスリル)職員一行に衝撃走る。
*「ま、まさか、居間ぁにおいてあったビデオテープ、もしや……」
 貞子、井戸、ビデオテープ……そこから導き出される結論は……とMyThRIr(ミスリル)職員が馬鹿なことを考え出す
総介「何を馬鹿なことを考えているか知らんが……」
 こいつらも無能警官と同じような感じか……と、言うわけでMyThRIr(ミスリル)職員を無視して総介は桜とともに今へと足
を運ぶ
桜「真ん中にあるのは掘り炬燵(ごたつ)と、いうことですが……」
総介「まぁ、そういうことだろうな……」
 掘り炬燵(ごたつ)をどけると、そこには囲炉裏(いろり)なんかではなく、古井戸が顔を見せた。
一同「こ、これはぁ!?」
桜「つまり、そういうことですね……」
 古井戸は隠されていたのだ!
※ってか、古井戸を隠して掘り炬燵(ごたつ)ってなかなか無理があるような……

#3
 そして、言わずもがなだが、その古井戸の底には死亡した貞子さんの遺体が隠されていた。
 捜査の結果分かったことは、敬逸(けいいつ)さんは奥さんの介護に疲れ切っていた。そして、奥さんを殺してしまったとい
うことだった。
*「なるほどなぁ、90歳の御年でも筋骨隆々やったからこそ、寝たきりの奥さんを殺すことができたんやな」
 しみじみと呟くMyThRIr(ミスリル)職員であった。
*「た、大変なことが起きてしまったで!」
 と、そこへ一人のMyThRIr(ミスリル)職員が切羽詰まった顔でやってくる
*「どないしたんや!?」
*「あのジィさんなんやが……」
総介「フン、大方自殺したと、そういうことだろ」
*「そ、そうなんや……あの古井戸に身を投げはったんや!」
桜「警部……」
総介「最初から後追い自殺を考えていた……そういうことだろう……」
一同「そなアフォな!」
 だが、これが事実……これがこの事件の結末……
総介「……行くぞ……」
桜「はい、警部」
 MyThRIr(ミスリル)職員が慌てる中、総介は桜とともに大阪を後にするのであった。
※いや、こんな終わり方でいいんか!?


END

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