Eighter -Bizarre Investigate-
39ther 〜冤罪は被虐に笑う B〜



#3
 数年前に天四斗(あまよと)で起きた婦女暴行事件……アレから数年立った今……この事件に隠された真実があると気づいた
(真理の断片が見せた真実を知った)総介は当時の被告、畑中劉一を呼び出したのだった……
 富山県、富山県警
 警官たちが取調室の前でヒソ砒素と話しているとき……
※だから何で態々『砒素』にするかなぁ……俺……(うぉい!)
畑中劉一「うぉおおお〜〜〜〜!!」
警官一行「ななな、なんだ!?」
 突如取調室から建物全体を揺るがす怒号が鳴り響く……
劉一「……警部さん……」
 血に塗れた拳に額を押さえる劉一
(かみ)総介「……全てはお前のライバルだった大律栄一がお前を社会的に貶めるための罠……」
山咲(やまざき)桜「栄一と泰子とが協力し合い、行った狂言……」
劉一「そんな……そんなッ」
 ガシャイ〜〜〜ン
 今度は机をひっくり返す
劉一「何故だ……何故……だったら……何故……今更こんな真実を知ったところで、どうしようもないじゃねぇか
!!俺は悪党でアイツは……英雄だ!!」
 激情に任せて劉一が叫ぶ
劉一「俺は……一生を棒に振られたんだ!!栄一になぁ!アンタにこの苦しみが分かるか!!?……俺はたとえこ
の先、出所しても……」
 ギリギリと歯軋りし、血の涙を流しながら劉一が魂の叫びをぶつける
総介「……ふぅ……仕方ない……お前を救う手立てがたった1つあるんだが……」
 そんな中、怨嗟の声もどこ吹く風と冷静にそれを受け流す総介……そして静かにぽつりと呟く
劉一「な……何だと!?……教えろ!!いや、教えてくれ!!その方法とやらを!!あの悪魔を貶めるためなら…
…俺は……悪魔に魂を売り渡しても構わん!!」
 そして、悪魔っ娘にイロイロ絞り取られるくらいなら本望だ!とかオカしなことを言い出す劉一
桜「……警部……?」
総介「……やはり、気が進まんが……」
 やれやれといった表情で総介が語る
総介「……ヤツが真実を捻じ曲げたのならもう一度真実を捻じ曲げて正しく戻す……正しく戻すのに捻じ曲げると
はおかしな表現だが……」
劉一「……そんなことできるわけねぇだろ!お前は神か!?……大体な……もし仮にそんなことが出来たとしても
だ……」
総介「まぁ、話は最後まで聞け……」
劉一「……いいだろう……最後まで聞いてやろうじゃねぇか……」
 ちょっと冷静さを取り戻す劉一……そのままドカっと椅子に座りこむ
桜「……殺さない殺し屋……というのを知っていますか?」
劉一「何だそりゃ?殺さずにどうやって殺し屋稼業を行うってんだ?」
総介「……相手を社会的に殺す」
劉一「!!!!」
 それは自分が社会的に殺されたことを思えば納得の仕事内容であった……

#4
総介「……そこでだ……条件が1つある……」
劉一「何だよ?」
 条件って……と劉一が思っていると、総介は続ける……
総介「……お前の持っている……いや、保管している『歴史の終着点』をこちらに渡してもらおうか……」
劉一「へ!?あのトンでもな内容の古本!?」
 ……その書籍は、勿論威隻法腱(いせき・はっけん)が著作した歴史の墓場に関する書籍である……
総介「……そうだ。あれはお前には……いや、我ら人間には手に余る代物なのでな……回収しておく必要があると
いうわけだ……」
劉一(何を言っているんだ?……コイツ!?……いや、しかし……ヤツを貶めることが出来るのなら今はなりふり
構ってられねぇ……俺は、悪魔と契約し、身も心も捧げると誓ったではないか!)
 なぜ、あんな古本一冊如きにこんなことを提供するのか皆目見当もつかない劉一……だが、自分が無実として社
会復帰できるならば、もはやなんでもかまわない……
※ってか総介を悪魔に見立てているのか……まぁ、確かにそう考えるのも無理はないけど……
劉一「……ああ、分かった……あんな古本、喜んでアンタにくれてやるよ……だから……俺の無実と……あいつら
の社会的死亡を……ついでに物理的に殺してくれ!」
総介「それは出来ん……俺は殺し屋ではないのでな……行くぞ、山咲(やまざき)」
桜「はい。警部」
 ……そして、総介はその場を去っていく……

 数日後……
 天四斗(あまよと)、某所
大律栄一「ど、どういうことだよ!?数年前に起こった婦女暴行事件の犯人が俺だぁ!?」
大律泰子「警部さん……言いがかりはよしてください。私が痴漢にあったのは彼ではなく……」
 総介は早速英雄夫婦として近所から名高い大律夫婦の元へと足を運んでいた……
総介「フン、そもそも痴漢などなかった……」
栄一、泰子「なっ!?」
栄一、泰子(こ……この漢……)
総介「それにな……もう遅い……」
 バサッ
 そして、新聞を渡す総介
泰子「……え!?……な……何よ……コレ!?」
 その記事は……数年前に起きた事件の隠された真実……つまり、事件は狂言で、栄一、泰子による劉一を貶める
ための芝居であったということが仔細に書かれていた……
栄一「な……何故だ!?」
総介「お前らも聞いたことがあろう……殺さない殺し屋だ……」
泰子「……殺さない……殺し屋!?……まさか……」
栄一「関飛劉水明(せきとる・みあきら)……!!?」
桜「知っているなら、話は早いですね……」
総介「さて、今度はお前たちが劉一が味わってきた苦しみを味わう番だな……」
栄一、泰子「ぐっ……」
総介「後の話は署で聞く……」
栄一、泰子「……」

#5
 かくて、真実は明るみになり、そして、総介は歴史の墓場についての書物を回収することに成功し、大団円とな
ったのであった。
 人を呪わば穴2つ……と。言うか、なんというか……


END

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