Eighter -Bizarre Investigate-
32nder 〜殺人プールの怪奇〜



#0
 これは、とあるプールで巻き起こった悲劇に関する事件簿である。

#1
 東京都、Do The Hemon(ドゥ・ザ・エモン)
 総合スパリゾートとして有名なこの場所は入場料がただ同然でありながら本物の海で泳いでいるような気分に浸
れることで有名であり、連日賑わっていたのだが……しかし、現在水は抜かれている……
 それは、ここで、悲劇が起こったからだ……
※それにしても、施設の名称がDo The Hemon(ドゥ・ザ・エモン) ≒ 土左衛門ってどんな命名なんだろうか……
警官「巡令(めぐれ)警部……配水管に飲み込まれて死亡したのは都丸命(とまる・みこと)7歳です」
巡令樹留(めぐれ・きりゅう)「ふぅむ……」
都丸命(とまる・みこと)……命都丸(みこと・とまる = 生命が止まる)……まさしくこの事件の犠牲者になるべく生まれたよう
 な存在だ(マテや!!)
警官「プールの管理者側に問題があったと思われます。まず、排水溝付近で遊ばないように指示しなかったことも
あげられますが……」
警官「主な原因は経営者が何の知識も無いような人をアルバイトで雇ったことにあるかと……」
樹留(きりゅう)「いや、それだけじゃあなかろう……本来ボルトでしっかり固定されていなければいけないはずの排水溝の蓋
があろうことかタフロープで結んであっただけなんだからな……」
 そんなことを言いながら、巡令(めぐれ)警部はプールの排水溝を覗き込む
樹留(きりゅう)「おし、このような事態が起こらないか……全国のプールに至急確認を行うように……」
警官一同「はっ……」
 かくて、この事件をうけて全国で一斉にプールの排水溝に不備が無いか確認がなされた。
 ……真夏の暑い盛りに行われ、発覚したところも多々あり全国の児童は不満な日々を送ることとなる……

 一方……

 東京都、警視庁
(かみ)総介「……山咲(やまざき)……この調書だが……」
山咲(やまざき)桜「はい、警部……?」
 総介が見るのは先日のDo The Hemon(ドゥ・ザ・エモン)での事件の調書だ……
総介「……配水管に飲み込まれ……そのまま50cmあるか無いかという太さの配水管を進み進み死亡した……とある
が……」
桜「何か……疑問点でも?」
総介「死因は窒息死……しかし、遺体は全身余すことなく複雑骨折していた……とある」
桜「……確かに……ほぼ一直線のパイプを進んだだけで全身複雑骨折というのはおかしいですね……」
 疑問に思ったことは何でも進んで解決するのが総介……早速総介は現場へと向かった……

#2
 東京都、Do The Hemon(ドゥ・ザ・エモン)
警官「かかか……(かみ)警部!!?なぜまたここに!?」
 唐突に出現した総介に一同はビビりまくる……
樹留(きりゅう)(かみ)警部……この事件は私たちだけでもなんとかなりますって……いや、なんとかしてみせますから……お願
いですから帰っていただけませんか?」
総介「……むしろお前らが帰れ!」
警官「いや、そんな……」
樹留(きりゅう)「お願いしますよ……(かみ)警部……」
 警官「って、(かみ)警部?」
しかし、総介は無能警官を相手にすることなく、その場を去っていく
樹留(きりゅう)「あ、待ってください、(かみ)警部……」

 そして、総介が向かった先はプールの制御室であった
総介「このプールの売りは『本当の海に入っているよな気分に浸れる』……だったな……」
桜「ええ、そうでした」
総介「まるで本当の波と戯れているようなプール……ならば、その波はどうやって起こした?」
樹留(きりゅう)(かみ)警部……世の中には波を創り出す機械というものがありましてですね……」
 と、そこへしゃしゃり出て得意げに語りだす巡令(めぐれ)警部。
総介「フム、それは見ればすぐわかる代物なんだろうな?」
樹留(きりゅう)「勿論ですとも……」
 そして、ええとと言いながら辺りを見渡す巡令(めぐれ)警部
樹留(きりゅう)「……あれ?見当たらないな……」
桜「警部……これ……」
 と、そんな折、桜が何かを発見する。
総介「これは……」
 プールの送水口に設置してあったのは1枚の漆黒の板……それは間違いようもなく、カオスプレートであった。
総介「……天海の波動(セレスティアル・アンデュレート)……間違いない、これが原因か……」
 CPMGにより、そのカオスプレートがどんな作用を(もたら)すものなのかすぐさまチェックする総介
総介「…このカオスプレートが人工的に本物の波を作り出し、さらに強力かつハイスピードで水の交換を行ってい
た……」
桜「……そして、オーパーツによる制御……その強力過ぎる力に被害者は呑まれて砕かれた……ということですか
?」
総介「……ああ、そんなところだろう……」
 安易にオーパーツを使った結果がコレだ……と、総介は忌々しげに天海の波動(セレスティアル・アンデュレート)を回収する
樹留(きりゅう)(かみ)警部……すみません、どうやらこの施設には波を起こす機械はないみたいですね……」
総介「だろうな……」
樹留(きりゅう)「え?だろうなって……どういう?」
総介「もう、この事件は終わった……帰るぞ、山咲(やまざき)」
桜「はい、警部」
樹留(きりゅう)「あ、ちょっと(かみ)警部……」
 そして、来た時と同じように総介は無能警官を無視して去って行った……
樹留(きりゅう)「……何だったんだ?」

#3
 その後、天海の波動(セレスティアル・アンデュレート)はEighter本部で管理することとなった……
 そして、その後、Do The Hemon(ドゥ・ザ・エモン)で事件が再発することはなかったが……天海の波動(セレスティアル・アンデュレート)が無くなったがために本物ら
しい波を作り出せなくなり、その結果、連日のように押し寄せてきた客足がぱったりと途絶えてしまったと言う
※『何でもかんでも使えばいいってもんじゃないよ』ってな今回の教訓


END

前の話へ 戻る 次の話へ