Eighter -Scarlet Nocturne-
51ster 〜降真靈(こうしんりょう)は辛くない C〜



#5
反永(たんえい)袰烏(ほろう)様……」
 いつ来るかまでは聞かされていなかったが、それでも、もう少し遅い時間にやってくると思っていた。
 しかし、そんな素振りを出すわけにもいかない。とにかく、今は陀疎(だうと)の無礼を詫び、機嫌を直してもらうことが
先決。
袰烏(ほろう)「うむ」
 しかし、彼女は別に不機嫌と言うわけでもなさそうだ。ひとまず、一行は袰烏(ほろう)を先頭に山門を通り、本堂へと足
を運ぶ。
袰烏(ほろう)反永(たんえい)よ、わっちらの目的は何じゃ?」
 本堂に入ってすぐ、袰烏(ほろう)はそんなことを問う。
反永(たんえい)「異世界の神召喚ガチャにございます」
 そして、すかさず反永(たんえい)はそう答える。
※だから、言い方ぁ!
袰烏(ほろう)「うむ。で、あるならば、今、何をすべきなのか、それもわかっているのだろうな?」
反永(たんえい)「はっ……はっ!?」
 そこで、反永(たんえい)は気づく。最近はヴァルカナの出現してもその反応がすぐ消えてしまい、ヴァルカナを追うことが
不可能に近くなってしまった。
 そこて、大神の降真靈(こうしんりょう)はこれまでと同じような形で次に起こるであろうヴァルカナ争奪戦へ向けて戦力の増強を
行っていたが、それは大神の降真靈(こうしんりょう)の本懐ではないのだ。
 更に付け加えるならば、現時点で既にヴァルカナを4つ保持しているで、すぐさま異世界の神召喚ガチャを行う
べきだった。
 袰烏(ほろう)闇人(あんじん)がここへやってきた目的というのもソレだ。そう……異世界の神召喚ガチャの儀を見届けるために彼女
は嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)へやってきたのだ。
反永(たんえい)「直ちに異世界の神召喚ガチャの儀にとりかかる。全員配置につけ!」
慈円(じえん)韻麗(いんれ)陀疎(だうと)「ハッ!」
 反永(たんえい)の号令の下、一行は直ちに異世界の神召喚ガチャの儀に取り掛かる。
 まずは奥の院に保管してあった《戦車(チャリオット)》、《死神(デス)》、《悪魔(デビル)》、《浪費(スクアンダー)》のヴァルカナを取って来る。それと同
時に並行して本堂の中心に魔法陣を描く。そしてヴァルカナを魔法陣の外側……東西南北の位置に配置する。
 準備が整ったところで、韻麗(いんれ)轟曦真靈杖(ごうきしんれいじょう)をしゃらりと鳴らしつつ宣言する
韻麗(いんれ)「では、これより、異世界の神召喚ガチャの儀を執り行います」
 待ちに待った瞬間がもうすぐ訪れる。一体、どんな世界のどんな神が召喚されるのか、それが楽しみで袰烏(ほろう)は胸
が、心が躍った。

#6
 そして、既に異世界の神召喚ガチャが行われようとしていることなど露知らず、Eighter・有嗎幇(ユーマハン)連合軍もまた
嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)へと訪れる。
包英清堅(つつみひで・きよかた)「元咲魔(サイタマ)の連中だ……どうやらここが奴らの本拠地で間違いないようだ」
古畑呂司(りょうじ)「で、どうするんです?回り込むのか、それとも正面突破か……」
 相手は元咲魔(サイタマ)の連中だが、量産型デミカナリアクターであり、正面突破は得策ではない。と、新田姜馬(きょうま)が考えて
いたが、ここには考えなしで行動する馬鹿が一人いたた
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「決まってんだろ、正面突破あるのみだ!」
一同「あ、おい……」
 そう、梶太郎(かぢだろう)である。そして、梶太郎(かぢだろう)は考えなしに正面突破を試みる
梶太郎(かぢだろう)虎伏絶掌(こふくぜっしょう)極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
元咲魔(サイタマ)「なっ、貴様は……」
元咲魔(サイタマ)「ガハアッ!?」
 拳打の嵐を受け、派手に吹き飛ぶ元咲魔(サイタマ)。そして、壁に激突するとそのまま気絶して動けなくなる
梶太郎(かぢだろう)「ん?こいつらこんなに弱かったか?……いや、俺が強くなり過ぎたってことか……」
(かみ)総介「ハァ……やってしまったものは仕方がない……」
新田姜馬(きょうま)「まさか、強行突破するというんですか?」
総介「フッ、それに、怪我の功名だが、強行突破は出来る!」
 量産型デミカナリアクターとなった元咲魔(サイタマ)との死合を忘れたわけではないでしょうね?と驚きを隠せない姜馬(きょうま)だ
が、しかし、総介はこのまま強行突破する道を選ぶ。
総介「コレを見ろ!」
一同「こ、これは!?」
 総介は気絶して動かなくなっている元咲魔(サイタマ)に歩み寄ると、そいつの右手を掴んでみなに見せる。
 しかし、そこには量産型デミカナリアクターの証が存在しなかった。
 梶太郎(かぢだろう)が楽に元咲魔(サイタマ)の連中を倒せたのも、こいつらが量産型デミカナリアクターからただの忍びに戻っているか
らだ。
梓與鷹(よたか)「しかし、何故こいつらはデミカナリアクターの力を失っているんだ?」
 それは全て袰烏(ほろう)のおかげなのだが、そんなことをEighter・有嗎幇(ユーマハン)連合軍は知る由もなかった。
総介「とにかく、今は奴らを叩くことだけを考えろ!」
 ただ、デミカナリアクターではなくなったとはいえ、元咲魔(サイタマ)の連中は大勢いる上、ノイエDAだって待ち構えてい
る。油断はできない状況だ。

#7
陀疎(だうと)「今は神聖な儀式の最中だというのに……どこまでも邪魔をするというか」
 境内に飛び込むと、底には陀疎(だうと)とノイエDAが待ち構えていた
清堅(きよかた)「陣野影路(かげみち)!」
陀疎(だうと)「何度も言わせるな、私は大神の降真靈(こうしんりょう)陀疎(だうと)だ!」
総介「ちょっと待て、貴様、儀式だと!?……まさか……」
 清堅(きよかた)陀疎(だうと)と啖呵を切り合っている中、総介は聞き捨てならないセリフを耳にして思わず聞き返す。
與鷹(よたか)「……奴ら域外神(アウターゴッド)を召喚しようとしているってか?」
 しかし、どうやって……と、思ったが、直後、與鷹(よたか)はある可能性に気づく。
與鷹(よたか)「まさか……」
遣陀(やるだ)罵音(ばおと)「ここから先は誰も通さん!」
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「我ら大神の降真靈(こうしんりょう)、大願成就のために!」
総介「クソッ、貴様らの相手をしている場合ではないッ!」
 カカッ
 しかし、次の瞬間、本堂を貫く光の柱が出現。
一同「あの光……ま、まさか!?」
 時すでに遅し……彼らの儀式は完了した!?


END

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