Eighter -Scarlet Nocturne-
44ther 〜因縁渦巻く影埼玉(ネオサイタマ) B〜



#3
*「ヴァル……何?」
*「お前らは一体何を言っているんだ?」
(かみ)総介「フッ、別に隠さなくてもいいぞ……ユーサーから聞いているのだろう?……ヴァルカナとそれから幽闘術
の事も……」
*「そうか……貴様らが……」
一同「せ、先代!?」
 総介の言葉に反応したのは先代と呼ばれる老人だった。
*「ならば、虎骨(フーグイ)星露(シンルー)が来たのもその件か……」
弥如(びぎん)虎骨(フーグイ)!?……知りませんなぁ。私は大神の降真靈(こうしんりょう)が高僧の一人、弥如(びぎん)」
 いや、さっき星露(シンルー)のことを愚妹って言ってたくせにまだそれやるの?と驚きを隠せない一行。
*「ならば、儂も名乗ろう」
 カランと杖を手放し、すっと右手の甲を見せびらかすようにその漢、先代は宣言する。
 そこには赤と青の四角を組み合わせた八芒星に-VIの数値が刻まれていた。紛れもなくヴァルカナリアクターの
証である。
*「儂は縄網光弦(じょうもう・こうげん)……《護謨の人(ラバーソウル)》のヴァルカナリアクターだ」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おいおい、聞いたかよ、上毛高原だってよ、上毛高原!咲魔(サイタマ)じゃなくてグン魔って名乗ったほうがい
いんじゃねぇか?」
 ここぞとばかりに名前をおちょくる巫山戯(ふざけ)梶太郎(かぢだろう)。
一同「貴様ぁ!言ってはならんことを言ったなぁッ!」
 そして、名前を馬鹿にされたことで殺気立つのは咲魔(サイタマ)の連中である。
縄網光弦(じょうもう・こうげん)「「下がれ」
一同「はっ」
 しかし、光弦(こうげん)の一言で、殺気だっていた一行は怒りを納める。

弥如(びぎん)「先代、引退したアンタがなぜ、再び」
 ぽつりと問いかける弥如(びぎん)。やっぱコイツ、虎骨(フーグイ)であることを隠す気ないんじゃないか?
光弦(こうげん)虎骨(フーグイ)咲魔(サイタマ)を裏切り、星露(シンルー)はいつまで経ってもそんな裏切り者を始末できずにいる。ならば、儂が再び咲魔(サイタマ)
を背負って立つしかあるまい!」
星露(シンルー)・ユピテルメア「お待ちください。先代!私が必ず、あのクソ兄貴をブチ殺します!ですから……」
光弦(こうげん)「儂は老いた……だから引退を決意した。しかし、ヴァルカナリアクターになって往年の力を取り戻せた今と
なっては話は別だ!」
 杖をつかないと歩けないほどヨボヨボに見えた老人が、今や矍鑠(かくしゃく)と……しかもなんだか心なしか若返っているよ
うに見える。
 これがヴァルカナの回復能力の賜物というわけか!?

#4
弥如(びぎん)「ヘッ、ジジィ、だったらお前は勝手にやってろよ!」
光弦(こうげん)「そうはいかん。裏切り者の抹殺!これは咲魔(サイタマ)の鉄の掟!」
 この地に訪れたよそ者の抹殺も、同じくな?と続ける光弦(こうげん)弥如(びぎん)「やっぱり咲魔(サイタマ)はクソだぜ!いっそのこと滅ぼすか……」
星露(シンルー)「クソなのは貴様だクソ兄貴!……先代、私が必ずやクソ兄貴をブチ殺してご覧にいれましょう。ですから、
先代は安心してご隠居してください」
光弦(こうげん)「そこまで言うならば、咲授(しょうじゅ)の儀を果たしてみよ!」
星露(シンルー)「御意!」
 Eighter一行そっちのけで話が進んでいるが、ここで君たちに最新情報をお伝えしよう
※だから、どこのガオ○イガーだよ!
 咲授(しょうじゅ)の儀とは咲魔(サイタマ)棟梁の座をかけた死合。棟梁の前で次期棟梁候補が闘い、そして、勝利したものがその力を認
められるのだ。
 ……ぶっちゃけると北斗○拳の天○の儀に近い。(ってかネーミングがパクリ……)
 ちなみに余談だが、弥如(びぎん)が裏切って咲魔(サイタマ)から抜け出す直前、星露(シンルー)と兄妹で咲授(しょうじゅ)の儀に臨まねばならない事態に陥
り、『おに〜ちゃんに刃を向けることなんてできないよ〜』と言って泣き崩れたことは(星露(シンルー)にとって)今となっ
ては立派な黒歴史である。
※今やクソ兄貴に刃を向けることに至上の悦びを見出しているからなぁ……一体彼女の身に何があったんだ!?
星露(シンルー)「クソ兄貴!死ぃいねぇえッ!幽闘術、耿暉放つ八鉱陣(ライトハウス・ナンバーエイト)!」
弥如(びぎん)「愚妹!そろそろいい加減に諦めろ!幽闘術、影に生き影に逝く哉(シャドウ・ハウス)!」
 弥如(びぎん)の影がぶわっと揺らめくと、影の兵団が出現。そのまま星露(シンルー)に襲い掛かる。
 星露(シンルー)も赤橙黄緑青藍紫黒の八色の光を纏い、弥如(びぎん)に向かって飛び込んでいく。
星露(シンルー)「クソ兄貴!お前の影は私の光の前には無力!」
弥如(びぎん)「愚妹よ、幽闘術の優劣だけが勝敗を決するわけではないことを思い知れ!」
 七色の光が影の兵団を次々と駆逐していく中、ラ○デ(もどき)轟曦真靈杖(ごうきしんれいじょう)とがぶつかり火花を散らす。
星露(シンルー)磯撫(いそなで)」
 シュカカカッ
 脳天目掛けて放つ苦無。しかし、弥如(びぎん)はそれを難なく回避して見せる。
弥如(びぎん)「愚妹よ、脳天を狙っていると分かれば躱すのも容易い!」


続

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