Eighter -Scarlet Nocturne-
41ster 〜火山の底に眠る影 C〜
#5
山咲桜「……」
靉颪栖(と炳佩鍍嵩(に纏わる伝説を語ると、満足したかのように黙り込む桜。
そのまま沈黙が暫く続いた後、呂司(が口を開く。
古畑呂司(「……え、ちょっと待って、テュポーンとかエンケラドゥスについては?」
新田姜馬(「いや、今はそんなことにかまけている場合ではない!」
呂司(「ですよね〜」
お前さっき問い詰めてたのに、コロっと覆すなよ!
まぁ、それはさておき、新たな力を手にした姜馬(は與鷹(と総介が死合っている場所へと戻る。
梓與鷹(「お前ら今までどこに!?」
姜馬(「今は奴を倒すのが先決だ!」
上(総介「フッ、どうやらこの状況を打開する鍵でも見つけてきたようだな」
ニヤリと笑みを浮かべる総介。どういうことだ?と考える與鷹(。しかし、それも一瞬の後、総介のことだから何
かしら状況を打開する手を考えており、それが今成ったのだろうと考えた。
姜馬(「ヤークシュ」
今までの姜馬(ならば、百万朱版の転生小聖印(の力を用いたとしても、エトナ火山の熱量の前に召喚呪術は役に立
たなかっただろう。しかし、神器たる冥爪甲モナチェロを手に入れた今は違う。
姜馬(「行くぞ!天翔ける氷影(!」
カキィ〜〜〜ンッ
大量の氷の刃が地面から出現し、エンケラドゥスを縛り付ける。
エンケラドゥス「オオオオオオッ!」
それでも、エンケラドゥスは咆哮をあげ、力任せに氷から抜け出そうとするのだが、今までと比べると動きが鈍
い。
與鷹((畳みかけるならば今か……)
総介(フッ)
與鷹(と総介、考えることは一緒。アイコンタクトを交わすと一足飛びにかかる。
與鷹(「神狼九断(・翳噛(!」
総介「臠蒼極連(・天(!」
ドガガガガガガガガガガッガガガガッ
エンケラドゥス「ガアアアアッ!?」
拳と刃の連撃を食らい、のけぞるエンケラドゥス
呂司(「やったか!?」
※いや、それアカンやつ
與鷹((浅いか……!?)
総介(……誰かがフラグを立てなければ、もしかしたら倒せていたかもな……)
そんな呑気な……とか言っている場合ではない。與鷹(と総介がよそ見をしているその隙に、エンケラドゥスの拳
が迫る。
與鷹(、総介「だが、甘いッ!」
ドガアッ
迫る拳を軽く回避する與鷹(と総介。
#6
姜馬(「滑空する氷輪(!」
と、同時にリング状の氷の刃がエンケラドゥスに迫る。
エンケラドゥス「……圻坎圦(……」
ギャリィインッ
呂司(「なっ!?」
エンケラドゥスの腕をぶった切った!と呂司(が確信したその時、突如謎の呪文と同時に土星の輪を彷彿させる刃
が出現し、氷の刃を止める。
総介「フッ、流石はエンケラドゥスと言うわけか……」
呂司(「え!?どういう!?」
姜馬(「いや、逆だ!土星の衛星にエンケラドゥスという名前が付けられたのであって、土星の衛星からこの巨人の
名前がつけられたわけではない!」
因果が逆……だから、エンケラドゥスという巨人が土星の輪を彷彿させる刃を使うのは不自然ということだ。
與鷹(「総……そろそろ終わりにするぞ!」
そして、與鷹(らも闇雲に死合っていたわけではなかった。特に與鷹(は識狼天見(を駆使し、エンケラドゥスの隙を
窺っていたのだ。
エンケラドゥス「……圸圷址(……」
また何か呪文のようなものを呟くエンケラドゥス。
総介「させん!影蒼入滅(・極(!」
ドドドドドッ
総介が蒼王の刃(を地面に突き刺し、エンケラドゥスの影から刃を突き出させて動きを止める。
與鷹(「終わりだ!神狼九断(・来護重(!」
ガドオオンンッ
そして、與鷹(が九つの拳打を一つに束ねて一点突破!
エンケラドゥス「ア、ガアアアア!?」
エンケラドゥスの胸に巨大な穴が鑿たれ、エンケラドゥスはふらふらしながら後退し、マグマの海に堕つ。
テュポーン「おおあああ!?」
エンペドクレス「ばっ、馬鹿……なぁッ!?神である我がぁッ……」
そして、時同じくして、テュポーン、エンペドクレスも倒されたようだ。
ヒュオオオ……シィ〜〜ンッ
更に、この場を三つに隔てていた風が止む。
呂司(「風が止んだ!?」
障害がなくなった今、後は誰がヴァルカナを手にするか……ここからがヴァルカナ争奪戦の本番だ。
ズゴゴゴゴゴゴゴッ
一同「な、なんだ!?」
と、その時、大地を揺るがすような地鳴り地響きが一同を襲う。
続
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